なぜ文法でネイティブは無視される?  


★実践と受験文法の違い・・・

突然ですが、私は文法はあまり重視しない派です。

その理由は「リーディング(文法編)」で述べている通り、「英語は欠陥語である」という理由のみならず、どうも受験文法と実際に使われる文法にギャップがあることから、受験文法で頭をガチガチに固めることに賛成できないからです。

そのギャップの例として、不定詞については「英文法(その2)」で取り上げましたが、他にもこんな不思議?違い?があります。

◆大過去
受験文法では、相当の時間を割いて時制なるものを勉強します。そのバラエティも様々で、現在形、現在完了形、過去形、過去進行形、過去完了形、未来系、未来完了形などなど。本当はもっとたくさんありますが、これぐらいにしておきます。実際、時制の問題はかなり複雑で、受験生泣かせの問題が多かったはずです。

その中で、皆さん「大過去」なる用法を覚えているでしょうか? 過去形と過去完了形を使い分け、時間の前後関係を明確にするというアレです。

I realized that I had left my umbrella in his car.
彼の車の中にかさを置き忘れたことに気づいた。

でも、実際の英語を読んでいると、このような複雑な時制を用いることは実に少ない。なぜなら時間の前後関係を表す場合には、beforeやafterを使用したり、日時を明確に記載するのが普通です。わざわざ複雑な時制を使うよりも、この方が簡単ですし、読み手を誤解させることもありません。なので、実際の英語では時制はかなりシンプルです。過去ならば、過去形一本で通すのが普通です。仮に使われたとしても、先程に挙げた接続詞や日時に目が行ってしまうので、気づかずにスルーしてしまうことでしょう。なので私は本当に、大過去を見た記憶がありません(笑)。

それにTOEICでは、問題の正誤を明確に白黒付けなくてはならないので、このような「微妙な意味の使い分け」的な用法は滅多に出ませんから、ご安心下さい。TOEICで気を付けるのは時制の一致ぐらいです。

◆ifを使った仮定法
仮定法なんかも、学校ではそれはそれは長い時間をかけて勉強しました。仮定法過去とか仮定法過去完了とかいうアレです。実際の英語ではifを使った仮定法なんか実に少ない。
特にTOEICはビジネス英語なので、「もしも〜ならば」などと言う現実にはない空想的?な仮定的な話しなんてほとんど出ません。仮定法に出てくる例文なんて、ほとんどポエムの世界ですからね。

むしろ実際の仮定法ではif以下の条件文を省略するケースがほとんどです。仮定法で最も多く現実で使われるのは、「〜して頂きたいのですが」など「丁寧」さを表す用法です。この場合もifは使いませんし、敬語のような「微妙な意味の使い分け」は、どう考えてもTOEICの問題に当てはめられるとは思いません。

実際に以下に紹介するネイティブの文法書では、仮定法をトピックの一つとして取り上げているものはありませんでした。あくまで問題の一つとして説明しているだけで、本当にone of themの扱いです。

本当はもっと違うところは多々ありますし、文法以外でもニュアンス的なもので異なる点は多々あります。しかしそう言ったニュアンス的なものは、私の拙い英語力では説明できません。ご容赦下さい。


★文法だってネイティブが・・・

このように受験文法と実際の英語には、異なる点が多々あります。さすがに、受験文法と実際の英文法が違うとまでは言いません。一応、文法自体は同じです。しかし英語を読んでいると、高校であれ程クドクドと説明していた文法事項が、実際にはほとんど使われていないケースが実に多いことを、私ずっと不思議に思っておりました。どうも我々日本人とネイティブが見る視点は文法においてもかな〜り違っているようです。

そして実際にこのギャップはTOEICの文法問題にも顕著に現れています。なので、従来の受験文法に血眼になるよりも、ネイティブが重視する文法にちょっと軌道修正をしてあげれば、比較的簡単に文法問題のスコアアップができると思います。基本は既に受験文法で習っていますしね。

そこで皆様へ私からの「提案」なのですが、どれか一冊、ネイティブ監修付きの文法問題集をやってみては如何でしょうか

私の経験では、英語の不自然さを感じさせなかった問題集は、ネイティブの監修がついていることが多いです。文法で重視されている項目も、実践の英語に近いように感じられます。

それにネイティブ監修付きの文法問題集は、日本人のそれが文法理論をせっせと解説する重厚なイメージがあるのに対して、実際にアメリカ人が特にwritingで、ついウッカリ間違えそうなケースをピックアップしているように感じられます。文法理論よりも、知識の有無を問う問題、また「ついウッカリ」とする問題が多いためか、解説が意外とアッサリしていることも共通した特徴です。この解説の物足りなさゆえか、こういった文法問題集はAmazonでも上位ランクに位置することはないようです。

「提案」としているのは、「お薦め」などと少々言い切れないものがあるからです。日本人の作る文法問題集と、ネイティブのそれとでは、明らかに傾向は違うことを「感じる」ことはできるのですが、具体的にどのように違うのかと言うと、なんとも「説明」するのが難しい。ごめんなさいね。そりゃ具体的な説明もできますが、星の数ほどあるTOEICの文法問題から、一つや二つ説明しても全然意味はないですし。

でも世間ではリスニングやスピーキングに関しては、ネイティブ・スピーカーに対する根強い信仰があるのに、なぜか文法に関しては誰一人として見向きもしません。一体どうしてでしょう? TOEICの問題を作っている人も、もちろんネイティブなのですから、文法だって彼らの言うことに少々耳を傾けても良いような気はするのですけど。

私の根拠のない話を聞いても皆さんちょっと納得出来ないでしょうけど(本当に根拠も説明もなくて、すいません)、文法でもちょっとネイティブの意見も聞いてみては?というのが私の提案です。

無論、受験文法書も馬鹿にする訳ではありません。結構、解説が丁寧で感心させられるものもあります。ただ既に高校・大学で勉強済みなので、それ程ムキになってやる必要はないかと思います。まあ私からは、両方のバランスを取るために、実践派の文法問題集も一冊どうでしょう?と言うくらいです。

この問題については、是非、皆様からご意見を頂ければと思っています。


★私がこんな風に考えた経緯を記します。

TOEICの勉強を再開し、単語・リスニングなどの復習&思い出しを一通り終えた後、自分の実力を測るために、『TOEIC公式ガイド&問題集〈Vol.2〉』をやってみて驚きました。文法がボロボロで、以前より相当悪くなっています。

PartXでは40問中、30だけしか合っていない。PartYに至っては20問中、たった半分の10問しか正解していません。どうやら文法を相当忘れていたようです。もう、アイタタタ・・・って感じで、本当に参りました。

ということで対策として、文法関係の本を探しましたが、高校英語のような網羅的な文法は、実際に使われる英語とはかなり違います。受験文法書を一からやり直したとしてもTOEICでは役に立ちませんし、勉強の効率も悪い。一体どうしたものか?と悩みつつ、見つけたのがこれです。

ネイティブ監修

『TOEICテスト 文法問題がわかる!―必要な「コア知識」と解法のスキル』
松野 守峰、宮原 知子、ラスカイル・L. ハウザー(著)
実務教育出版 1,600円(税別)
何か実践的な、そしてTOEICに向いた文法書はないかな、と手当たり次第本を探していたとき、たまたまこの本の目次をチラっと見ただけで、他の文法書とは違うと感じました。そこには実際に使われることはない、でも受験英語でありがちなifを使った仮定法とか、必要以上に難しくしている不定詞の○○用法なんてものがなく、実践に近い問題集だと直感し買ってみました。結果は、大成功!
文法問題を考える上で重要なことは、問題を割り切って考えることです。
文法の用法は多岐に渡り、用いる文法によって微妙に文意が違ってきたりします。しかしTOEICの場合は、当然「○」「×」でしか答えがありませんので、そのような「微妙」な違いとは無縁です。このテキストは、「こんな用法もある」、「あんな文法もある」等と判断を迷わせるような網羅的説明をすることはなく、「この場合は、こう!」と明確、かつ素早く回答を出す思考方法を教えてくれます。TOEICに必要な「割り切り方」を身に着ければ、文法問題もスムーズに解けるはずです。
これを使った直後のTOEICでは、5年ぶりの再受験ながら、リーディングは400を超えました。お薦めです。【★★★★★】

純日本人

『TOEIC TEST 英文法スピードマスター ― 1問30秒・驚異のスピード解法で900点をめざす』
安河内 哲也(著)Jリサーチ出版
1470円(税込)
リーディングで400を突破した後、900点を目指すというタイトルから購入しましたが、ダメでした。問題に出されている英語が変なんです。なぜ私如きスコアの低い人間がそんなことを言えるかですって? だって解説についている、問題の英文を訳した日本語ですら変なんですもの。(すいません。実例を出そうかと思いましたが、本を既に捨ててしまったので。)
実際にAmazonの書評でもそのような意見が多いです。900以上と難易度を設定したために、無理に問題をひねり過ぎたのでしょうか? いずれにせよ、これでは文法の勉強にはちょっと・・・という感じです。
それに説明している文法事項も、バリバリの受験文法です。先に挙げた文法問題集と比べ、あまりにも傾向が違う。
この英文の不自然さ、そしてこの傾向の差は一体なんなんだろう?と素朴な疑問が浮かぶ中、あることに気が付きました。先の『TOEICテスト 文法問題がわかる!』には、著者に複数名、外人(ネイティブ)が含まれています。「そうだ!今度はネイティブのチェックが入った問題集にしよう」と選んでみたのが次の一冊です。【★★☆☆☆】

ネイティブ監修

『TOEICテスト実戦シリーズVol.4グラマー&ボキャブラリー』

松本 圭子、David Trespel、Shawn Mcllroy(著)
東京書籍 1,785円(税込)
やはりネイティブが共同著者として入っているからでしょうか、文法の傾向も実際に近く、英文も日本人が書いたような不自然さもなく、上記の『TOEICテスト 文法問題がわかる!』に近いジャンルと言えます。
問題数がちょっと少ない点が難ですが、なかなかの良作だと思います。私もなんだかんだ気に入りまして、この本のシリーズをリスニング・文法・リーディング共に3冊も買ってしまいました。テキストの質もさることながら、巻末の『Q&A』面白かったからです。他のTOEIC本との差別化に一役買っています。著者も上手いこと考えますね。【★★★★☆】
ただこの時点ではネイティブ文法に対する確信はありませんでした。この問題集、素直な英語で傾向もTOEICに合っていると思うけど、ちょっと量的に物足りないのが不満でした。そこで選んだのが次の一冊。

純日本人

『TOEICTEST文法別問題集780問』

石井 辰哉(著)講談社
2200円(税別)
実は当初は本の内容についてはそれほど期待しておらず、780問という問題の数と、各々の問題に詳細な解説を付けていたことから、ダメ元で選択したものです。問題集の質って、ちゃんと問題を解いてみないと良し悪しが分からないんですよね。
ところがこれも大当たり! 上記の本より、受験英語に近いかな?ちょっと不自然な英語があるかな?という感じもしますが、解説が丁寧で分かり易い。今更ながら解説を読んで、納得・感心させられたものも多かったです。比較的受験文法的な要素が強いですが、数をこなして、自分の知識の穴をなくすのに絶好の問題集です。問題も良問そろいで、この本を使ったあと、リーディングの最高は420へ。【★★★★★】

純日本人

『総合英語Forest』 

桐原書店 1420円(税別)
あと私も、受験英語用の本で復習しました。念のために、文法事項で忘れている項目がないか確認のためです。
星の数ほどある受験文法書の中で、この本を私がチョイスした理由は、不定詞についての解説を読んだからです。この本の不定詞の項目を読むと、私のサイトの『英文法(その2)』のページにあるように、不定詞は「未来をあらわす」ものであると説明しています。この不定詞の原則を知っている人がいることに感心したと同時に、自分の解説の正しさが証明されウレシク思った次第です。
時制や不定詞など一部の項目の解説は秀逸でした。この本は共同執筆のためか、それ以外の項目の解説はちょっと今一つな気もしますが、説明は詳細に、かつ網羅的に書かれているので、文法事項の確認のためという目的にはピッタリでした。あくまで、「念の為」にやったものなので、軽く通したくらいですけど、当初の目的通り役に立ちましたよ。【★★★★☆】
それとバリバリの受験文法書ながらこの本を取り上げた理由は、今まで覚えた不必要、網羅的な文法項目を、取捨選択・整理することのできる引き算の要素のある文法書だからです。
例えば、この本ではアメリカ英語とイギリス英語の違いをこまめに説明しています。今まで英語で、同じ意味となる用法になぜ多くの表現や用法など重複してあるのだろうと不思議に思うことが多々ありましたが、その謎が解けました。アメリカ英語とイギリス英語の違いだったのですね。もちろんTOEICは米語をベースにしていますので、これで余計な文法を覚える必要がかなり減ります。また口語と文語による文法の違いを説明していることも、文法の整理に一役立ちます。
他にも、先に私が説明した大過去などの用法の話も、この本には載っていました。もし受験勉強の復習にという時は、この本がお薦めです。

純日本人

『TOEIC文法 急所総攻撃』
『TOEIC文法 鉄則大攻略』
長本 吉斉(著)
明日香出版社 2,345円(税込)
大学受験レベルの文法さえも忘れていることに愕然とし、恥を忍んで私が今まで厳しい評価をしてきたこの本をやり直そうかと思いました。一度勉強したことのある本を読んだ方が「思い出し効果」は高く、スピーディーに復習が進みますからね。プライドよりスコアアップ優先です。
しかし立ち読みして、中身を確認しただけで止めてしまいました。
解説及び付属の問題は、受験文法的傾向が強いです。それでありながら、文法の解説は論理的・体系的な説明がなく、結局暗記中心の受験文法と変わりありません。こうゆうのを読むくらいなら、『ネイティブスピーカー』シリーズをお薦めしたいです。英語の文法を論理的にかつ楽しく教えてくれるので、一度読めば、納得づくめで絶対に忘れることはありません。
また、2冊分のボリュームがあるので内容もさぞ・・・、とお思いになるかも知れませんが、実は2冊合わせたページ数は『総合英語Forest』とあまり変わらなかったりします。『総合英語Forest』は『急所』『鉄則』より薄い上質の紙を使っている為、内容に比べ本も比較的薄く収まっています。一冊だけで済みますので経済的にもよろしい。さらに『Forest』はカラーで見易く、イラストも付いて分かり易くと、あらゆる面で差がついています。【★★☆☆☆】

純日本人

『スコア別 TOEIC TEST GRAMMARパーフェクト攻略』
松野 守峰(著)
桐原書店 1,680円(税込)
ネイティブの監修付きの方が良いのではないか?と、徐々に確信を深めていった理由に、この本があります。実はこれ、先に挙げた『TOEICテスト 文法問題がわかる!』と同じ著者の文法問題集です。
著者が同じなので、今度も当たりだろうと、高い期待を持ちつつ本を読んでみましたが、何か違います。英語がどうもスムーズでないし、問題数も少なく、解説もどちらかと言うと受験文法的のような・・・。前の問題集ではこんなことはなかったのに。
立ち読みだけですが、問題や解説の傾向の違いはハッキリと感じ取ることができました。この本のレイアウトが悪く、解説が読み難かったのも、買わなかった理由でしたが、本当に同じ著者が書いたのか?と思ってしまった程です。

ネイティブ監修

『TOEICテストスーパートレーニング 文法・語法・正誤問題編』
木村 哲也、水嶋 いづみ、ジョセフ ラペンタ(著)
研究社出版 1800円
こちらはネイティブ監修による文法問題集ですが、若干丸暗記的要素が強いです。問題の解説も比較的アッサリめです。しかしこの問題集では、こんなことを説明しています。
碁は「打つ」、将棋は「指す」と言い、逆にするとおかしな日本語になるように、〈動詞+名詞〉の特徴的な結びつきが英語にもあり、これを「コロケーション」(collocation)と言います。・・・・・・「ケーキを焼く」はbake a cakeですが、「パンケーキを焼く」ときはmake a pancakeがコロケーションであり、理屈が通用しない分野です。
丸暗記なら、せめてこれくらいの解説はして欲しいなあ、と思います。ただの丸暗記でも、英語に対する意識が違ってきますからね。【★★★★☆】


トップページへ戻る