No.403 映画「レスラー」ミッキー・ロークが演じるロートル・レスラーの悲哀

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2008年アメリカ
監督:ダーレン・アロノフスキー
音楽:クリント・マンセル
主題歌「ザ・レスラー」:ブルース・スプリングスティーン

出演:配役
ミッキー・ローク:ランディ“ザ・ラム”ロビンソン(伝説のプロレスラー)
マリサ・トメイ:キャシディ(ストリップパブのダンサー)
エヴァン・レイチェル・ウッド:ステファニー・ラムジンスキー (ランディの疎遠だった娘)
アーネスト・ミラー:ジ・アヤトゥラー(イラン人ギミックのプロレスラー)
ディラン・キース・サマーズ(ってかネクロ・ブッチャー本人):ネクロ・ブッチャー(CZWのプロレスラー)

<あらすじ>20年前イラン人ギミックのプロレスラー、ジ・アヤトゥラーとの対戦でMSGを超満員にした
伝説のプロレスラー・ランディ“ザ・ラム”ロビンソン、しかし現在はスーパーでアルバイトしながら週末の試合に出場するロートルと化していた。
彼はある試合後心臓発作で倒れ入院する。心の寂しさを埋めるためによく行く店のダンサー、キャシディに相談すると
彼女は長年疎遠だった娘に逢うべきだ、と助言する。

2010年2月7日、浅草で見る。
伝説のプロレスラーが老いてロートルとなり、
社会生活的にそして父親としてダメ人間振りを見せつけた後
自らのスタンスをリング上に見出し、最後の戦いを挑む物語。

カミングアウトが進んだ現代だから、リアルに「仕込み」「打ち合わせ」を行うシーンがあり、
昔ながらの「暗黙の了解」を支持する側のプロレス・ファンたちには拒否反応もあるだろう。
さらにランディがステロイドの注射を自分で尻に打つシーンもある。

通路など被写体が歩いているシーンでは徹底して背後からのカメラで撮られ
また控室のシーンではやや引いた位置からのカット、ざらついた画質が多く
ちょっとドキュメンタリー的な雰囲気の映像。

試合後の控室で血だらけ、へとへとになって休んでいる姿、
アルバイト先でのスーパーで社員の一般人にバカにされる姿、
切ない元スーパースターのランディ。ダメージの蓄積か、普段は左の耳に補聴器をしている。
必殺技は「ラム・ジャム」。コーナー上でポーズを取ってからのダイビング・ヘッドバット
(もしかしたらエルボー)。

もうひとつ切ないシーン。
往年の選手が集まりサイン会を行うが
車椅子だったり足の故障でギブスをつけている。
それを凝視し自分の行く末を考えるランディ。

ネクロ・ブッチャー(本人)とのハードコアマッチを制した後
ランディは控室で倒れ入院。心臓発作でバイパス手術。
医者は「今服用している薬はやめて、過酷な運動は禁止」という。
プロレスの試合なんて、とんでもないという話。
ランディは再起を目指してランニングをするが、すぐに苦しくなってしまう。

ランディはキャシディに心臓発作のことを打ち明け、心の寂しさを相談するが
キャシディは疎遠になっている娘に逢うように助言する。
ランディは娘ステファニーに逢いに行くが、
長年放置されていたステファニー(黒人の保護者?と同居していた)は怒りを露わにし
ランディに心を開かない。

再びキャシディに相談するランディ。キャシディは服をプレゼントすることを提案し、
しかも見立てを手伝うと言う。
彼らは服を買ったあとビールを飲み少しダンスをして、キスをする。
しかしキャシディは子供がいることを打ち明け、客との一線は越えられないと告げる。

この時HR/HMについて少し話をする2人。
ランディ「ガンズ・アンド・ローゼスは最高だ、それにモトリー・クルー」
キャシディ「やっぱり80年代よね」
ランディ「ニルヴァーナが出てからは…90年代はダメだ」
映画は最初からクライマックスまでHR/HMがかかっている。
オープニングはアクセプトの「Balls to the Wall」がかかるが
先の2人のやり取りは映画のラスト近くにつながってくる。

プレゼント作戦は成功し、ランディとステファニーは海岸の廃墟でデート。
父ランディは涙ながらに今まで放置していたことを謝罪し「お前に嫌われたくない」と告げる。
そして土曜に食事の約束をし別れる。ここまではよかった…。

プロモーター仲間に電話して引退を説明するランディ。
スーパーのアルバイトの時間を長くしてもらって収入を高めようとする。
しかし与えられた仕事は惣菜売り場での客接待。それでも最初は陽気に努める。
ふらっと観戦に行ったランディは控室でレスラー仲間と意気投合、飲みに行く。
店で行きずりの女とドラッグをやってトイレで合体。
気がつくと女の家?ランディはこっそり脱出して帰宅するが、土曜のステファニーとの約束をすっぽかしていた。
ステファニーのもとに謝罪に行くランディ。しかしステファニーは泣きながら「レストランで2時間1人で待った」と言い
「期待させておいて悲しませるならもう2度と姿を現さないで」とランディとの絶交を宣言。

キャシディとも揉めて傷心のランディは惣菜売り場で仕事を続ける。
しかしサラダの量に細かい注文をつける老婆、
「あんたどこかで見たことあるな」と食い下がるデブたちに苛立ちを押さえきれなくなるランディ。
チーズを切り売りする機械で指を切った(わざと切った?)ランディは顔に血を塗りたくって売り場を破壊し大暴れ!
「こんな仕事辞めてやる!」
そのまま車に乗り込んで走らせる。

失うものがなくなったランディはプロモーターに電話して、
かつてMSGを満員にさせたジ・アヤトゥラーとの20年振りの再戦への出場を了承する。
髪を金髪に染め、日焼けサロンへ行って準備するランディ。
気になって自宅まで来たキャシディに、出発直前のランディは「試合を見に来い」と言って出発する。
キャシディは仕事中に突如ランディのことが気になり、試合場まで車を飛ばす。

会場に着いたキャシディ、試合直前のランディに会って試合を止めるように言うが彼は聞かなかった。
ゲートをくぐったランディ、入場曲はガンズ・アンド・ローゼスの「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」。
名曲での入場はクライマックスにふさわしい。
ランディ、リングに上がるとマイクを持って言う。
「人は老いぼれは引退するべきだと言うが、俺の引退を決めるのはお前らファンだけだ」
試合が始まるが、途中でランディに異常が。再び心臓発作が襲う。キャシディは試合を見ていない。
異変を感じたアヤトゥラーがランディを勝ちやすく持っていくが、
ランディは軽い勝利を自ら拒否し、フライング・ヘッドシザースホイップからコーナー上に上がる。
命を顧みず「ラム・ジャム」を決めるべくダイブするランディのシーンで映画は終わる。

惣菜売り場の仕事は放棄、娘との約束は守れないとプロレス以外ではダメ人間のランディの悲哀を
ビルドアップされながらもやや緩んだ、ロートルレスラーの肉体を創りあげたミッキー・ロークが演じる。
また体を痛めつけながらファンを満足させる、プロレスラーという職業の過酷さをも描いている。
HR/HMもいい効果。
エンディングにかかるB.スプリングスティーンの歌も、「プロレス」「プロレスラー」に捧げる理解が感じられる。
但し前述のリアルな描写はプロレスファンの中では賛否両論があろうかと思う。
そういうわけで万人におすすめというわけではないが、出来は決して悪くありません。

【マリサ・トメイ演じるストリッパーのキャシディ】
マリサ・トメイは撮影時45〜46歳の計算だが
ラスト近くでのおっぱい出して網タイツでのダンスがエロい。
年齢を感じさせないプロポーションがなかなか。
ダンスしてる時間が短いのが残念。

(2010.0207)


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