プロレス太平洋戦争第3部



アメリカ側の日本侵略は失敗に終わった。
東洋プロレスはアメリカのプロレス・シンジケートが
日本の市場侵略のために作ったダミー会社であることがばれて
日本のファンから総スカンを食って崩壊、不知火はハワイに帰った。
しかしシンジケートのボス、ジュゼッペ・ステファーノは日本侵攻をあきらめず、
新たな司令官としてドリー・ファンク・ジュニアを指名する。
日本側の馬場と猪木が「プロレス東洋連盟」を構想中の197×年8月×日、
フィリピン・マニラのカラネタ・コロシアムでアメリカ側が興行開催。
東南アジア地区の大プロモーター、ロッペ・サリエルを味方につけてのものだった。
これに対して馬場と猪木は「賞金10万ドル」で挑戦者を公募する大興行で対抗。
するとドリーは弟テリーと共に自ら「賞金10万ドル」の挑戦者に応募!
そしてシンジケートから殺し屋アクバルがマニラ入り。
夜のマニラの海岸で、殺し屋アクバルと猪木が死闘。
猪木はドロップキックでアクバルの顔面を砕き、海へ落とす。

「賞金10万ドル」の挑戦者は三百人、その中から十人が選抜された。

1.シシリット・プットチャイ(ムエタイ)
2.アラン・ローボ(プロボクサー)
3.ジョン・デレク(警察官=柔道家)
4.パク・ガンホー(空手家)
5.チェン・スー(空手家)
6.フェルナンド・イーグル(プロボクサー)
7.カン(?)
8.ホセ・サミット(警察官=アマレス)
9.ドリー・ファンク・ジュニア
10.テリー・ファンク

しかしマニラ・デーリー・ニュース社で行われるはずだった
出場準備とルール打ち合わせでは5時間を経過しても10人の挑戦者は一人も現れなかった。
シンジケートが挑戦者たちに金をつかませて出場を辞退させたのだ。
そしてドリーはシンジケートの「赤毛」に軟禁されてしまった。
シンジケートはムエタイの虎、シシリットを擁して猪木を逆指名。
シシリット対猪木戦を行うことを新聞に発表。
シシリットが勝てば賞金5万ドルを獲得し、さらに馬場と対戦して勝てばさらに5万ドル、計10万ドルを獲得する。
猪木がシシリットに勝てば、猪木は8月×日、マニラでのプロレス興行権を賭けてドリー・ファンク・ジュニアと対戦。

猪木対シシリット戦の会場、ルネタ・ナショナル・パークには2万人の観客が入った。
パブリシティが目的の試合なので入場者は無料。
しかし会場にムエタイの虎、、シシリットは来ない。
日本側の信用失墜のため、シンジケートの「赤毛」がホテルでシシリットを足止めしていたのだった。
その汚いやり口に軟禁されていたドリーが激怒、実力行使で「赤毛」とシシリットを会場入りさせる。
時間無制限1本勝負、猪木対シシリットのデスマッチは猪木がシシリットの蹴りに苦戦するも
パイルドライバーからギロチンドロップで猪木がノックアウト勝ち。
しかしシンジケートのギャングに囲まれたドリーは再び姿を消してしまった。
その後に行われた日本選手対東南アジア軍の「アジア選手権大会」は大成功を収め、
アメリカのレスラーは東南アジアのマーケットから駆逐されてしまった。

年末、香港で不審な白人をJ鶴田が単独で尾行。
しかし逆に「赤毛」に軟禁された鶴田は米本土に運ばれてしまう。
馬場、猪木率いる3団体のレスラー、関係者総勢30余人はロサンゼルスに乗り込み、
FBIの協力を得てシンジケートを壊滅、鶴田、ドリーの安否も確認される。
一週間後、ロサンゼルスのフットボール・スタジアムで本当の日米対抗戦が行われる・・・。
ビッグマッチの通路から試合を見守るサム・マソニックとビンス・マクマホン。
「これが本当の日米のプロレスのある姿なんだ・・・」

日米プロレス大戦争
197×年×月×日 ロサンゼルス・フットボールスタジアム
観衆7万人

1.
○ジャック・ブリスコ(足4の字固め、11分)長州力●

2.
○ビル・ロビンソン(フォール)M井上●
*人間風車。

3.
△藤波辰巳(時間切れ引き分け)ミル・マスカラス△

4.
○R木村(フォール)ニック・ボックウインクル●
*バックドロップ。

5.
○テリー・ファンク(フォール)原進●
*スープレックス。

6.
▲S小林(両者リングアウト)ダスティー・ローデス▲

7.
△J鶴田(時間切れ引き分け)ボブ・バックランド△

8.
○坂口征二(フォール)ハリー・レイス●
*アトミック・ドロップ。

9.
○A猪木(フォール)ドリー・ファンク・ジュニア●
*リバース・スープレックス。

10.
?G馬場(?)アンドレ・ザ・ジャイアント?


長い長い物語はG馬場の32文ロケット砲がアンドレ・ザ・ジャイアントに炸裂したところで終わる。
・・・という、壮大なストーリーで展開されるフィクションである。
これは月刊時代のゴングに連載されていたフィクションシリーズの「夢」シリーズ第6弾。
過去は昭和40年代から「夢の対決」「夢の世界戦」「夢の覆面ワールドリーグ戦」
「夢のデスマッチ」「夢の日本選手権試合」と続いて
「プロレス太平洋戦争」のあとは「夢のリアル最強タッグ戦」まで続いている。
過去の作品は自分も知らないが登場人物が実在のレスラー及び関係者ということで
リアル感満載、特に第2部の蔵前での日米対抗戦は興奮の内容である。
その日米対抗戦というコンセプトから考えると
80年代のコミック「プロレススターウォーズ」の原型といってもいい作品であり、
オールド・ファンには再評価が望まれる作品といっていいだろう。

そしてもう一つ、この作品にはいがみ合っていた当時の日本の団体に、
和解し結束して日本のプロレス界を正常な状態にして
さらなる盛況、大ブームを巻き起こしてもらいたいという
桜井氏の願いがこめられていたのではないだろうか。


しかし2005年2月現在、この作品を読む手段は当時のゴング誌を古書として購入する以外、ない。
(2005.0212)

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