No.411 全日本プロレス「2010プロレスLOVE in 両国 vol.10」
諏訪魔が44分のロングマッチで三冠返り咲き。

全日本プロレス「2010プロレスLOVE in 両国 vol.10」
2010年8月29日 東京・両国国技館
同行者=千里眼




オープニング・山本小鉄氏追悼セレモニー】
オープニングに、急逝した新日本の山本小鉄氏追悼の10カウント。
下の写真、右から鈴木みのる、船木、遺影を持つ武藤、西村がリング上。



・・・って全員新日本OBだし、山本小鉄氏も全日本のリングに上がったことはないはず。
重ねて言えば、その前日に死去が発表された元柔道東京五輪無差別級金メダリストで
全日本プロレスのリングにも上がったアントン・ヘーシンクへの追悼は何も行われなかった。
小鉄氏の弟子が今の全日本に多くいる、ってことと
今の全日本にはヘーシンクに関係する人脈が存在しないってことを如実に知らしめされた行事でありました。
まあ…今後日本のプロレス団体でヘーシンクへの追悼セレモニーを行うとしたら、
ジョー樋口を擁してるノアが意外にも該当するのではないかな、と思います。
それはともかく、小鉄さんのご冥福を祈ります。

【メインエベント・三冠戦・鈴木みのるvs諏訪魔】



諏訪魔は肩の部分にテーピングしているが、大丈夫なのか。
手四つによる力比べから力に勝る諏訪魔が圧倒。
みのる、フライングメイヤーで投げてからフェースロック。
諏訪魔場外へエスケープ。
ロックアップの状態で押し合う。
みのる足タックル敢行も諏訪魔に潰され失敗、
諏訪魔フェースロックからバックを制してレッグロック。
みのるエルボー、フェースロック、しかし諏訪魔ブロック。
みのるサミングで脱出、5分経過。

みのるキック、パンチ。
場外戦、諏訪魔、みのるをフェンスに叩きつけ、床のマットを剥がしてパワーボム狙い。
リフトアップが叶わないと諏訪魔膝蹴り、しかしみのるが逆にフェンスに叩きつける。
みのる、走りこんで諏訪魔にキック、諏訪魔フェンス外に落ちる。
みのる、諏訪魔のセコンドの浜を攻撃、超世代軍の旗を奪いリングに上がって旗を引き裂く。



諏訪魔、リングに戻ってみのるを攻撃、ドラゴンスクリュー、再び場外。
諏訪魔、みのるの足をフェンスに固定して蹴り、10分経過。

リングに戻って諏訪魔、みのるを抱えてニークラッシャー。
諏訪魔逆エビ、ブレイク後スタンド、諏訪魔頭突き、みのるパンチ攻撃も足が思うように動かず。
諏訪魔ベリートゥーベリー。さらに諏訪魔が突っ込んできたところみのるがネックロックに捕獲。
諏訪魔場外に落ちる。みのるエプロンからダイブして頭部にエルボー。さらに追いかけてフェンス攻撃。
15分経過。

リングに戻ってみのるヘッドロックからフェースロック、
諏訪魔を寝かせて後頭部にエルボー。
みのるのパイルドライバーの体勢は諏訪魔こらえる、直後に諏訪魔エルボー、これは自爆。
みのる、グランドで首を足でシザース、クロックヘッドシザース炸裂!



みのるさらにSTFも披露。



みのる再びフェースロック、20分経過。

みのるアームロックからクルスフィックホールドに移行、諏訪魔の自由を奪う。
ロープブレイク、みのるパンチ、諏訪魔の肩のテーピングを剥がして投げ捨てる。
みのるエルボー、さらにロープに走ってキックを狙うも、諏訪魔ショルダーアタック。
さらに諏訪魔ダブルチョップ連発からコーナーで串刺しラリアット。
さらにベリートゥーベリー。カウント2。
諏訪魔の投げをみのるバックに落ちてスカすが、直後足にタックルされてアンクルロックを食う。
ブレイク後諏訪魔ロープに走るがみのる膝蹴りからキック、そしてスリーパーホールド、25分経過。

みのるエプロンでスリーパー、諏訪魔脱出してキック、みのる場外に落ちる。
諏訪魔、エプロンダイブのショルダーアタック敢行。
諏訪魔、腕パンチ連発からラリアット、カウント2。
諏訪魔、抱えてアバランシュ・ホールド。
諏訪魔、コーナー上に上がるがみのるが捕獲、コーナー上で卍固め。
みのる、諏訪魔をキックで落とす。
諏訪魔、バックドロップ狙うもみのる空中で体を入れ替えてぶら下がり式のネックロック。
30分経過。長期戦の様相を呈してきた。



諏訪魔パワーで担ぎ上げるもみのるがバックに降りてスリーパー狙い、
諏訪魔バックギアでコーナーにみのるを叩きつけてラリアット。
しかし直後みのるのスリーパー。



諏訪魔辛くもロープブレイク。
みのるロープに走ってランニングキック、カウント2。
みのるさらにスリーパーを狙うも、諏訪魔抜けて足を取り持ち上げて叩きつける(一人餅つき)。
諏訪魔、みのるの足をロックしてキャプチュード。
諏訪魔、みのるの足を自分の肩に打ちつけるレッグブリーカー(猪木のショルダー式腕折りの足版)。
ロープワーク、みのるバックに回って胴締めスリーパー。
みのる、スリーパーをはずして押え込むがカウント2。35分経過。

みのるネックロックからパイルドライバー。



しかし諏訪魔返す。
みのる張り手。しかし諏訪魔捕まえてかんぬきスープレックス。
そして諏訪魔、コーナーから助走して豪快なドロップキック。
諏訪魔ジャーマン、この疲労しているはずの時間帯で型崩れのないジャーマンは驚異的。



さらに諏訪魔、持ち上げて投げっ放しのパワーボム。みのるのタイツがズレる。



押え込むがカウント2。
諏訪魔、コーナー上からダイブしてボディプレス、これもカウント2。

みのる、バックを制してのスリーパーから逆落とし、さらにスリーパー。
諏訪魔耐えてバックドロップ。
ここで40分経過!
両者かなりの疲労、座ったままの姿勢でパンチ、頭突きの応酬。



立ち上がり両者パンチ、張り手の応酬、さらにヘッドバットの打ち合い。
みのる一本足頭突き、キック。
さらに両者座った状態での殴り合い、ヘッドバット。

立ち上がったところでパンチの応酬、
諏訪魔ラリアット、みのるダウン。
諏訪魔大きくみのるを抱え上げてバックドロップからそのまま押え込む。
少しロックが甘かったがカウント3、バックドロップ固め、
鶴田がニックからAWA世界王座を奪取した時と同じ技で決着!
実に44分24秒、両者の意地と持ち味が充分に出た耐久マッチだった。



諏訪魔は対鈴木みのる戦シングル初勝利で三冠王座を再び戴冠。



鈴木みのるのサブミッションと、諏訪魔への首筋中心への徹底した攻撃
(スリーパー、クロックネック、パイルドライバーなど)と
諏訪魔のナチュラルパワー&タフネスのダイナミックなスタイルが融合した好試合。
諏訪魔はまさにジャンボ鶴田みたいな試合を行ない、
全日らしさのあるフィニッシュでの勝利(まあ永田も使うが)。
敗れたとはいえみのるも首筋中心への説得力のある攻撃、さらにジャーマン、タイツズレパワーボム(笑)、
重爆ドロップキックと諏訪魔の攻めを受け切り、UWFスタイルと全日スタイルの融合を感じさせた。
するとリング上にあの男が!



船木がリングに上がり諏訪魔に挑戦表明!?
新たなパンクラス出身の挑戦者!
両者は春のチャンピオン・カーニバル公式戦で対戦したが時間切れ引き分けに終わっている。
次への戦いへの進展が見られて今後も楽しみだ。点ではなくて線じゃなきゃ。

第6試合 TLCルール G.ムタvs KENSO】

VTRではKENSOがTLCルールを要求。
折りたたみの机(テーブル)、はしご(脚立)、椅子の使用を認められるハードコアルール。
テーブル(T)、ラダー(L)、チェア(C)合わせてTLCというわけ。
KENSO、VMを従えて登場、TARUはアジアタッグのダメージが大きいせいか、手を三角巾で吊り、杖ついての登場。
でもKENSO、昔見たよりやせちゃってヒゲもなくって、タダの人みたい。コーナー上に上がってアピール。

続いてムタ入場。メロディーは時々旧ムタの曲のが聞こえるけどあまり聞いたことのない曲。
今回はインディアイン・ムタだそうだけど、その必然性は?
布の大きなかぶり物を被り、杖をついて入場。



ムタいきなり杖でKENSOを攻撃、抗議するセコンドのVMに早くも毒霧噴射。
KENSO、ムタの被り物を奪って首絞め。しかしムタ脱出して場外へ。
ムタ、KENSOをフェンスに叩きつける。さらに噛みつき、鉄柱攻撃。
ムタ、VM側の凶器の棒(バット?)を奪うとリングに戻ってコーナーでKENSOを攻撃。



ムタ、ドラゴンスクリューから足4の字、KENSO先程のコーナーでの攻撃で額が朱に染まる。
KENSO、ムタの4の字に苦しそう。

5分経過、ブレイクしたあとKENSOキックで反撃。
ムタをコーナーに逆さ吊りにすると、VMが乱入して脚立を横にしてセッティング。
その脚立の先端をKENSOが椅子で叩くと、衝撃がムタに伝わる。椅子で叩く金属音が場内に響く。
脚立を持って攻撃しようとするKENSOにムタ毒霧。さらに椅子攻撃。
そして椅子をKENSOに軽く投げ与えて、KENSOがキャッチしたところを閃光魔術!これは強烈。



さらに椅子を置いてその上でシャイニング、もう一発シャイニング。
そして折り畳み式の机をKENSOに被せてコーナー上、ムーンソルト敢行。カウント2。
しかしこれはムタ自身の膝にダメージがあるような落ち方。

VM入ってきて再び脚立をセッティング。
ムタをコーナーに座らせて、股間に脚立を当てて、また先端を椅子で打つ!



VMもこんな何回もリングインしていいのかよ、って感じ。
さらに脚立を立てて攻撃しようとするVM。KENSOが脚立の上に登るのかと思ったらセコンドが登る。
しかしムタ、KENSOに毒霧。
セコンド、脚立の上で立ち往生。ムタ、脚立の上のセコンドに毒霧。
セコンドを落とす。さらに脚立を倒す。



しかしここで唐突にKENSOがタックルから倒れたムタにダブルニードロップを決めると
あっさり3カウントが入ってしまう。勝ち誇るKENSO、だが声援は全くと言っていいぐらいない。
ムタそのまま帰る。前年の高山戦といい、ここのところムタは勝敗には淡白だ。
簡単にフォールを献上してしまう。
しっかし試合内容、凶器の使い方、技のアイディアなどは完全にムタが圧倒しており、
やはりこれは魔界の天才というか、あらゆる賛辞を総取りできるプロレス界のダーク・ヒーローだ。

振り返ってKENSOさんと言えば、肉は落ちたし、技はフィニッシュのニードロップぐらいだし
凶器の脚立はVMのセコンドの連中にセッティングを手伝ってもらわないと攻撃に至らないし、
そもそも自分で言い出したTLCルールなのに、凶器の使い方はムタの方がはるかにうまい(笑)。
KENSOさん自身のアイディアじゃなくって、誰かにやらされたアイディアだった感が強い。
ハッスルでド素人の和泉元彌相手に試合を成立させたうまさ、ってのはかいかぶりだったのか?
まあここでムタに完敗したら早くも全日定着の理由がなくなるので
そういう大人の事情も絡んでのことなのでしょうか
(なら思うような展開の試合にならなくてブチ切れたKENSOさんの反則負けでもよかったとも思うが)。

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第4試合 船木vs河野】

手四つからグランド、再びスタンドになって打撃。
5分、河野の袈裟固め、船木ブレイクからローキック。
河野早くもジャンピングニー。さらに「滞空時間の長い」ブレンバスター。
船木、グランドに持ち込み変形のヒールホールド。
しかし河野も極めたらしく船木からロープエスケープ。
河野、ジャンピングニーパットから「オーッ!」とばかりにこぶしを突き上げる。
河野、バックドロップからコーナー上へ。しかし船木ドロップキックで河野を場外に落としてさらにプランチャー。
リングに戻って船木さらにヒールホールド。
ブレイク後河野膝蹴りからジャーマン。さらにランニングニー。
そしてコーナー上からのニードロップを敢行するが自爆。
船木、逆にコーナー上からのミサイルキック。
船木バックドロップで叩きつけておいてから再びヒールホールド。
必至にこらえる河野。



何とかロープブレイクに持ち込み、スタンドの打撃戦に。
ここで船木の左ハイキックが河野の顔面に炸裂。
ばったり倒れた河野。
レフェリー、ダウンした河野の表情を確認してから船木の勝利を宣告!



唐突な決着でしたが殺気は充分。
現在の全日常連はあまりハイキックやる選手がいないのでこういう決着は新鮮
(ただ正式裁定は「レフェリーストップ」の発表でしたが実際は「ノックアウト」が正しいのでは?
この辺いずれ書いてみようと思ってますが)。
船木の試合は今のところ何度見ても面白いです。


【その他】
第1試合のアントニオ・トーマスは西村とブリッジワークの応酬を見せたがやや背中が固い印象。
プロレスのトレーニングには素人だがもう少し柔軟、ストレッチなど
あるいは基礎などをみっちりやって柔らかい体を持たなければ、と思った。
全日本に「アントニオ」が登場したという記憶はなく(笑)、これも時代の流れ?
「 コブラツイストでアントニオがギブアップ!」とは千里眼さんの弁。

第2試合のブシーは技の流れの中でのガッツポーズが鼻につくことおびただしい。
ルチャ・リブレが抜けないのか。
試合後ブシーがMAZADAにマスク剥がされて、相手のオーバーマスク(っていうのかどうか)を奪ってそれをつけて乱闘。
MAZADAは剥いだブシーのマスク被るし、つまりマスクと中身が逆転現象。
まあ体型が違うので区別がつきますが。

アジアタッグ戦はビッグ・ダディがモンスタータイプだから、VMはTARUが自発的にレスリングして試合を作る。
この辺さすがです。
途中で征矢が体痛めたようでコーナーの下にずっとうずくまっていたが
乱戦の中ヘイトの消火器攻撃がダディに誤爆。ダディ下に落ちて動かない。
TARUがその後技全部受け切って、最後は征矢の変形ボムにピンフォールまで献上。
若手チームがサプライズの王座奪取。
こういうの見たりすると、以前の両国大会で森元総理や横綱・白鵬を挑発してマスコミへの露出を狙うTARUって、
もしかしたら全日本に多大な貢献をしている陰の主役なのかも知れない、と考えてしまいました。

カズ・ハヤシはヤンのヤンタイムをしのいでパワープラントで勝利。
放送席の連続防衛記録保持者の渕に並んだので渕を挑発。
後日、渕は刺客として元ノアの菊地毅を送りこむことを発表したとさ。

結構空席が目立ったのは寂しいが、内容は濃かった。
諏訪魔対船木の三冠戦は実現するのか、また楽しみが増えた。

(10.0829−0905)

全日本プロレス両国国技館大会製作委員会
「2010プロレスLOVE in 両国Vol.10」
2010年8月29日 東京・両国国技館
観衆8300人

1.30分1本勝負
○西村修、渕正信(コブラツイスト、10:57)大和ヒロシ、アントニオ・トーマス●

2.30分1本勝負
○BUSHI、近藤修司、KAI(片エビ固め、7:41)稔、MAZADA、ヘイト●
*火の鳥スプラッシュ。

3.30分1本勝負
○曙、太陽ケア(体固め、9:26) 浜亮太、スペル・クレイジー●
*ボディプレス。




4.30分1本勝負
○船木誠勝(レフェリーストップ、13:09)河野真幸●
*左ハイキックで河野がダウン。

5.アジアタッグ選手権試合60分1本勝負
○征矢学、真田聖也(片エビ固め、22:40)ビッグ・ダディ・ブードゥー、TARU●
*変形ボム。征矢組が新王者(第84代)。

6.TLCルール・スペシャルシングルマッチ60分1本勝負
○KENSO(片エビ固め、10:30)グレート・ムタ●
*二―ドロップ。

7.世界ジュニア・ヘビー級選手権試合60分1本勝負
○カズ・ハヤシ(片エビ固め、18:30)ジミー・ヤン●
*パワープラント。王者カズ・ハヤシは14度目の防衛で渕の記録に並ぶ。

8.三冠ヘビー級選手権試合60分1本勝負
○ 諏訪魔(バックドロップ固め、44:24)鈴木みのる●
*挑戦者・諏訪魔が王座奪回、第43代王者。

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