仏検2級への挑戦! 


◆アンポシーブル、ネパ・フォンセ!「余の辞書に不可能という文字はない!」

Impossible, n'est pas francais.



『余の辞書に不可能という文字はない』
(直訳:「不可能」とはフランス語ではない)ナポレオンが戦地で言った言葉と言われていますが、真偽はあきらかではありません。側近の一人が言ったのでは?という説もあります。

ナポレオン(ダビッド画 ベルサイユ宮殿美術館蔵)




★こんな苦労をするのなら・・・

この2級を受けてみた動機というか理由なんですけど、当然ですがナポレオンの様にカッコいいものではありません。2003年12月仏検3級に合格して思ったことは、仏検でも3級じゃ、全然箔が付かないことに気づいたからなんです。こんなサイトを運営してるのだから、ちょっとカッコを付けるためになんて思ったのが、運の尽き・・・。こんな軽くて不純な動機とは裏腹に勉強はとっても苦労しました(泣)。

一般に仏検2級のレベルは、主催元のフランス語教育振興会によると・・

『学習400時間以上 (4年制大学のフランス語専門課程4年程度で、読む力ばかりでなく、聞き、話し、ある程度書く力も要求される)。』

大嘘です(怒)!! 私はこの半年間だけで間違いなく400時間以上勉強しましたよ。ハッキリ言ってTOEICの時よりマジメに勉強しました(笑)。3級以前の学習時間とあわせると600時間くらいになるのではないでしょうか? しかも私のようにTOEICなど大学教育以上の英語学習をした人間でもコレですから、普通の人なら1000時間以上かかるのではないかと思います。それに仏検の場合はTOEICと違って、フランス語を書かせる問題があるので、スペルや動詞の活用を覚えるため、単語や例文を写経のように書いて丸暗記する必要がありえらく苦労しました。

先程の仏検の要領にもある通り、『4年制大学のフランス語専門課程4年程度』、つまり仏文科ならば4年生が受験するのが標準的なスタイル。学生が3〜4年勉強すれば、すぐに1000時間なんて越えるはずです。こちらの方が実態に近いかと思います

さて、苦労に苦労を重ね、仏検2級に挑んだ結果は如何に?
このページは私webmasterこと和久井泰之がフランス語に挑戦した汗と涙の物語です。皆さん、是非読んでやって下さい。まずは私がどの様な勉強を重ねたか、ご紹介いたします。(チャンチャン、チャンチャン・・・)


★単語学習編

3級合格後、早速2級の過去問を拝見。「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」との孫子の言葉通り、単に試験の傾向と対策だけでなく、自分の弱点を知らなくてはなりません。仏検の問題をふむふむとじっくり読んではみますが、中身がさっぱり分かりません。どうも単語力が不足していることを認識。とりあえず、英語学習の経験から以下の条件を元に単語集を探してみました。

・例文がシッカリ付いていること
・その例文も読み上げたCDがちゃんと付いていること
・2級受験に適したレベルであること。

ところが困った事に、この条件を満たすものを探すのに、結構苦労したんです。やはり英語と比べて、フランス語学習のマーケットは狭いためか、テキストの充実度はかなり落ちるようです。特に中・上級者向けにテキストが少ない!

まあ、そうゆうレベルの本もありますが、どうも旅行会話用のものとなりがちです。観光国フランスなので当然と言えば当然かもしれませんが、旅行用会話などは通常仏検などの試験に出ることはありませんので、試験対策上どうもよろしくない。

さらに先に挙げた条件である、例文付き、CD付きの単語集というとこれまた少ない。しかし、それも仕方のない事かも知れません。私も本を出した手前分かるのですが、単語集の例文などは、実際に自分(日本人)が作成したものであれば、どうしてもネイティブのチェックは必須となります。さらにCD付きともなれば、録音のための手間とコストが大きく上乗せされられることとなります。マーケットの大きい英語学習の世界ならば、大量の販売が見込めるため、コストの回収も可能ですが、フランス語学習の中でもさらに狭い中・上級者向け、仏検2級以上をターゲットとしているのですから仕方のないことかも知れません。そんな訳で勉強に使っておきながら、完成度が低く、内容に不満があるものが多々ありました。

そんな中で、上記の基準を満たした数少ない本がこの2冊でした。

『今すぐ話せるフランス語単語集』
橘木芳徳/著1,575円(税込)

この本はCD2枚付きと、例文と単語を非常に豊富に載せているのが特徴です。しかもその単語はちょうど仏検2級レベルの出題頻度の高い単語のみで例文を作成しているので、単語の反復性が良く、例文を読みながら単語を覚えられる仕組みになっています。またその例文に使われる文法や構文も、これまた2級にちょうど良い。スピーディーに仏文を読む訓練にもなりますよ。著者の明確な学習目的を感じられる秀作です。ただ問題としては、単語の索引がないので、何度も辞書を引く必要が出てくるので若干効率が悪い。また単語の「訳語」の説明が非常に少ないので、「あれ〜?」と思うことも。でもそんな難点があっても、【星5つ】は変わりません。『必須単語集準1・2級』よりお薦め!フランス語は動詞等の活用・変化が多いだけに例文は重要と考え高い評価を付けました。【★★★★★】

『《仏検》準1級・2級必須単語集 Vocabulissimo』
モーリス・ジャケ/著 久松健一/著2310円(税込)

『《仏検》3・4級必須単語集』のステップアップ版です。ただ今回は「3・4級」の様に短文形式ではく、仏検のディクテを意識してか、今度は特定のテーマを題材にした長文に複数の覚えるべき単語を詰め込んでいます。Duoというより『速読速聴・英単語』方式ですね。もちろん例文や反意語・同意語、動詞・名詞などの関連語句を詰め込むといったスタイルはそのままです。しかし特に後半部分の長文に、エッセイや評論を多用しているので、内容も日本語で読んでも分かり難くいものもあり、また試験には出そうもないレアな単語や、文法でも単純過去時制が散見されるなど、仏検対策としてちょっと疑問を感じる点も。前半は星5つ、でも後半部分は3つになるかな。【★★★★☆】

◆電子辞書
嗚呼、ついにまた電子辞書を買ってしまいました。

『カシオEX-word フランス語辞書付きXD-H7200』
定価48,000円。

フランス語辞書付きの電子辞書は今まで売っていましたが、どうしても単語帳機能が欲しい私としては、ずっと我慢を続けていました。それほど私はこの機能を重視しているのです。

そして2004年3月に、カシオより満を持して発売。少々値段は張りましたが、発売日当日に買ってしまいました。仏和辞典、和仏辞典ともに、私の好きな三省堂の辞書。仏和辞典には、発音のカタカナ表記、英語の類義語、さらに電子辞書にもかかわらず動詞活用表まで載っているという徹底ぶり。その上フランス語会話集として、JTBの『フランス語自遊自在』まで載っております。これで単語帳機能までついては買わない訳にはいかないでしょう。

それと英語の辞書としても、「結構良いかも!?」というのが私の印象です。同じジーニアスでも唯の英和辞典は語源の説明も貧弱で使えませんでしたが、この電子辞書には大辞典が付いていまして、今度は語源も結構細かく載っています。間違えないで下さいね。『大』ですよ、『大辞典』。普通の英和辞典と大辞典の違いについては、実際に本屋さんで確かめて見てください。その巨大さに驚くばかりです。こんな大辞典を手軽に使えるようになるなんて、電子辞書ってのはホントに有り難いものだと実感できます。研究社のリーダーズ英和辞典もありましたが、こちらは語源の説明は一切なしでした。


★文法のお勉強〜動詞の時制・活用

さ〜てその後、実際に仏検の過去問を解いてみると、読解はかなりの点数を取れるようになりましたが、動詞の活用と、前置詞・イディオムの類がサッパリなことが分かりました。これも良い本はないかと探してみるが、やっぱり無〜い。動詞の活用の一覧形式の本は多いのですが、そんなもの辞書を見ればわかります。そんな一覧表を眺めただけでは、あの複雑な活用を覚えることなんてできないし、定番の基礎動詞しか載っていない。また試験である以上、問題を解く形の実践練習が必要です。

『フランス語トレーニング・コース3段階チェック式』

そんな感じで、動詞の活用を復習するため、3級で使ったテキストをまた繰り返し使いました。でもこのテキスト、動詞の活用を含めた初級文法問題が大量に掲載されていたので3級向けには必要十分でしたが、2級向けにはちょっとどうかな・・・という印象を受けたのも事実です。2級以上の中・上級レベルの文法解説については、さすがに書かれていないものが多数見受けられました。

『完全予想仏検3級 筆記問題編』
 駿河台出版社 2310円(税込)

あと動詞の活用と前置詞対策として、3級で一番分厚い問題集を通してやってみました。「3級」とは銘打っていますが、実際はもうちょっと上で「3級以上2級未満」と言った感じです。
あくまで問題集なので、文法や単語についての解説はあるものの、文法などを確実に網羅したものでもないし、単語集の機能はもちろんありません。
ただ他の問題集と比べ、問題の量が格段に多いことが特徴で、私は自分の弱点の把握とその補強のためにこのテキストを使いました。完成度は今一つながら、そうゆう意味では役に立ちました。評価としては、星は三つくらいかな?【★★★☆☆】

◆前置詞・イディオム学習編

さて次に仏検問題の定番、前置詞・イディオム対策なのですが、これも点数配分が高く避けては通れない問題です。しかしやっぱりこれも良いテキストが無い!! 自信を持ってお薦めできる本はありませんが、どうしてもと言われるならこの本になります。

『〈仏検2級・3級対応〉フランス語重要表現・熟語集』
久松健一/著 駿河台出版社 1800円(税別)

このテキスト、最大の問題はCDが付いてないことです。これは困りましたね。英語学習の経験上、目だけで漫然と眺めただけでは、なかなか覚えられません。まして語学である以上、リスニング対策としての効果も高いだけにCDは欠かせません。なので本の評価としては星4つ程度に落ちます。【★★★★☆】

他に熟語本として『フランス基本熟語集』というかなり評判の良い本もありましたが、私はこちらを選択しました。いや、賭けてみることにしました。

それはこの本に記載されたイディオム等の用例は、仏検対策として適切にピックアップされたモノであるとの印象を受けたためです。『フランス基本熟語集』と比べて、覚えるべきイディオムが適度に絞り込まれており、また巻末に250問にも渡る問題集をつけるなど、前置詞やイディオムの意味を暗記し易いよう配慮されていました。試験まで時間も限られていたこともあり、こちらを選択した次第です。
最後にはこの本の例文をワードに打ち込み(全部で26ページ!)、自ら問題集を作りながら覚えました(あ〜苦労した)。

Yahoo!Shopping からもこれの本は買うことができますので、こちらも使って下さい。


★ディクテ対策

ちなみに「ディクテ」とは、フランス語独特の学習方法でして、ゆっくりとしたスピードで話されるフランス語を、ノートに如何に正確に書き写すかを試す試験のことで、「書き取り」とも言われる試験です。
この試験、フランス語の特徴を踏まえた上で、実に合理的にその能力を測ることが出来るものだと感心します。

テープから流れるフランス語を書き取るには、正確に単語のスペルを覚えている必要があり、まず単語の実力も測れます。さらにフランス語は、文法の肝となる動詞や形容詞の活用する部分が発音されないことになっているので、あの難解な文法を知らなければ正しいスペルを書くことはできません。かなり高度な文法の知識を必要とされます。また当然ですが、フランス語を聞き取る能力も試されることになるので、リスニングの力も試されます。

つまりディクテという試験方法は、“スペル+文法+リスニング”と、ほぼ語学に必要な全ての能力を試すことのできる実に合理的な試験なんです。(ただし、私はこのディクテは英語には当てはめられるものではないと思っています。フランス語は英語なんかと比べ物にならないくらい文法が複雑ですしね。)

さてディクテ対策ですが、特にそれ用のテキストは使いませんでした(前置きが長かったのにすいません)。基本的にフランス語のリスニングは英語と比べると随分易しいので何とかなると思っていましたので。易しいと言っても、あくまで「2級合格には何とかなるだろう」という意味なので、そんな私がネイティブの会話をスラスラ聞き取れる訳じゃありませんからね。

なのでディクテ対策としては、単語のスペルを覚えることに注力しました。ただスペルを覚えるだけではなく、動詞活用表や、上に列挙したテキストの例文をひたすら「書く」練習をし覚えることで、文法の学習にもなるからです。TOEICの勉強の時と比べて、使ったテキストの数が少ないのは、この「書く」練習に時間を割いたためなんですね。テキストの代わりに「写経用」のレポート用紙を何冊か潰しましたよ・・・。

あんまりヒネリのない勉強方法ですいません。基本的に学習のコツも英語の時と変わりませんので、何かフランス語の為の特別な勉強法ってのはありませんでした。


★一次試験体験記(TOEICと仏検の違い・・・)

う〜ん、この一次試験は何と言ったら・・・。試験の体験記というよりも、仏検とTOEICの違いとまざまざと見せつけられました。まあ話のネタにということで読んでやって下さい。

まず会場に入って気が付いたのは、欠席者が異常に多いこと。私の教室だけかも知れませんけど、大体2割(いや、もっと?)ほどの机が空いていたんです。TOEICじゃこんなの見た記憶がないなあ。これも考えてみれば“級”のレベルに問題があるんじゃなかあと思います。

仏検ではレベル的に、3級と2級には相当に大きな差があります。何せ合格率が3級では60%なのに対し、2級は30%台とおよそ半分にまでなるのです。欠席者が多いのは、事前に予想問題などを見て、自分のレベルでは合格はありえないことを認識し受験を止めてしまったのでしょう。“級”ではなく、きめ細やかなスコアで受験者のレベルを測定できるTOEICはホントいい試験だなあと思った次第です。

試験が始まり、次に驚いたのが寝てる人が多いこと多いこと。目の前の女子大生らしき女の子も寝てました(笑)。

「こら〜、お嫁に行けないぞ!」



"Tomoko Ninomiya's web"より
『のだめカンタービレ』







どうも仏検は傾向として、試験時間に対しどうも問題数が極端に少ないようなので、こんなことになってしまうようです。何せ受験者の半数以上は仏文科の学生のよう。彼女らにとって仏検2級程度など難しいものではないのでしょう。もっとも「出来た!」と思って昼寝をしつつ、油断して落ちてしまう人も多いのではないでしょうか? 何せ引っ掛け問題が多いですからね。

本来ならTOEICのように、もっと量を多くして出来る人と、出来ない人との差を付けなくてはならないのに、これでは両者の差が付き難くなってしまいます。問題の量で差がつかなければ、試験官はどうやって振り分けるでしょう? 方法は2つしかありません。難易度の高い問題を出すこと。そして相手の裏をかくことです。

下記の私の試験の結果をご覧下さい。筆記試験の[1]〜[3]の問題の点数が、他と比べ押し並べて低いことに気がつくはずです。このイディオムや動詞の活用問題は、毎年仏検では、難問・奇問が出てくることで有名でして、多くの受験者がここで枕を並べて討ち死にします。

そりゃ試験で差を付けるためかも知れませんが、毎年同じ箇所で難易度の高い問題を出すのはちょっと疑問です。問題数が少ない中で、レアな慣用表現・単語の知識を問う問題を出せば、受験者はその表現を、たまたま知っているかいないかの偶然的な要素に大きく左右されることになります。

こんな問題作成者の気まぐれで合否を左右されては、そりゃ文句の一つも言いたくなるでしょう。試験が半年に一度しかないことを考えれば、受験生としても結構リスキーですし、統計的にだって信頼性の低いものになってしまいます。
TOEICがあらゆるレベルの受験者を一つの試験に押し込めているのに対して、仏検はせっかく級別に受験者を分けているのです。そのメリットを活かし、各々の等級に合った問題を出した方が、受験者の実力をより正確に測れると思うんですけどね。

また[4]〜[7]の文章・会話問題も、相手の裏をかくような引っ掛け問題が多いことが特徴です。私如きのフランス語の実力で、問題を分析するなんてことは、ちょっと無理があるかも知れません。でも私は事前に過去問を解き傾向を分析していたので、このような「引っ掛け?」それとも「微妙?」な問題を取り違えないよう、じっくり時間をかけて問題を解いていきました。それで比較的良い点数が取れたのかも知れません。しかし、こういった仏検の傾向を知らなかった人たちはどうだったのでしょう? やっぱり、寝てたんでしょうか?

一次試験の詳細(100点満点)
筆記試験     46/68点
[1]「前置詞」   2/ 4
[2]「慣用表現」  4/10
[3]「動詞活用」  2/10 (ここまでの問題が実にキビシイ!!)
[4]「文章読解」 10/10
[5]「会話形式」 10/10
[6]「文章読解」 12/14
[7]「会話形式」  6/10
書き取り試験(ディクテ) 11/14点
聞き取り試験  10/18点
[1]「単語記入」 3/ 8
[2]「正誤記入」 7/10
一次試験 総得点 67点
合格基準点 64点
合格率 34.3%

◆仏検の信頼性は?

私としては総じて、TOEICは大量の問題を直球勝負でバンバン攻めてくる試験ならば、仏検は少数の問題ながらも変化球主体で攻めてくる試験だと感じました。それと仏検は『統計学』という思想が抜けた、前近代的な試験だなあと(笑)。

実際、その変化の落差の激しさは合格率に如実に現れており、2003年春季の一時合格率が40.0%だったのに対し、2003年秋季は32.4%と、合格率が一気に10%近くも下落しています。仏件の場合、合格基準点は60〜70点の間で調整されることになっていますが、問題作成段階で既に問題の配点が決定されているので、合格率を一定の割合に保つのが難しいのでしょう。難問奇問が多い時には合格率は低くなり、素直な問題が多い時には合格率が高くなるという、検定試験としてはちょっと疑問が残る採点方法を未だに墨守しています。

私の知る他の試験では、偏差値方式を採用するとか、試験後に受験者の出来・不出来を考慮し配点の調整をするなど、合格率を一定の割合に保つ工夫がされているのが普通なんですけども・・・。総じて、仏検は『確率・統計学』という思想が抜けた古いタイプな試験というのが、私の印象です。

◆ラビアン・ローズ 〜 一次試験合格!!

La vie en rose「バラのような人生」
パチパチパチ・パチ〜。

とありあえず、一次試験は合格。詳細は以下の通りですが、合格基準点64点に対し、私の点数は67点。ちょっときわどいところでした。でも1年くらいの勉強で、ここまで来れたのですから、自分としてはまあまあかななんて思っています。

次は、二次試験! フランス人との会話という今までにないハードルが待ち構えています。緊張するなあ。

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