なぜ「不定詞」っていうのかな? 


「名は体を表す」という言葉があります。

「秋桜」と書いてコスモス。
桜のように小さくも美しく可憐な姿は、まさに「名は体を表す」という言葉の通りです。

ひまわりは、「向日葵」。
太陽に似た鮮やかな黄色の花が、力強さと美しさ・・・、相容れないなずのものが同居した、言葉には言い表せない感覚が胸からこみ上げてきます。


「紫陽花」は、陽が時雨に陰る様を「紫陽」と言うのでしょうか?
しかし陰鬱な様はなく、花の色も青から赤紫、鮮やかな白、そして葉の緑色と鮮やかな色のコントラストが、梅雨時に暗くなりがちな気分の中、われわれの眼をなんとも楽しませてくれます。

これらの花の名前のように、日本語は実に豊かな表現を用い、言葉としてくれるのです。



このような話は、花の名前に限られたことではありません。英語だって、そうです。
英語を私たちが学習する際に、的確な説明を使うことで、英語の理解を容易にしてくれます。英文法の用語をちょっと思い出して下さい。関係代名詞、動名詞、過去分詞、冠詞、前置詞、助動詞etc・・・。

学校で文法をsmartに学習されたcoolな皆さんは、これらの用法はすべてご存知でしょう。そしてこれらの言葉と文法が一致していることに気が付くと思います。まさに「名は体を表す」です。


★一応「不定詞」の説明を。

さてさて、ところがなんですが、ただ一つだけ例外があります。それが「不定詞」です。「不定詞」ってのは、あれですよね?

 “to + 動詞の原型”

1.名詞的用法 「・・・することを」
  Try not to be late.「遅れないようにしなさい。」

2.形容詞的用法 「・・・するための」
  Give me something to eat. 「何か食べ物を下さい」

3.副詞的用法  「・・・するために」
  I got up early to catch the train. 「電車に間に合うように早く起きた。」(目的)
  He grew up to be a great man. 「彼は成長して偉大な人になった。」(結果)

 と、まあこんな感じで、説明されてます。

皆さんはもうこの程度なら、十分わかっているでしょうし、もっとすごい「文法的」な説明をできる人もたくさんいらっしゃるでしょう。
し〜かし、どんな文法書にもなぜ「不定詞」と呼ぶのか説明はされていません。不定詞はなぜ「不定詞」と呼ばれるのか? この素朴な疑問が、実は不定詞の真の姿を捉える鍵になるのです。


★「不定詞」・・・「定まっていないことば!?」

まあここは単純に「不定詞」という詞を分解してみましょう。この「不定詞」を意味を漢字の意味から推測しますと、「不定」・・・『定まらず』、つまり「定まっていないこと、一定していない」ことを表します。
不定詞とは「定まっていないことば・・・」であると言い表されます。しかし、一体何が定まっていないのでしょう?

この疑問はいくら考えても「英語」からは答えは出てきません。話は飛んでイスタンブール・・・じゃなくて、またまたフランス語やドイツ語を交えながら説明したいと思います。


★英語に『不定詞』はないぞ!!

毎度毎度、英語以外の話しばかりで、「どうも、すいません。」(林家三平 調)

フランス語やドイツ語の話を持ち出して、「またか〜〜!!」って言われるのも何なんですけれども、どうしても比較せざるを得ないんですよね。

そもそも本来英語には「不定詞」なんて、存在しない文法なんですよ。「不定詞」は本当はドイツ語やフランス語にある用法であって、英語にも似たような用法があったから、ちょっと無理やりこじつけて、「不定詞」という名称をそのまんま使われちゃったものなんですよね。

  一体誰だ!? こんなネーミングをしたオッサンは?

・・・という訳で、英語の「不定詞」を説明する前に、ドイツ語やフランス語に使われている本当の『不定詞』を説明するところから始めたいと思います。

そもそも本来のヨーロッパ系の言語というものは、動詞の変化が多彩なんです。当サイトの「リーディング(文法編)」のところでも説明しておりますが、「私は〜、あなたは〜、彼らは〜」などの人称の変化に対して、英語なんか比べ物にならないくらい動詞が変化をするもんなんですよね。「三単現のS」と過去形ぐらいしか変化のない英語は極めて珍しい、イヤはっきり言って「英語って変!」っていって良いくらいの代物なんです。

まずフランス語の「不定詞」と呼ばれるものを見てみましょう。フランス語の「不定詞」とは、英語で言うならば動詞の「原形」と呼ばれるものに極めて近いものがあります。

動詞の「原形」ってのはあれですよね。主語や時制によって、動詞の形が変わってくるというヤツです。
英語の“love”という動詞なら以下のように変化します。

動詞の原形 「三単現のS」 過去形 現在分子
love loves loved loving

★フランス語で「愛してる」は? 

ところがですね、フランス語の場合ですと、現在形だけ以下のように6種類にも動詞が変化したりするんですよ。これでもね、現在形だけですよ! これに過去形や未来形とか現在分詞とかそれ以上の変化の用法があるで、もうシャレにならないって感じです。

まあそんな、数え切れない程、変化する前の大元の形、動詞の原形を『不定詞』と呼ぶのです。そしてこの『不定詞』が人称や時制に会わせて変化するのです。

例えばフランス語の「好き・愛してる」aimer原形・不定詞)「エメール」を現在形の人称変化は・・・

単数形

複数形

私は

aime

私達は

aimons

あなたは

aimes

あなた達は

aimez

彼・彼女は

aime

彼・彼女らは

aiment

とまあ、こんな風に格変化します。

なぜフランス語は最初に挙げた、変化する前の原形の形“aimer”を、「不定詞」と呼ぶのか?

それは我々が実際に使う段階には、「主語+格変化させた動詞」の組み合わせで使うからなんですね。ちょっと回りくどいけど、ごめんね。

つまり〜

実際に使う段階の語形が「主語+動詞の活用形」となります。

6種類もの形にコロコロと変化する形の方が「定まっていない」ように思えるでしょう。しかし「現実に使う段階」ですし、一度時制や人称の違いで変化した以上、またさらに変化することはこれ以上ありません。現実に使う段階なので、あるべき形に落ち着き、「定まった形」、すなわち「定形」となるのです。

逆に実際に使う前の段階、「不定詞」はこれから人称に対して動詞が変化する前の形で、人称や時制に合わせてこれから「変化しますよ〜」ということになっているので、定まる前の不安定な形、それを『不定詞』と言うことになるのです。

図にするとこんな感じです。


単なる「好む・愛する」(不定詞:aimer という抽象的な言葉から、
「先輩!! 私、好きです!」(定形:Je aime
と、現実に告っちゃうシチュエーションに変わる訳なんです。

このフランス語は覚えておいて絶対損はしないですよ!!
さあ、皆さんで一緒に
 “ジュテーム!

 Je t’aime.“ジュテーム!”「愛してます!」

Je t’aime.

Je

t’

aime

ジュテーム!

私は

あなたを

愛してます
不定詞は
aimer

読み方 ”ジュ” ”テュ” ”エーム”
フランス語解説
Je フランス語で、「私は」の意味。
 t フランス語で「あなたを」の意味
  英語だとI love you.の語順ですが
  フランス語だとyouに当たる代名詞はI you love.”の語順となります。

aime 
一人称「私は・・・」に対する動詞変化「愛してる」。

  不定詞は“aimer ”(が余分についている)

★英語に『不定詞』がない理由は?

さてさて、「不定詞」というものを分かって頂けたでしょうか?

要するに本来の「不定詞」ってのは、本当に文字通りの「定まっていないことば」のことだったんですね。芸がない言われるかも知れませんが、ホント「そのまんま!」なんです。英語に本当の『不定詞』はないと言った理由を分かって頂けたでしょうか? 英語の動詞の変化があまりにも少な過ぎて、たとえ「動詞の原形(不定詞)」を使ったとしても、他の語形と区別がつかないからなんですね。だから“to”を付けることで代替しているのです。

 ほら、全然代わり映えしないでしょ。

動詞の原形

love

I’d love to see you. 会いたいわ。

動詞一人称

love

I love you. 愛してる!

名詞

love

Love is blind. 恋は盲目。

形容詞

love

love affair 恋愛関係、情事


★「不定詞」は非現実の世界

さて、英語の不定詞について説明するに当たって、今まで説明した「定まっていないことば」である不定詞について、ここでちょっと発想を変えてあげる必要があります。

「主語+動詞の活用形」(定形)を現実に使う段階の言葉だと説明しました。じゃあその反対の不定詞はどうだろう? そう、現実とは反対の世界、つまりまだ現実になっていない、まだ行動に移されてない段階を意味する用法になったのです。

つまり図にするとこんな感じになります。

 

★英語の不定詞に戻るよ!

少々分かり難いかも知れませんね。では、実際の例文を交えて、説明してみましょう。

1.名詞的用法 「・・・することを」
  Try not to be late.「遅れないようにしなさい。」 → 実際に遅れた訳ではない

2.形容詞的用法 「・・・するための」
  Give me something to eat.「何か食べ物を下さい」 → まだ食べていない

3.副詞的用法  「・・・するために」
  I got up early to catch the train.「電車に間に合うように早く起きた。」(目的)
  → まだ実際に電車に乗った訳ではない

もうお分かりになったでしょう。「不定詞」はまだ現実に起こっていない現象を表す用法なんです。
そうなると、こうゆう用法に

May I come in. 「入っていいですか?」 → まだ実際に入ってない
I will write to you as soon as I arrive in London. 
「ロンドンに着きましたら、すぐにお手紙を書きます。」
 → まだ手紙を書いてない
 

こちらは「助動詞+動詞の原形」でちょっと用法は違いますが、『原形』が不定詞に近い用法で使われるのは理解できますよね。

ここでほんのちょっと気を付けて頂きたいところは、「なるほど〜、つまり不定詞は未来を表すことばなんだ〜」と思ってはいけないことです。なぜなら、こんな用法もあるからです。

He can speak English very well. 「彼は英語はバッチリだよ。」
 英語は話せるが、実際に今話している訳ではない
 → 未来の話ではないですよね。

★不定詞にはなぜ“to”を使うのか??

さて今までの説明の中で、一つおかしいものがあったのに気が付いたでしょうか?
勘のいい皆様はすぐに気が付いて頂けたでしょう。(てゆーか、誰か突っ込んでくれ!!)

不定詞の副詞的用法の一つ、「結果」を意味する例文です。

  He grew up to be a great man. 「彼は成長して偉大な人になった。」

そう、この例文を読むと、「彼は『現実に』偉大な人になった」と書かれており、「非現実」のはずの不定詞の用法とは矛盾してしまうのです。これは何故か? 私の説明が間違っているのでしょうか?

いえいえ、間違ってなんかないですよ。ここに不定詞のもう一つの謎があるからです。それは何故不定詞に“to”を用いるかです。フランス語やドイツ語の不定詞は「非現実の世界」を意味する用法だと説明してきました。

しかし、英語の動詞には『原型』はあっても「不定詞」はない。
“to+動詞の原型”で便宜的に代替しているだけと説明したことと関係があります。

この“to”の用法が不定詞の矛盾と謎を説明する鍵となります。まず例によって“to”の意味を例によって図で説明してみましょう。


“to”の意味を図解で説明します。

この図の矢印の部分が“to”意味です。何のへんてつもないそのまんまの説明となってしまいますが、ちょうど日本語の訳語の「〜へ」という説明でピッタリですし、簡単ですよね。

ちょっと説明を加えるならば、単に“A→B”だけでなく、AとBは必ずペアになるということです。ペアと言っても純粋に“A=B”と、均等の関係でもないようです。英語は左から右に読むものなので「主=従」というような関係になるようです。「これじゃ“A→B”と変わらないじゃないか!」という方もいらっしゃるかもしれません。そう思って頂いても結構です。ただ必ずペアになるとだけ考えてもらえば間違いありません。

ペアを意識した“to”の図。

一応その「主=従」の例文を挙げてみますと・・・

「対比」を表す用法「 …に対して,…対,…につき.
  He paid one penny to the pound  1ポンドにつき 1 ペニーの割合で払った。
てな感じで、“one penny”が主になるのが分かると思います。彼が払ったのは「1ペニー」ですからね。
○「比較」を表わす用法「…に比べて,…より」
  I prefer walking to driving. 運転するよりも歩くほうが好きだ
そうなると“prefer to・・・”の関係も分かりますよね。“walking”が主になります。

あと、一応念のために付け加えて置きますけど、以下の様な例文は『言わなくても分かってる』ってもんです。まさか「ペアになっていないじゃん」なんて、突っ込んでくる方はいませんよね・・・。

turn to the right 「右へ曲がる」
The light has changed to red. 「信号が赤に変わった」

★「不定詞」よ、もう一度

さてこの“to”説明も済んだし、不定詞の用法と例文をもう一度見てみましょうか?

1.名詞的用法 「・・・することを」
  Try not to be late. 「遅れないようにしなさい。」

 “try → not be late
 “
try = not be late
これなんか「主=従」か? それとも“A→B”かな? どちらか迷うところですが、まあ微妙な違いでしかないので読む人の判断にお任せします。
2.形容詞的用法 「・・・するための」
  Give me something to eat. 「何か食べ物を下さい」
  something = eat
これは「主=従」で間違いないですよね。
3.副詞的用法  
 He grew up to be a great man. 「彼は成長して偉大な人になった。」(結果)
 grew up be a great man
これは“A→B”に間違いありませんよね。

「非現実」のはずの不定詞の用法の矛盾するのは、“to”の意味が優先された結果だったんですね。

要するに不定詞ってのは、いやいや失礼不定詞だけではありません、前置詞“to”のあるものは実は左から右へと単に読めば良いだけ(“A→B”)の話なんです。

ですから、私が実際に英文も読む時も、前置詞の「〜へ・〜に対して」とか、不定詞の名詞的用法「・・・することを」、形容詞的用法「・・・するための」、なーんて全然考えません。

 “to”があれば、「ああ、前の文の説明が続いているんだな。じゃあ、左から右へ(“A→B”)とそのまんま読んで・・・」と、特に文法的なことは何も考えないまま、流れるように読んでいます。それで問題は全然ありません。ハイ。


★これは×だよ〜

さて、次の例文を読んでみて下さい。

 × To read books like that is stupid.

○ It's stupid to read books like that.

「そんな本を読むのはばかげている。」

学校では、このように“to〜”が文頭に来る英文はおかしいと教えられます。誰も明確な理由を教えてくれませんので、皆さんも「なんでだろう?」と不思議に思われていたでしょう。でも今なら分かりますよね!“A→B”とペアになってなくちゃならないものが、一つしかないのですから。

まあ仮に使われても、例外的なものなので覚えなくても良いです。例外とはどうゆうことか?と言いますと、皆さんにもあるでしょ、「ハズシ技」や「フェイント」を使うことが。いつもとは違う技を使って、相手の気を引いたり、自分の『本当の意図』を伝えようとしているのです。

例えば・・・

To tell the truth, you are cheated by him. 「本当の事を言うと、君はだまされてるんだぜ。」

“to”の基本とは違う使い方とすることで、『本当の事を言うと』と強調する、相手の注意を引くことが出来ますよね。

私としては、このような原則から外れた『フェイント的な技』は覚えて欲しくないし、文法の教科書も教えるべきではないと思います。スポーツでもフェイントの練習ばっかりさせる人はいないでしょう。本当の役割と基礎が分からなくってしまいますからね。でもこうゆう『小技』ばかりを覚えて自慢するやつもいるし、教えたがる馬鹿が多いんだよね・・・。こうゆう人達が日本人の英語をダメにしているんですよ。


★「目的(・・・するために)」の用法の不定詞には気を付けて

さて、先程の説明からこっそり除いておいた、不定詞の「目的」にかんする用法ですが、ちょっと読んでみて下さい。

I got up early to catch the train. 「電車に間に合うように早く起きた。」(目的)
got up catch”?
got up catch”?

何かしっくりくるものがありませんよね。“A→B”でも「主=従」のどちらでもない。これはどうなっているのでしょうか?

これは簡単です。この目的の用法は、正確な表現ならば“in order to〜”となるはずのものを省略してしまったものですから。

I got up early in order to catch the train. 「電車に間に合うように早く起きた。」

なので、「目的」の用法として明確にしたい場合には、必ず“in order to〜”として下さい。

不定詞の用法は、名詞・形容詞・副詞となんでもありの状態となっているので、読み手に誤解を与える危険性があります。でもさすがにネイティブスピーカーは、このへんの不定詞の欠点をちゃーんと知っているようで、比較的長い英文、特に自分の意図を正確に伝える必要のある法律・契約関係の英文では必ず“in order to〜”が用いられていました。

不定詞でも、原因とか結果とか目的とか、色んな意味がありますけれども、単に「あれもある、これもある」では読み手が混乱して正確な意味を伝えることが出来ませんからね。変な誤解を避けるために、本来英語の文法でも、一つの用法に対して、原則的に一つの意味しかありません。現実に使われる用法は極めて集約されます

それが前置詞“to”の“A→B”の機能と
「不定詞」の『非現実の』の用法です。

知性のある人間が文章を作成する場合、そこには必ず「読み手に誤解を与えない配慮」がなされているはずです。特にTOEICの場合は、純粋に英語のコミュニケーション能力を測ることが目的なので、比喩的な表現や文章が用いられがちな小説などの文章は絶対に出てきませんし、例外的な用法はないと考えてもらって間違いありません。


★文法自慢のお馬鹿さんたち・・・

それなのに、「文法、文法!」と大騒ぎする馬鹿な先生たちが、重箱の隅を突くように、「あれもある、こんな用法もある」と言い出すから困るんですよね〜。本来の機能以上に複雑に説明をするので、逆に正確な意図を伝えにくくしてるのですから、本末転倒も甚だしいんですよ。

こーゆーのは自分の知識を自慢するために、ほとんど使われない例外的な用法を並べ立て悦に浸っているだけのものなので信じないように。

でも、もしかしたら実は彼らは馬鹿どころが、非常に頭が良いのかもしれません。だって日本人がみんな英語が出来るようになったら、『英語の先生』ってメシを食っていくことが出来なくなるのですから。
だからワザと英語を難しくしてるんですね。

サギじゃん!!

トップページへ戻る