Ebola対策
今エボラ出血熱が猛威を奮っています。
増殖力が旺盛であるので、放射線には敏感であると思われます。
ウィルスの増殖を抑え、何れ消滅させるのに放射線による治療も
妥当な方法ではないかと考えます。
@ どの程度の放射線を当てればよいか考えます。
ウィルスが全身を巡っているので、ガンの場合のように局部的に
大量の放射線を浴びせるというわけには行かず、放射線照射
による後遺症が残らぬよう、適量を全身に当てる必要があります。
一般の人の年間の被曝線量は1mSvに抑えられています。
職業人の年間の許容被曝線量の5分の1の線量を、
「一回だけ照射する」、というのは問題のないレベルだと思います。
つまり、照射線量を10mGy(ミリグレイ)(前の単位では1(rad))
とします。(これを生体に照射したとき、10mSvとなります)
放射線により
0.01(Gy)×1(joule/kg/Gy)=0.01(joule/kg)
のエネルギーを照射することになります。
これを放射線のエネルギーMeVに換算すると
0.01(joule/kg)÷【1.60219×10^(-19)(joule/kg/eV)】
=6.24×10^(16)(eV)=6.24×10^(10)(MeV)
(【】内は換算係数です)
セシウム137のγ線エネルギーで割ると、photon数は、kg当たり
6.24×10^(10)(MeV)÷0.66(MeV/photon)=9.45×10^(10)(photon/kg)
A どのように当てるか考えます。
人の身体を高さ1.6m、肩幅・胸厚をそれぞれ40cm、体重50kgとします。
(@)人の身長方向に当てるとすると
人体単位面積当たりの照射量は
9.45×10^(10)(photon/kg)÷(3.14×[20(cm)}^2])×50(kg)=3.76×10^9(photon/cm^2)
これだけの放射線を照射するのに要する時間は、照射装置の強度により
定まります。
例えば、5×10^7(photon/cm^2/sec)の装置(†)であれば
3.76×10^9(photon/cm^2)÷{5×10^7(photon/cm^2/sec)}=75.2(sec)
と言った具合です。
この照射の効果は、
人体を水で模擬すれば、セシウム137に対する人体の線吸収係数は
3.28×10^(-3)(cm^2/gr)×1(gr/cm^3)=3.28×10^(-3)(1/cm)
なので、160cmの身長の人では、
exp[-{3.28×10^(-2)(1/cm)×160(cm)]=exp(-5.2)=5.5×10^(-3)
で殆どが人体内で吸収されるので、足の部分から照射すると、
頭を通り抜ける放射線は1%未満となります。
(これは拙い例です)
(A)人の正面、あるいは横面から当てるとすると、照射を上下方向に
ずらして行く必要があり面倒ですが、強度が小さい照射装置ても可能
です。
例えば、5×10^6(photon/cm^2/sec)の装置であれば
照射面を40cm×40cm平方とすると、
3.76×10^9(photon/cm^2)÷{5×10^6(photon/cm^2/sec)}=752(sec)
の時間を、160(cm)÷40(cm/回)=4(回)、
つまり、188秒間の照射を4回行うと良いことになります。
この照射の効果は、線吸収係数が、3.28×10^(-2)(1/cm)なので、
正面から照射したとき背中側から通り抜ける放射線の割合は
exp[-{3.28×10^(-2)(1/cm)×40(cm)]=exp(-1.31)=0.27
で、適宜向きを変えて照射すれば、照射効果を改善できるでしょう。
また、外部照射の線源としてはCo60なども考えられますし、内部被曝
の線源としてはモリブデン99m-テクネチウム99がありますが、ただ、
ヨウ素131のような特定の臓器に集まる核種は線源として向きません。
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|インターネットにガンマ線によりエボラウィルスを死滅させるには |
|10^6(rad)以上の線量の照射が必要との報告がある。ダイレクトに |
|死滅させるのではなく、増殖を抑える事ができれば(従って暫くは |
|エボラと共存となる)死亡には至らないかもしれないとの希望的 |
|観測による対策である。 |
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(†)ここで示した(photon/sec)は、セシウム137の崩壊率(dps)ではない。
放射性核種からの放射線は、立体角4π方向に放出されるので、
このフラックスが得られるコリメートされた放射線を前提としている。
従って、照射する方向の立体角をΩとすると、(崩壊率)×(4π/Ω)倍
の線源強度が必要であり、数十〜数百キュリー(Ci)オーダーの線源となるであろう。
今の場合、距離は一定であるので距離の逆自乗効果は考慮されていることになる。
なお、1キュリー(Ci)=3.7×10^10(Bq)である。