単語(イディオム編):暗記は絶対不可能です!


★“HOLD UP”は「手を上げろ」じゃない!?

 “HOLD UP!”

という英語を誰でも聞いた事があるはずです。西部劇・アクション映画では主人公が悪役に銃を突き付け相手を制し、悪役は両手を上げて降参する、あのセリフです。この“HOLD
UP”という英語を我々日本人は間違い無く、「手を上げろ」という意味で覚えているでしょう。

しかし実はこの“HOLD
UP”は全然違う意味なのです。ウソと言われるかも知れませんが本当です。

実は“HOLD UP“はどちらかと言うと”STOP“(止まる)に近い意味で、本当に「手を上げろ!」なら、“HANDS UP”になるはずです。では何故この様な誤訳が生まれて来たのでしょうか?今回は“UP”という単語の本当の意味を説明し、この誤訳の生まれた訳を説明したいと思います。


★”UP”の意味!

“UP”の日本語訳は当然「上」を意味しますが、実際の“UP”は単に「上」というだけでなく、実に多彩な意味を持つ単語なのです。先に述べた“HOLD”同様、基礎単語であるほど日常生活での使用頻度が極めて高いので、そのシチュエーションや文脈によって非常に多彩な意味を持っており、日本語による多数の訳語が出てきてしまうのです。

“UP”を説明するのに「ネイティブスピーカーの英語感覚」の一部を参考にさせて頂きます。(著作権に引っ掛らないように。)

図解 容器が増加するイメージ

容器が満杯になったイメージ

イメージ 容器の水面が上の方向に上昇していくことから、「増加」イメージが出てくる。 容器が水面がどんどん上昇し、満杯になったイメージから
その意味 数、スピード、価格等様々なものが上昇し、「増加」する様子を表す。

満杯になって
「終り」「止める」


満杯になったから
「完全に・全部

基本単語“UP”の意味の多様性を少しは理解して頂けたと思います。他にも“UP”は、例えば「出現・接近」、「勢い・活発」等の違う意味があるのですが(ここでは全て説明できないのでテキストを買ってネ)、全て上記の図のように“UP”「上」という基本概念から派生している意味なので、決して覚えることは難しくありません。


★”HOLD UP”のホントの意味は?

ここで“HOLD”の基本的概念を思い出して頂きたいのですが、“HOLD”とは「一時的にあるものを手につかむ、または動きを止める」ことです。
さらにこの満杯になって「終る・止める」“UP”の意味とを重ね合わせれば、“HOLD
UP”は意味していることが推測できるのではないでしょうか?

つまり銃を突き付けて手を上げろと言っているのではなく、“HOLD UP”は「動くな・止まれ」という事を言っているのです。

銃を突き付け「動くな!」と相手に言うことで、
   ↓
相手は降伏と抵抗しない意志を示す為に結果的に
「手を上げる」ことになるのです。

“HOLD UP“「止まれ」の意味

HOLD UP HOLD UP
動くな・止まれ 動きを止める 完全に・終わり

しかし皆さんも知っているように“UP”は元々「上」を示す単語なので、“HOLD UP”でも、もう一つの意味が考えられます。

“HOLD UP“「持ち上げる」の意味

HOLD UP HOLD UP
持ち上げる
掲げる
手につかむ 上へ

実際に“HOLD UP“を辞書で引くと、下記の様に多数の訳語が載せられていますが、実際はたった二つの意味でしかないのです。

かざす、掲げる 持ち上げる・掲げる
模範として挙げる、示す 持ち上げる・掲げる
上げる、持ち上げる 持ち上げる・掲げる
遅らす、(引き)止める 動くな・止まれ
ピストルを突き付けて強奪する 動くな・止まれ
※1〜3の意味から「手を上げる」ってのもあるんじゃないか?と思われるかもしれませんね。でもそれなら英語では”Hold your hands up.”となるはずですが、”your hands”を省略しちゃったら何を上げるべきなのか分からないでしょう。
試しに’holdup’の名詞形の意味を見て下さい。「何かを上げる〜。」って意味は全くありませんから。

この様に非常に数の多いイディオムの訳語も、基礎単語の本質的な意味を知っていれば、簡単に覚えることが出来るし、また文脈やシチュエーションからそのイディオムの意味も容易に推測できます

むしろ辞書に書かれている通りの何の関連性も無い訳語を機械的に覚える方が困難なのではないでしょうか?


★他の例を見てみましょう

もう一つ例を挙げると“HOLD ON”(ホウドン)というイディオムがあります。

このイディオムは英語で電話をかける際には必ず使われるもので、「電話を切らないで、ちょっと待ってて」という意味なのです。

この“HOLD”と“ON”の基本概念を説明すると下記のようになりますが、この“ON”はテレビのスイッチを入れる時の“ON”“OFF”と同じ意味を表しており、つまり“HOLD ON”とは「電話を通話状態(ON)にした状態のままでいて下さい(HOLD)」と言っているのです。

“HOLD ON”「電話を切らないで待ってて」の意味

HOLD ON HOLD ON
電話を切らないで待つ 動きを止める スイッチオンのON

しかしイディオム(熟語)と言っても“HOLD UP”や“HOLD ON”だけではありません。これがイディオムの一番厄介な点なのですが、英語のイディオム(熟語)は基礎単語の組合わせで無数の意味が生まれてしまうのです


★イディオムの数は無限大。だから・・・

例えば基礎単語の MAKE を辞書で引いて見ましょう。

MAKE AFTER MAKE AWAY MAKE BELIEVE
MAKE GOOD MAKE FOR MAKE DO WITH
MAKE IT UP MAKE LIKE MAKE OUT
MAKE OVER MAKE UP MAKE UP FOR
MAKE WITH

やはりこれも切りがありません。MAKE のイディオムだけでもここにも数え切れない程あります。これらのイディオムの辞書の「訳語」を暗記するなんて、誰がどう考えても無茶な相談です。

だからネイティブスピーカーと同じ様に基礎単語の根本的な概念を理解し、文脈やシチュエーションに応じてイディオムの意味を自分で推測することが重要なのです。

実際に単語帳等に出てくるイディオムも、単語の概念さえ知っていればすぐ理解できるものが多いのです。本当に丸暗記するだけのイディオムは相当に少なくなり英語を勉強する効率がぐっと上がるはずです。


★テキストの紹介

お薦めのイディオムのテキスト!

◎ネイティブスピーカーの前置詞
◎ネイティブスピーカーの英語感覚    研究社

TOEIC 初心者〜600
前置詞や副詞などイディオムで動詞とセットとなる単語の解説をしています。これでもうイディオムを暗記する必要はありません。

◎TOEIC必修イディオム ジャパンタイムズ

TOEIC 600〜700
上記の例のような単純な基礎単語と前置詞の組合せによるイディオムは入っておらず(これだと覚える組合せが無数にありますからね)、覚えるべき英語の言い回しがシッカリ掲載されています。CDもついてリスニングにも最適です。

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