ランキングナビ No.182 曙のWWEマット登場により現実化しようとしているプロレス小説

No.182
曙のWWEマット登場により現実化しようとしているプロレス小説


「スモーグランドチャンピオン・・・アケボノ、スタンダップ」

マイクを持った大巨人ビッグショーが
リングサイド席で観戦していた元横綱・曙に語りかける。
黒いシャツを着た曙がゆっくりと立ち上がった。
リングに歩を進める曙。
遂にリングに上がった。
対峙する曙とビッグショー。
睨み合いの後、握手する両巨漢。
そして二人で万歳、歓声にこたえる。
K−1の谷川プロデューサーが「曙は契約違反だ!」とコメントした、
WWEスマックダウン2005年2月5日さいたまSアリーナの出来事である。
しかしアリーナで生観戦していた自分は、
遠い昔に読んだあの活字の中での出来事でしかなかった話が
眼前で現実化しつつあることに驚愕していた。
「不知火・・・」


「活字の中での出来事でしかなかった話」とは、
月刊時代の「ゴング」誌で昭和50年9月号から54年2月号まで3年半の永きに渡って連載されていた
「プロレス太平洋戦争」という連載小説のことである。
作者は原康史氏、いうまでもない元東京スポーツ記者、
テレビ解説者の桜井康雄氏のペンネーム。

内容はアメリカの闇のプロレス・シンジケートと日本の3団体(新日、全日、国際)が対立、
アメリカのシンジケートが日本で興行を開催、これに対して日本の団体が団結して対抗、
遂に蔵前、武道館、ロサンゼルスのフットボール・スタジアムで日米対抗戦を行うという壮大なストーリー。

上田馬之助がアメリカ側に寝返ったり、
ハワイで情報収集していた猪木が謎の殺し屋に襲撃されるもこれを撃退したり、
猪木対元ボクシング世界王者のジョージ・フォアマンが実現したり、
香港でジャンボ鶴田が監禁されたり、
対抗戦では駒不足に落ち入った日本側の助っ人として謎の覆面二人組が登場、
マスクをはがされると正体がビル・ロビンソンだったり(もう一人はマスカラス、素顔にされても逆にわからない)
と、かなり血沸き肉踊る内容であった。

アメリカのシンジケートがFテレビ(架空のテレビ局)をバックに旗揚げした「東洋プロレス」、
そのエースがハワイ出身の元幕内力士「不知火」。身長2メートル6センチ、体重180キロ。
写真はわかりづらくなるように加工処理されているが、不知火のモデルは間違いなく高見山だった。
元関脇高見山ことジェシー・クハウルアは、最初にハワイから相撲界に入った力士であり
外国人として初めての優勝を遂げた偉大なる力士である。

その高見山が引退してから興した部屋が東関部屋。
そこに入門したハワイ出身の青年がチャド・ローウェン。
のちの史上初の外国人横綱曙である。
つまり高見山と曙は師弟関係。

話は「プロレス太平洋戦争」に戻る。
東洋プロレス旗揚げ戦でブルーノ・サンマルチノと対戦した不知火はこれを撃破、
名実共に東洋プロレスのエースとなる。
そして日米対抗戦、初日不知火はメインエベントでアントニオ猪木と一騎打ちを行うも
バックドロップでKO負け。

対抗戦2日目、メインのタッグマッチは猪木がジャンボ鶴田と組んで
アンドレ・ザ・ジャイアント&不知火組と対戦!
このアンドレと不知火のタッグの再現こそが、
さいたまアリーナのスマックダウンのリングで両手を挙げたビッグショーと曙であることに異論はあるまい!
海外団体(WWE)の日本での興行、関係するF(フジ?)テレビ、
ハワイ出身の巨漢幕内力士と大巨人レスラーの合体。
30年近く前に発表され単行本化もされていないプロレス小説は今、予言の書となりつつある・・・。

(2005.0210)

追記1:ただ今回のWWE興行に唯一噛み付いたのが国内のプロレス団体ではなくK−1だという事実。
このままではビッグショー&曙組と対戦するのは武蔵&魔娑斗組か!?(笑)

追記2:掲示板で要望が多かったので「プロレス太平洋戦争の概略」という記事を書きましたのでよろしかったら見てちょー。

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