学校英語の欠点「えー加減さを教えない!」


★こんな質問が私宛に届きました・・。

正直言って回答すべきかどうかちょっと悩みました。
この問題余りにもイタイ。イタ過ぎる問題です。私が説明をすることは、こんな問題を出した人に「アタマおかしいんじゃありません?」と言ってしまうものですから、さすがの私もためらうものがあります。

しかしこの質問を下さった方は、そんな英語教育の被害者です。彼らを助ける為にも、私がキチンと説明しなくてはならないでしょう。そんな気持ちで書きましたので、皆さん是非読んで下さいね。


◎質問の内容です・・

 ひとつ質問があるのですが、お聞きしてもよろしいでしょうか?

(a) Don't eat too much candy.
(b) Don't eat too many candies.

という2つのセンテンスについてです。candyにはuncountもcountの意味を持ちます。
なのでこの二つのセンテンスのうちどちらがbetterなのか?というところでこうした
名詞のU or Cについていつも迷うところなのです。

こういうU/Cのニュアンスの違いというのはどうやって区別していけばいいのか
なにかアドバイスがありましたら、宜しくお願いします。

この問題、本当に既存の英語教育、特に文法の教育においては悪い例の象徴のような問題です。こんなもの(a)でも(b)でも、どっちだって良いんですよ。

でもそれでは皆さんも納得しないと思いますので、「どっちでも良い」その理由を説明し、また微妙なニュアンスの違いを説明したいと思います。


★シチュエーションの違い

どちらを使うべきかは、そのたくさんのキャンディーを「数えられない漠然としたひとつのカタマリ」と考えるのか、またはキャンディーを「一つ一つ数えるべきもの」なのか、シチュエーションによって異なります。

  (a) Don't eat too much candy.

幼稚園児がキャンディーをたくさん、口に入れてほおばっている様子を見て・・・・
「そんなにいっぱいキャンディーを食べるじゃありません!!」
当然、口の中にあるキャンディーを数える訳にはいきません。なのでキャンディーを漠然としたかたまりと考え、‘much’を使います。

  (b) Don't eat too many candies.

その幼稚園児はキャンディーを舐めていました。今日で既に5個目です。なのにまたキャンディーを舐めようとして、お菓子箱へ手を伸ばしました・・・・・
「そんなにたくさんキャンディーを食べてはいけません!!」
このようなシチュエーションでしたら、当然「何個食べた?」と数を意識しますよね。なので‘many’を使った方が良いでしょう。

既存の文法書の問題はこのようなシチュエーションの違いにより、どのような単語を使い分けるべきなのかを全く教えていません。いや教えないならまだしも、文法や辞書でこの単語は‘C’だの‘U’だのひたすら暗記させて、文法や辞書の意味でガチガチに固めてしまうため、英語を柔軟に使いこなす方法を全く教えなくなっているのです。

だから文法の教科書で教えられた以外の状況では、英語を話せなくなってしまうのです。学校教育の英語で英語が話せない理由は、単語の柔軟性を教えないからです。

‘much’、‘many’の意味を、「多く、たくさん、いっぱい」等と、数えられるか?数えられないか?辞書に書いてあるとおりの意味しか教えないのでは、絶対に英語を話せるようにはなりません。

まあこの辺までは、他の英語の参考書なんかにも書かれていますので、違いを分かっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。でもここからなんですよ。私が「この問題、イタイなあ・・・・。」って言ってるのは!!


★たくさん?いっぱい!たくさん?いっぱい!・・・・幼稚園!?

えーではちょっと、この二つの英文を訳してみましょう。

(a) much candy. いっぱいのキャンディ
(b) many candies.  たくさんのキャンディ

何か違和感がありませんか?何か変ですよね。「いっぱい」とか「たくさん」って言われても・・・。

実はMuchもmanyも数えられるか(countable)か数えられないか(uncountable)だけの違いで、意味自体は「多い、たくさん、いっぱい」と、具体的にどれくらい数量・程度が大きいのか全く説明がない、極めてあいまいな単語なんですよ。

同じ「いっぱい、たくさん」でも、どれ位の量が欲しいのか、何を指してたくさんと言っているのか、シチュエーションに合わせて単語を使い分けるのが大人というものです。それをただ「たくさん、いっぱい」だけでは、ホント幼稚園児と同じレベルでしかないでしょう。

もともと意味があいまいな単語なのですから、(a)か(b)か?‘much’か‘many’か?と聞かれても、なんのシチュエーションの説明も無しに答えられる訳がありません。

「たくさん、いっぱい」でもこんなに多様な表現方法があるのです。別に英語にかぎらず、日本語だって普通の大人なら上の例のような幼稚な表現はしませんよね。

A large number of  堅い表現
Plenty 有り余るほど多くの
Substantial 物質的な物、またはお金が十分な
Enough うんざりするほど十分な
Full 容器などがいっぱいの、胸がいっぱいの
Crowd 人を押し込んでいっぱいにする

  

こんな幼稚園児のセリフ(キャンディなんかを例に出している時点で終わってます)に対して、文法の規則性がどうのこうの言われても、ちょっとね〜って感じですよね。

こうゆう問題を出した人間の人格を疑ってしまいます。そんなに幼稚園児の言うことを真に受けているんだから、何か変な趣味があるのだろうか?と考えるのは私だけでしょうか?

ルイス・キャロルか? 

まあこのような‘much’とか‘many’など基礎単語が一概に幼稚だと決め付ける訳ではありません。このような基礎単語をくだけた話し言葉では多少大人も使いますが、ちゃんと教養のある大人が丁寧な話言葉や専門性の高い文章を書く場合には使いませんからね。こうゆうのは日本語だって同じでしょう。

でも‘many’を使った時はちゃんと‘candies’複数形にして下さいね。
英語は単数形・複数形の区別はウルサイですよ。単数形と複数形の違いに関しては書くネタがありますが、まあそれは後のお楽しみということで。


★基本単語のあいまいさを知る!!

さーてここからが本題です。

先のページの単語(基礎単語編)のところで説明しましたが、基礎単語は図解で大体のイメージで理解すれば良い。辞書の細かな意味を一々暗記する必要はないと申し上げました。

これは基礎単語を理解する上で非常に重要なポイントなので是非理解して欲しいのですが、基礎単語はワザとその意味の定義をあいまいにしているのです。この「あいまいさ」を理解すれば、英語で話したり書いたりすることがとっても楽になるし、辞書なんかを引いて一々調べることも少なくなります。

基礎単語の意味があいまいな分、逆に応用単語は厳密なでシチュエーションによる使い分けが必要となることが分かって頂けると思います

なぜこんなテキトーであいまいな言葉を使ったりするのか?またこんなテキトーでいい加減な言葉が存在するのか?順を追って説明しましょう。


子供に「キャンディーをいっぱい頂戴!!」と、ある大人が言われたとしましょう。

どのアメを買うかは子供との前後の話の中で分りますし、子供が指をさして教えてくれるでしょう。量は子供が食べられるだけ、子供が持っていそうなお金で買える範囲と常識で決まっています。

要するに言葉以外の情報が既に大量にあるので、極めてあいまいな表現でも誤解なく通じるのです。

このような話のシチュエーションや常識が通じなかったら大変です。「キャンディーをいっぱい頂戴!!」とか言うあいまいな表現は通じませんので、以下のような文章になるでしょう。

「○○社のキャンディー、品番0015を5個を一つのパックに包装し、10パックを購入します。」
「そのキャンディー(指をさして)を、500グラム買わせて頂けるでしょうか?正確に500グラムとならない場合は、前後10グラムの誤差まで許容します。」

という言うように、大人でも非常に説明することが面倒で、うっとおしくなって、お気楽な日常生活では使いません。子供には無理、何も話せなくなってしまいます。

だから基礎単語は、お互いに暗黙の了解で既に分っていることを、このような詳細な説明をせずに、簡単に素早く意思を伝えるためにある単語なので、わざと意味をテキトーであいまいにしているのです
だから子供とか、話し言葉で使ったりするのです。

それを文法や辞書では細かいシチュエーションを一々定義して、基礎単語の意味を非常に狭く定義してしまったのでは、本来の基礎単語の役割を否定しまうことになります。

基礎単語はあえて、意味をテキトーにあいまいにしている単語なのです。細かいことは気にせずに、ドンドン使い倒していきたいものですね。そうすれば英語がグンっと話し易くなります。

前のページで学校教育が「英語の欠点」を教えないことが問題だと言いました。今回は英語のあいまいさを教えないことです。無論、英語の文法や規則をキチっと守らなくてはいけないものもありますが、ちょっと学校教育の英語は極端すぎるようです。日本人が英語を話せないもの、この辺に理由があると考えています。

あ、そうそう。最後に言っときますけど、基礎単語はこのような「えーかげんさ」がある分、法律用語や契約に関する英文では殆ど出てきません。イディオムなんかは基礎単語の組み合わせで意味がどうにでも取れる為、全然と言って良い程出てきません。私がTOEICを卒業するべきだと考えるのにはこうゆう理由があるからなのです。


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