その20です 。
長いお休みをいただき、ご迷惑をおかけしました。
今年もフランスへ家族で行ってまいりました。
美味しいものを食べて、子供達とたくさん遊んで、とても良い旅でした。
今回は旅行記のような形でお届けしようと思います。
文が長く、少し写真が多いので重たいかもしれません。ご了承ください。
今年はフランス北西部ブルターニュ地方へ行ってきました。
ブルターニュは海に囲まれた地方なのですが、南仏とくらべると少し地味な場所のようで、あまり、ガイドブックにも載っていません。
なぜブルターニュかというと、大好きなクイニーアマン(フランスではクイニャマンのような発音でした。)の故郷だということや、
海塩の産地ゲランドの近くだということ(ゲランドには行けませんでしたが。)
海に行きたいという子供たちの要望などから、「よし、今年はブルターニュ!!」となったのでした。
パン屋は夏の暑い時期に休むのが妥当なので、どうしても航空券の料金が高い時期に行くことになります。
なので、3ヶ月以上前から航空券だけは確保しているのですが、(安いチケットは早くなくなってしまうので)
これが今回は代理店のミスでキャンセルになっていて、出発まで3週間という所でそれが発覚。えーっ!!!という感じでしたが、
何とか、無事に別の航空会社で行くことができました。
航空会社は香港経由のキャセイパシフィック。
本来は上海経由の中国東方航空で行く予定だったので、
乗り継ぎ時間が短くなり、結果としては良かったのかも。
でも、帰りに上海に寄る予定だったので、それがとても残念。
飛行機ではまず、成田から香港の飛行機で長女ユズが飛行機酔いしてしまい、
困っていると「良かったら、あちらの広い座席へどうぞ」とユズのみビジネスクラスへ。
寝ているのかと思ったら、スチュワーデスさんたちと楽しくおしゃべりしていたもよう。
「パン屋さんなんですって?」と言われてしまいました。
その後香港で乗り継ぎ、(空港の端から端まで歩きました。かなり遠いです)パリ行きへ。
ここから子供たちも私たちも熟睡。日頃の睡眠不足を解消しましたが、
体はあちこち痛くなりました。子供は元気いっぱい。
定刻通りにパリに着き、モンパルナス行きのバスに乗りまた熟睡。行き先が駅ならばタクシーよりもバスの方が広くて快適かもしれません。
モンパルナス国鉄駅からカンペールまで今度は鉄道TGVの旅。
4時間半、景色でも眺めつつサンドウィッチでも食べながら、ゆっくりしようと買い物しているとあっという間に、出発の時間。
あわてて列車の行き先とホームの番号を見合わせて飛び乗りましたが、乗るはずの19号車はなく、行き先も途中のレンヌ。列車番号も違います。
あー間違えたと思っても、どうすることもできず、車掌さんにチケットを見せると「あぁ間違えたね。違う電車だよ。」とのこと。
私のフランス語力ではそれしかわからず、何とか次で(といっても次の駅は2時間後到着のレンヌ)乗り換えればいいらしいことを聞き、
席も提供してもらったものの(TGVは全席指定なのです。)どうやって乗り換えるか等々考えながら、不安な2時間を過ごしました。
着いてみたら何のことはない長ーい列車の前方後方でした。(本気で長い!!)
その後は快適に列車の旅。TGVものすごく速いです。歌じゃないけど畑も家も飛んでいく!
カンペールは古い町並みとクレープと陶器の町。
さっそく着いた日からクレープを食べました。
クレープと言っても原宿にあるようなものではなく、そば粉で作った薄くカリッとした生地にハムや卵、時には魚介類のクリーム煮などをのせたものでガレットと呼ばれるものです。
それを食べてから今度は、小麦粉のいわゆるクレープをお砂糖やキャラメルやアイスクリームなどと一緒にデザートとして食べます。
飲み物はシードル(リンゴの発泡酒)がお約束。グラスではなく陶器のお椀のようなもので供されます。
この食事がとてもおいしい。想像以上においしかったです。
子供たちも気に入りブルターニュにいる間、ほとんど毎日食べていました。
ユズは卵とハムのものがお気に召したようで、デザート代わりに同じものをもう一枚食べたりもしていました。
町のお菓子屋さんやパン屋さんには必ずクイニーアマンやファーブルトンが沢山並べられており、大きさも大きなものから小さなものまでさまざまでした。
味は濃厚で、日本から着いたばかりの私たちには少し重たく感じられました。
カンペールには2泊したのですが、旅の始めにふさわしいゆっくりとした町で、のんびりと休むことができました。
3日目はカンペールからバスで30分ほどの村ロクロナンに行きました。
とても小さな村ですが、フランスの美しい村に指定されており、古い石造り家や村のいたる所が花で飾られており、それは美しかったです。
ただ、かなり観光化されており、町の中心部(あるいて30分で廻れるくらいですが)は観光客相手のお店が建ち並び、観光バスの来る大きな駐車場があります。
そして、私たちが宿泊した日はちょうど夜市のある日でした。
クイニーアマンやファーブルトンのお店や、その他いろいろなお店がでており、しかも夜ということもあって、何だか楽しい雰囲気でした。
市は遅くまで続き、私たちは途中でホテルに戻ったのですが、市はだいぶ遅くまで開かれていたようです。
一転してとても静かな朝。屋根裏部屋にあたるところに宿泊した私たちは、小鳥のさえずりで目を覚まし、窓の外は朝日が昇る所でした。
眼下に広がるのは広大な農場や森。夢のような一場面でした。
カンペールに一度戻り、TGVでヴァンヌに。
ヴァンヌはモルビアン湾の入り江にある町で、船の停泊する港もあります。
やはりクレープリーも多いのですが、海辺の町なので海の幸も豊富で、みんなムール貝や牡蠣を食べていました。
私たちも 海の幸の盛り合わせを食べました。牡蠣は季節ではないかなと思っていたのですが、フランスの人たち今では1年中、生牡蠣を食べるようで、
牡蠣をメインに手長エビやカニ、貝類など「こんなに!?」という量が運ばれてきて、でもあっという間にみんなで食べてしまいました。
牡蠣はまさに海の味がしました。とてもおいしかったです。
次の日はヴァンヌから電車で1時間ほどの所にある、キブロンというビーチリゾートに行きました。
子供たちはこの海に来るのをまだかまだかと待っていたようです。
砂浜も海も日本(東京近辺)とはくらべものにならないくらいきれいでした。
アンズは海初体験。二人とも波と水の冷たさにキャーキャー言いながら、とても楽しんだようです。
帰りたくないと、海から上がるのにに一苦労でした。
キブロンにはとても有名なショコラティエ ルルーがあります。
ルルーはCBS(キャラメルブールサレ)というキャラメルを考案して、フランス国内だけでなく世界的にもとても有名なお店です。(少し前に新宿の伊勢丹にも期間限定ででていました。)
このお菓子もクイニーアマンと同じように塩味のきいたお菓子で、やはり、海塩の産地が近くにあるという、土地にあったお菓子が根付いていくのかなと思います。
このキャラメル、柔らかく、甘くてしょっぱいくせになる味でした。
どこで売っているのかはわかりませんが、今ではパリでも手に入るようです。
夏休みがあると聞いていたので、期待しないでいったのですが、幸運にもお店は開いていました。
キャラメルの他にパートドフリュイも買いましたが、濃厚で、かなり高得点の味でしたよ。
ちいさなかわいい電車にのって、ヴァンヌに戻り、翌日は日曜日。
何もすることもなく、どこか行く所もなく、ホテルでゆっくりしたり、パンをたくさん食べたり、散歩してみたりの一日でした。
日本にいたらこんな一日はありえないので、こういうのもたまにはいいかなと思ったりしました。
そして、すてきなホテルに(ウ゛ァンヌで泊まったホテルはデザインも対応も最高でした。)別れを告げてパリへ。
パリに着くと日常に戻ったような気分に。
今年は13区にある中庭のある小さなレジデンスホテルに泊まりました。
私たちは4人家族なので、フランスに行くとホテルではどこでも、
「ダブルやツインを2部屋かコネクティングルーム(2部屋続きのお部屋)にして下さい。」と言われてしまうのですが、(消防法が厳しいみたいです。)
パリの今回のホテルは一部屋に大きなベッドとソファーベッド2つというお部屋で、今回の旅行の中では格安でした(パリなのに)。
実際狭かったのですが、中庭に面していたので圧迫感はなくとても快適でした。毎年ここでもよいかもと思うくらいです。
パリでの子供たちのリクエストはチュイルリー公園の観覧車!私のリクエストでもあったのですが、乗って参りました。
日本のものとは違い閉ざされていないタイプな上にスピードが速いっ。いったん止めないと乗れない速度です。高さも高く、パリが一望できます。
1周だけではなく5周くらいするので、ちょっと値段が高くても乗る価値はありました。
パン屋さんはやはり今年もお休みの所が多かったのですが、何件かは行くことができました。ケーキ屋さんもしかり。
わざわざ電車に乗ってパン屋に行くという日本人的な行動をして、5−6軒のパン屋さんを見て回ったりもしましたが、
どこもそれなりにおいしく、中にはすばらしくおいしいパンを作っているお店もありました。
片言のフランス語でちょっとコミュニケーションしたり、
フレンチレストランにおしゃれして出かけたり(星付きではありませんが)、昨年よりは私たちもレベルアップしたようです。
14区でJ.P.ゴルチェ氏がパンクチュリエという展示会をしており、とても面白かったです。
アンズがいきなり「パンでできてるよ。ほらっ。」
と言って作品に触ってしまったのにはそうとうヒヤヒヤしましたが…。
(フランスの展示会や博物館は触ってはいけないものも、ふつうに置いてあり、あまり注意書きもされていません。みなさんマナーができているということでしょうか?)
パンクチュリエお話は8/12発行のカタネベーカリー新聞にも少し載っています。 そちらもご覧ください。
ほかにもオペラガルニエを見学したり、自然史博物館に行ったりと、観光客らしくパリでは忙しい毎日を過ごしました。
そして帰る時にはまた来年、来たいなぁとしみじみ思いました。
旅行は私たちにとって、仕事の良い原動力になります。
そのために毎日早起きしておいしいパンを作らなくては、と今日から頑張っております。
お休み明けの今日、待ってたのよ。と言って下さるお客様がとても多く、本当に嬉しく思いました。
お客様の期待を裏切らないように、コツコツまじめに頑張ります。
旅行で得たものも確実に商品に反影されていると思いますので、今後の展開をお楽しみに。
旅行の話はこのへんにして、
お店のことを少し。
お店の前の工事ですが、8月中は別の場所をやるようで、お車のお客さまも問題なくお店の前まで来ることができそうです。
9月にはまた、今度はお店よりも幡ヶ谷よりのところを掘るらしいです。
なので、上原方面から、通行止めの看板をどけてもらって入って下さい。
また、追ってお知らせいたします。
消費税の総額表示を本日より始めました。
税込みの価格となっております。
多少の値上げ値下げのものもございます。ご了承くださいませ。
それでは、長文失礼いたしました。
お店で皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
8月10日2004年