No.416 全日本プロレス「2010ファン感謝デー」
'10プロレス大賞技能賞・カズ・ハヤシの芸術的ロープマッチの手腕。



全日本プロレス
「2010ファン感謝デー」
2010年12月12日 東京・後楽園ホール
同行者=千里眼

【第3試合・ロープマッチ・カズ・ハヤシvs西村】
再びカズのロープマッチが実現。
といいますか年に一度このファン感謝デーでしか見られない特異な試合。
今回もカズの縄師ぶりが堪能できるか楽しみな一戦。
*以後両者の手首に装着されたロープを、リング四方のロープと区別するために「縄」と呼称します。

ロックアップからのロープブレイクでスタート。
西村グランドに誘い込んで仕掛けのヘッドシザース。
むろん仕掛けとは倒立を出すためってこと。
で、案の定カズがお返しのヘッドシザースを仕掛けると西村倒立。
そこをカズが縄で背中をひっぱたく攻撃。



痛がる西村に場内がどっと沸く。
手四つの体勢から西村ブリッジ。
するとカズが手を離して西村のブリッジの周りをぐるぐる回って縄でがんじがらめ。
西村ヤバい体勢で身動きできず(笑)。



西村這ってロープブレイク。
ロープワーク、西村スリーパーからコブラツイスト。5分経過。



カズ、ロープブレイクを狙うも、西村縄を引っ張ってディフェンス。
もつれて西村とレフェリー(ボンバー)がリング下。
ロープ最上段の縄を起点としてリングの中と外で引っ張り合い。
西村戻ってエルボー。
さらにスピニングト―ホールド。回ったら縄が自分に絡まるオマヌケぶり(笑)。



ブレイク後西村がエルボー。
カズが西村を縛ると、エルボーが打てない。
カズが西村の手の前に顔を出して「エルボー打ってみろよ」とばかりに挑発。
西村腕を振るが縛られているのでちょっとしか腕が振れない。

10分経過、西村4の字固め。さらに縄で縛るスペシャル4の字。
両者転がってロープブレイクになるが、両者の足と縄が複雑に絡まってレフェリーがほどけない(笑)。
ようやくほどけると、西村座禅のポーズ、意味あるのか?(笑)
そこをカズが縄で縛りつけると座禅縛り?の出来上がり。



しかし西村、座禅から脱力すると見事に縄抜けの術!
そして縄縛りのダブルアームスープレックス。



コーナー上の攻防で縄がロープ最上段に引っ掛かる。
そこにカズ、ロープを絡めて縛る。
「こう、こう、こうでこうなるから・・・」って感じで指先点検した後
縄を引っ張ると・・・



ロープ最上段に引っ掛かった縄が見事にほどける!
マジック!手品!イリュージョン!(←みんなほとんど同じだよ)
驚く西村の手を縛り上げたカズが最後は逆さ押え込みで勝利!



縄師カズ・ハヤシが存分に堪能できた試合。
西村の持ちネタ、得意技を縄で凌辱する試合展開(スピニングは西村自爆ネタでしたが)をベースとして
最後の縄ほどきは驚愕。ってか間違いなく手品師とか縄師に習ってると思う。

この後千里眼氏とも話したんですが、
昔の月刊ゴングとかに掲載されていた海外でのブルロープマッチは
まあD.ローデスなどがやっていたんですが
ロープ中央に公認凶器のカウベルなどが装着されていて
それでぶん殴ったり、あるいはナックルにロープを巻きつけて殴ったりで
まあデスマッチらしく流血していたんですが、
カズの縄マッチは流血はなしで(デスつかないし)
流血よりも「縄をどう使うか、どう縛るか、お互いの技に縄をどう絡めて見せていくか」に主軸を置いていて、
そういう意味で他に類を見ないまったく新境地の試合。
もっと見てみたいが乱発するとそれこそ国際プロレスになっちゃいそうだし、
年に一度、じっくり仕込んで見せる現状がいいのかも知れない。
・・・って書くと何だか縄の発表会みたいです(笑)。
とにかく笑いあり、最後は感心もするという縄マッチ、大変楽しめました。
今後にも期待。

【メイン・諏訪魔軍vs船木軍・10人タッグマッチ】
まず大将の諏訪魔と船木が入場。
次いでくじ引きする8人が入場して村山レフェリーが持つ両軍のネームが入った棒を箱から引いて
両軍に振り分けられて初めてチームメンバーが決まるという方式。
ちょっと噛んだ村山レフェリーにリングアナが「どちらから来ました?」と突っ込み(笑)。
チーム分けは「中之上が来たチームがキツいかな・・・曙が来たチームは強そうだな・・・」
などと考えて見てましたが、諏訪魔軍に中之上、渕、菊地と来て、
船木軍には大和、征矢、近藤と入る。
最後に残ったのは曙と菊タロー。
同時に引くと、曙が船木軍、菊タローが諏訪魔軍。
頭を抱える菊タロー、昨年の船木との対戦がトラウマになっているのか、露骨に嫌がる。
ともかく諏訪魔軍=諏訪魔、渕、菊地、菊タロー、中之上
船木軍=船木、曙、征矢、近藤、大和、と明らかにパワーバランスが崩れたカードとなる。



1本目、先発早くも諏訪魔と船木、両軍の大将が登場。
バックの取り合いからグランドレスリング。
それ見た渕が「よーし、やってやるー」とばかりにタッチを要求。
どうやら船木とレスリングやってみたい気。
ところが船木は渕が入ってくると曙にタッチ!
渕「違うよ・・・」とばかりに逃げ腰。
船木と中之上になるとキックで中之上こてんぱん。
さらに船木軍の集中攻撃で中之上へばる。
そんなこんなで船木と菊タローという展開になり、
菊タローの飛び込んでのタックルをスカした船木が
すかさず上になってスリーパー仕掛けると菊タローあえなくタップ。

2本目開始、菊タローが諏訪魔に何やら囁く。
と、1本目と同じように菊タローがタックル、
同じように船木が捕獲してスリーパー、
ここで諏訪魔がカット。
征矢と菊地になり、征矢が菊地をコーナーに叩きつけると
菊地、自分からコーナーに頭を打ちつけて石頭を誇示。
・・・っていうかずっとそれを続けてて征矢が「何だコイツ?」って感じで呆れてる。



ここで征矢と大和が交代。
大和は菊地のネタに付き合ってコーナーに自分から頭を叩きつける。
さらに場外に降りて椅子を持って自分の顔面に叩きつける。
それ見た菊地が本部席へ行って、ゴングを持って自分の額に叩きつける。
菊地流血、それ見た大和も自分からゴング打ちつけて流血。
菊地、マイクを取って何やらアピールするが、
・・・何言ってるんだか聞き取れない、危ない。
菊地と大和が流血のヘッドバット合戦。

そんなこんなで乱戦になり、
諏訪魔が近藤、征矢にチョップ連発。
さらに曙をラリアットで吹っ飛ばした後ラストライドが大流血の大和に炸裂、
いつものヘソできっちり押さえ込むフォールで諏訪魔軍が1本返す。

3本目、渕がいつもの腰にベルトを巻いてハッスル、
船木軍各選手にボディスラム連発、船木にもボディスラム。

最後に曙登場・・・さすがにボディスラム出来ない、渕は曙を無視しようとする。
すると逆に船木軍が1回ずつ渕にボディスラムを仕掛ける。
船木の一発はジャンピングしてのパワースラムっぽいキツい一発。



この後乱戦、諏訪魔軍が次々に曙に突進するが、曙がチョップで蹴散らす。
最後に残った菊タロー、曙に向かうかと思ったら・・・
自分からジャンプして倒れる!(笑)
船木は場外で落ちた菊タローと対峙、キックを浴びせ続ける。
菊タロー及び腰で逃げる。



そんなこんなで!リング内は曙と渕!
渕、曙にスモールパッケージ狙い、諏訪魔が曙の背中をひっぱたいてアシスト、カウント2。
しかし渕、再度自力でスモールパッケージ挑戦、これが決まってカウント3!
渕が曙から3カウント奪取して、弱体と思われていた諏訪魔軍が勝利!
予想とまったく真逆の決着となるサプライズ。



試合はクロサワ楽器Presentsだったので会場で諏訪魔軍の勝利と投票したお客さんから抽選で一名、
ギターのプレゼント。勝利した諏訪魔軍がギターにサインを入れる、これはお宝だ。
菊地がサイン入れる時、リングアナが「菊地選手・・・字ぃ書けますか」とアブない突っ込み。
諏訪魔がマイクで「頑張れば、どんなメンバーでも勝てると今日は思いました」
と締める。

ルールは通常の3本勝負だが、非常にゲーム性の高い面白い内容の試合になった。
各人の持ち味が結構出た。
1本目は船木、2本目は菊地、大和、諏訪魔、
3本目は渕が目立った活躍。

【征矢匠デビュー発表】
第3試合終了後、征矢学の実弟である征矢匠のデビュー戦が'11年1月2日、後楽園で行われることが
リング上から本人を交えて発表される。
対戦相手は・・・実兄の征矢学、兄弟対決実現。
リングに実兄登場して握手。



んで、このセレモニーの退場の曲が「エヴァンゲリオン」の「次回予告」の曲(笑)。
「次回もサービス、サービス」って曲ね。
まあよく考えてます。

【第1試合・ヒートvs BUSHI】
BUSHIはサンタクロース調の赤い上着を着て登場。
んで、新日で見たヒートが全日で復活。
衣装はどこから持ってきたんでしょうか。
曲も昔のヒートの曲で、あのカラス天狗みたいなコスチュームのヒートが登場。



だけど、ヒートあまり観客の声援にこたえず、あまりやりたくない感じ。
確かに新日の時もそれほどブレイクしなかったからなあ。
ロープブレイクの時レフェリーがヒートの中身の名前言っちゃたらしく、
場内一部で爆笑、ヒートはクレーム。
BUSHI、ヒートを場外に落としてダイブ、成功するとガッツポーズ。
BUSHI、リングに戻って首4の字、ヒートフィッシャーマンズバスター。
BUSHIのコーナー上からのドロップキックをヒート下からドロップキックで迎撃。
15分1本勝負だから時間切れかな・・・と思っていた10分過ぎ、
ヒートが飛びつき逆十字から足も押さえてのHEATクラッチで3カウント勝利。
現役のキャラであるBUSHIが負けちゃう、ってのはどうなのかな、とも思いましたが
まあBUSHIの方に特に思い入れがあるわけではないので。
選手紹介のVTRでも「子供に人気」ってナレーションされてましたし。
なら技決めた直後に観客席にアピールするのもわかりやすさ、ってことなのかなという感じ。

【第2試合・真田vsKAI】
デート権争奪マッチは真田がジャパニーズレッグロールを仕掛けたところで時間切れ引き分け。
だけど偉い人?の粋な計らいにより両者にデート権が与えられ、
抽選に当たった女性がリングイン。
真田は六本木、KAIは浅草を所望。

【第4試合・F-1タッグ選手権試合】
この試合スタイルに最も期待値が高い?と思われる芸人、長州小力が登場。
入場曲は勿論「パワーホール」。
いやー、リングインするときのこまかいしぐさなど、御小にそっくり。よく研究してます。
そしてパートナーは・・・浜扮する「チャーシュー・リキ」。
こちらはかつらをかぶって何だかマツコ・デラックス、って感じ。
森嶋って声も(笑)。
浜、コーナーを背負ってロープを持ってのぶるんぶるん、を披露。



武藤&神奈月組が入場すると、小力&浜が「またぐなよ」とプレッシャー?をかける。
浜と武藤でスタート、浜タックルで武藤をふっ飛ばす。
浜、ボディへのト―キックをやっているつもり、だけど足が上がらないで空振り(笑)。
小力が入って武藤にチョップ、全然効かないで小力エスケープ。
和田京平のカウントが「ナイン」になるけど小力が入らないので京平ずっと「ナイン」「ナイン」連発。絶対テンにならないF-1ルール(笑)。
ここで小力の体力を慮ってネタ出しの時間になる。
神奈月、プロレス界のコワい話としてG.ムタ(武藤)、天龍のネタを披露。
小力が御小の早口言葉、「健介!」とコーナーで叫ぶ御小。
浜が『「ママ―」と泣くボノちゃん』を披露するとこれがウケる。
が、「いいのかよ、控室に曙いるぞ」と突っ込まれ、さらに「今小声でヤバい、ヤバいって言ってた」と言われる。
小力組が、浜が下になって小力が上に乗って「長州力の幽体離脱」をやるとこれはウケない。
ここで浜が提案。「じゃあ上下逆でやれば受けるかも」小力に試練が訪れた。
・・・案の定浜に乗られただけで小力苦悶。

この後御小と破壊王による伝説の「コラコラ問答(タココラ問答)」が始まり
「キレてないですよ」で返す。
小力&浜、神奈月がかつらを武藤に渡すと武藤がかぶれば原始人みたい。
武藤に「キレてないですよ」を迫る3人。武藤笑っちゃってうまく言えない。

ここで小力、矛先を和田京平レフェリーに変えて「キレてないですよ」を迫るが
京平レフェリー、「キレてるよ!」とマジレスしたため小力ビビる。



この後浜が「%E9%95%B7%E5%B7%9E%E5%8A%9B!」ブチキレて試合に戻る。
浜、小力の太鼓の乱れ打ち、浜が武藤にサソリ固め、これは足の入れ方がわかんなくて浜戸惑う。
小力が入ってサソリ、似ている。
神奈月が小力を押さえたところに武藤がシャイニングを仕掛けるが、小力がかわして同士討ち。
浜が武藤を押さえる間に小力のラリアットが決まって、浜&小力の勝利。
浜「噛ませ犬にならないでよかったー」と喜びのマイク。

この後小力が「勝利の舞」と称して浜とパラパラを踊り出すが、途中で中断して
「あの〜どうせならそちらの二人も一緒に踊りませんか〜」と武藤&神奈月をリングに呼び込む。
京平レフェリーも入れて5人でパラパラを踊る。



まあ試合の賛否はともかく、笑えたってのは確かです。
でも御小って他団体だからねえ(笑)。その辺どうかなって感じも。
とにかく今年も面白く見ることが出来ました。
今年は何と言ってもカズ・ハヤシのロープマッチが出来一番。

(10.1219-20)

全日本プロレス
「2010ファン感謝デー」
2010年12月12日 東京・後楽園ホール
観衆2000人(満員=主催者発表)




1.伝説のマスクマン復活〜15分1本勝負
○ヒート(HEATクラッチ、10:37) BUSHI●

2.デート権争奪〜20分1本勝負
△真田聖也(時間切れ引き分け) KAI△

3.サド・ハヤシ降臨ロープマッチ〜30分1本勝負
○カズ・ハヤシ(逆さ押え込み、15:14) 西村修●

4.F-1タッグ選手権試合60分1本勝負
○長州小力、チャーシュー・リキ(浜亮太)(体固め、20:13) 武藤敬司、神奈月●
*ラリアート。浜、小力組が第2代王者。

5.クロサワ楽器Presents〜諏訪魔軍vs.船木誠勝軍61分3本勝負
○諏訪魔、渕正信、菊地毅、菊タロー、中之上靖文(2−1) 船木誠勝、曙、征矢学、近藤修司、大和ヒロシ●
1.○船木(裸絞め、9:36)菊タロー●
2.○諏訪魔(体固め、8:15)大和●ラストライド。
3.○渕(首固め、5:23)曙●


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