No.440 IGF「INOKI BOM−BA−YE2012」藤田vs小川は消化不良決着。
No.440 IGF「INOKI BOM−BA−YE2012」
2012年12月31日 東京・両国国技館
同行者=なし
大晦日はそれなりに選択肢があったのですが
藤田、小川、ミルコなどネームバリューの高い選手が多かったのと
最近のIGFは元相撲勢、元K−1勢の参加で予測しづらい激しい試合があるそうなので
興味を持ってこちらにしました。
入口右に猪木神社(帰りには猪木像)、左には大会ロゴの幕。
入場するとパンフを手渡される。
B4のオールカラー表紙PP貼りのパンフが、タダ。
普通だったら3千円はするのではないか。
場内は向正面をつぶして入場舞台、大きなスクリーンが設置。
何だかとても出資が多くて、ペイできるのか心配になってしまいます。
でも多くの客が赤い闘魂マフラーしてるのを見ると、まあグッズがそれなりに売れているのかとも思いますが。
【メイン・藤田対小川】
両者ともOFGで登場。
小川がゴング前奇襲、通常ならレフェリーが強引にゴング鳴らして試合開始にしそうな流れだが、
サブレフェリーがたくさん入ってきて両者を分けてスタート。
見合ってなかなか組まない。小川牽制のキック。
藤田が押し込む。
コーナーで詰まってブレーク、小川がキック、藤田場外。
小川追っかけて行ってキック、リングに戻って藤田を挑発。
藤田ヘッドロック、小川抜けると藤田バランスを崩して尻餅。
そこに小川が背中へのキック。
藤田が何だか怪訝な表情を見せる。
コーナーに詰めるがサブレフェリー、セコンドがたくさん出てきて両者を分ける。
藤田が何だか怒ったような雰囲気で小川をコーナーに押し込む。
小川払い腰で藤田を投げてマウントポジション。
小川上からパンチ。藤田が背を見せると小川バックマウントからスリーパー、チョーク気味。
藤田ロープに逃げると小川が藤田を場外に蹴り落とす。
リング内の小川がOFGをはずして挑発。
藤田もリングに戻って素手になる。
藤田パンチから膝蹴り。
藤田、小川を抱え上げて叩きつける。
藤田キック、さらに上から素手のパンチ連打、下で痛がる?小川。
ここでレフェリーが体を入れてストップ。
何だかわからないうちにゴングが鳴る。
裁定は藤田のレフェリーストップ勝ち。
あっけない結末に客席から「ええーっ」という歓声。
猪木が出て来る。
藤田がマイクを持って言う
「何だ?また仕掛けたのか?やるならてめえら二人でやってろ、俺はやめた」
仕掛けって表舞台で言う台詞ではないと思うんだけど・・・。
小川も「何だこれは!ふざけんじゃねえ」とか言って去っていく。
猪木は・・・
「遅すぎたんだよ、10年前だったら天下取れてるんだよ!」
などと言ってるんですが、藤田も小川もある時期猪木の指示で動いていたのでは?
特に藤田は総合とプロレスの両方でどっちつかずの出場を指示されていたのでは?
ともかく・・・
「この後世界の強豪が来るんだよ、選手を怪我させるのが目的じゃない・・・ということで・・・」
そう強引に締めようとする猪木。
ところが客席からは「もう1回」コールが沸き起こる。
そしたら猪木がブチ切れて!
「客もそれぐらい怒ればいいんだ、世界平和のために我々は・・・」
などと主題のすり替えを始める。
客席は納得せずに「もう1回」コール、するとまた猪木がブチ切れて
「ふざけんなこの野郎、かかってこい!」
と客に向かって喧嘩腰。
何かこのままだと暴動っぽいな・・・
などとちょっと不安感が増しましたが
そのあと猪木が強引に「1、2、3、ダーッ!」で締めてしまい幕。
そこでダーやってる人はもちろんいましたが、いつもより少なかった。
結末に納得行かなくて少しでも怒り持ってる人は抗議の意味を込めてダーやらないと思う。
メインはカードに反比例して大変消化不良の結末に驚きました。
再戦につなげるための結末だったとしても
こんな試合やってたら次の興行期待して来る人減るんじゃないかと思う。
プロレス業界全体のイメージにも影響するのではないでしょうかね。
そう思うぐらいメインの見せ場は少なかった。
先の設置物、パンフの無料配布などを考えると興行的に成功しているのかも疑問だし、
あー、それから帰りの出口で「闘魂」って印刷された紙に巻いた和菓子みたいなのをくれましたね。
「これあげるから、大人しく帰ってー」みたいなニュアンスを感じました。
【第6試合・IGF MMAルールマッチ・ミノワマンvsボア・ブラトブズ】
IGF MMAルールは5分3ラウンド、インターバル90秒。
蹴り上げ、ヒジ打ちあり。頭突きは反則。
試合前のVTRでは「ミノワマン・・・第何話だったか、忘れてしまいました」
「両国国技館が1ミリから数センチ動くような熱い試合を・・・」
などとボケをかますミノワマン。
差し合いからテイクダウン、ミノワマンが上。
スタンドに移行、ミノワマン、コーナーに押し込む。ボアがバック取る。
ミノワマン、前転しての足取り、得意のムーブ。
成功するとそのまま膝十字。
さらにヒールホールドに移行、ボア抵抗するも逃れられずタップ、ミノワマンが勝利。
この日のフィニッシュで一番盛り上がった。
試合後の客席へのパフォーマンスも客席を沸かせた。
ミノワマンがいなかったらもっと冷え込んだ大会になっていたのではないか。
【第8試合・IGF MMAルールマッチ・ミルコvs鈴川】
久々に見たミルコは、何だか柔和な表情になってしまったような感じ。
あの「触れれば斬れる」みたいな殺気が失われたような雰囲気。
ほうれい線も目立つようになって老けた印象。
鈴川はOFGに相撲のまわしという珍妙なスタイルで登場。
威勢のいいVTRとは逆に、ミルコを前にして緊張の面持ち。
開始直後、鈴川がジャンプして膝蹴り、するとミルコが顔を押さえた。
スローを見ると鈴川の指が目に入ったらしい。
ここ残念。もし鈴川が止まらないで距離を詰めてパンチ振り続けたら
試合も止まらないで進んだと思う。
しかしミルコはこの、レフェリーを動かすストップの掛け方うまい。
回復のため少し間をおいて再開。
ミルコ怒った様子で距離を詰めてパンチをふるう。
鈴川ビビったように顔を下げながらかわしているうちにバランスを崩して自分から倒れる。
そこにミルコ詰めて鈴川の上になる。
ミルコしっかりとマウントポジションを取る。
もう勝ったも同然。ミルコしっかりとコントロール。
鈴川が横を向くと左腕を決めにかかる。
見事な腕十字で鈴川タップして決着。
そりゃ鈴川MMA初戦だし。ミルコが試合前のVTRで言っていた通り
「スタンドでは(鈴川に)勝機がない。グランドでは・・・もっと勝機がない」
その通りになった。経験の差があからさまに出た様子。こりゃ失敗マッチメイクではないか。
本来ストライカーのミルコに関節技決められるレベルのグランドではどうしようもないと思う。
鈴川は、相撲と決別してプロレスラーになったのならまわしとかやめるべきでは。
【第7試合・IGF MMAルールマッチ・石井vsシルビア】
身長差20センチ以上、体重差30kg以上差ということだが、
シルビアは明らかに太めで足が細い。足を怪我でもしていて調整不足では?
石井距離を詰めてパンチをふるうも有効打出ず。
コーナーで組んで足払いでシルビアを倒そうとするが、なかなか倒れない。
ようやくテイクダウンさせると石井、上になってパンチ、ヒジを落とす。
アームロックに決めようとしたところでシルビアの出血でドクターチェック、
再開後石井がアキレス腱固めに行くところで1R終了。
再開時組み手が違うと石井が抗議するも受け入れられず。
2R開始1秒でドクターチェック。インターバル中はルールによりドクターチェックには入れないということ。
再開後石井がタックルでコーナーに押し込んで足払い。
コーナーで動きが止まったためにブレイク、中央で再開。
シルビアが首相撲からボディに膝蹴り。この攻撃に石井対処できず、数発食らう。
3Rも同じような攻防が続き、シルビアの首相撲からの膝蹴りが目立ったが
判定は3−0で石井。ドクターチェックシルビアが3回。この辺のダメージをポイントとして採用されたのか。
ただ攻防としては2Rからのシルビアの首相撲からの膝がもっとポイントになっているのではないかと思った。
【第5試合・IGF MMAルールマッチ・ホーレス・グレイシーvs川口】
ホーレスはヒクソンの兄(事故死)の息子だそう。
でグレイシーなのに身長190センチ超、体重100kg超という怪物。
ホーレスはMMAルール通常のOFG着用、川口は通常のボクシンググローブ着用(選択可)。
試合はすすっと接近したホーレスが片足タックル。
川口ロープを掴むような絡まるようなしぐさ、だがバックを取られて倒されて下になる。
川口ハーフガード、しかしホーレス足を抜くとマウントを奪取。
パウンドを入れると密着して肩固め。川口あえなくタップ。
ボクシンググローブ着用でパンチ勝負に出る意思を見せた川口ですが、打撃1発も入れられなくて終わった。
ボクシンググローブは完全に裏目。
ホーレスに「なら密着して」と選択を決定づけられ、
さらにテイクダウンされると手を使えないので手錠を嵌められたままグランド勝負しているようなもの。
もう戦略からして失敗。
【第3試合・IGF キックルールマッチ・角谷vsアリ】
アリはイランのキックボクシング、ボクシングのタイトルを取った選手とのこと。
両者とも190センチ超。
アリ、パンチからハイキック、角谷パンチ。
角谷がパンチを打って前に出てくるところをアリがカウンターの右フックフルスイング。
これで角谷ダウン。辛くも立ち上がるがアリがロープに詰めて左右パンチを連打すると
角谷2度目のダウンでレフェリーストップ。
角谷はIGFでキックの試合を続けているビジョンがよくわかりませんが、
相手を呼んでくるのに難しい階級なのかも知れません。
【第4試合・カシン、将軍岡本vsエリック・ハマー、ボブ・サップ】
カシンもボブ・サップも見るの久しぶりだなあ・・・。
ハマー序盤にボディスラム失敗。岡本頭から落ちてちょっと心配。
サップはボディスラム3連発。
岡本がサップにスピアー。
サップ対カシンになってサップがネックハンギング。
さらにハマーがカシンを羽交い絞めにして二人でパンチ、タックルの攻撃、しかし同志打ち。
岡本入って投げっ放しジャーマン、バックドロップ。
サップがカシンを羽交い絞めにするとハマーがパンチ。
さらにロープに飛んで何かしようとしたところを
場外から岡本が足を引っ張って落とす。
サップがカシンを抱え上げるがカシン反動をつけてサップを押さえ込みこれで3カウント。
サップは1・4新日東京ドーム出るはずなのに、勝っちゃっていいの?
カシンは動きがよかったです。面白い選手だからもっと活躍の場が欲しい。
【第2試合・マスクド・ゲノムJr.vs紅白仮面】
紅白仮面はNHKのスポーツマーチにより入場、いいのかね?(笑)
ゲノムはスパイダーマン仕様のコス、
ムーブも何だか手を伸ばして腰を割って足を開いてスパイダーマン的。
試合は紅白がスイングDDT。ゲノムがカニばさみでゲノムを前方に倒すと紅白ロープにひっかかる。
そこにゲノムが619。さらにミサイルキックから卍固めを決めて勝利。
ルチャ的な試合でした。
さて、物議を醸す試合をして話題をさらうというのは誰かがそう考えて進めているのかも知れないが、
切符を売って客を入れる興行としてはどうなんでしょうかね。
『試合より「1、2、3、ダー」を会場で猪木とやりたい』という人は別ですが
試合内容などを期待して金を払ってくる人が、こういう興行をして次また来るとは甚だ疑問です。
場内進行はかつての新日のリングアナだった田中リングアナがやっていて(久しぶりに見ました)
確かに雰囲気はかつての新日テイストがありましたが
今の時代不透明決着は通じないと思う。
猪木のセンスが今の時代にマッチしていないか?
そう、猪木は真ん中の休憩あとにパキスタン関連の報告と表彰で、それとメインのラストで登場しましたが
さすがに大分ヨボヨボ感が強かったですね。
呂律もまわってなかったし何言ってるんだかよくわからない。もう年です。
今大会のマッチメークにどれだけ権限があるのはおいら関係者じゃないのでわかりませんが、
もうそういう部分に関わるのはやめた方がいいと思う。
この日のメインは近年最も勝負論という観点で取り上げられたカードだと思う。
明確な決着が叶わなければ、もっと迫力のある試合内容で客を驚かせる場面が欲しかった。
不透明決着でマスコミの取り上げる回数、インターネットで取り上げられる回数が多くなって
話題や議論だけが走って行く状況を良しとするなら、
そこにはリアルの会場で金払って見ていた観客の存在が全く忘れ去られているいうことです。
そしてそういうこの団体のスタイルは、
多分他団体の興行や業界全体にも何がしか、
少なからず悪影響を与え始めるような感じがします。勝手な想像ですが。
('12.1231−'13.0102)
この大会の大きい写真はこちら
ラウンドガール集はこちら
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IGF「INOKI BOM−BA−YE2012」
2012年12月31日 東京・両国国技館
観客8778人(超満員=主催者発表)
1.定アキラ闘魂十番勝負・第7弾 10分1本勝負
○定アキラ(逆片エビ固め、6:47)那須晃太郎●
2.20分1本勝負
○マスクド・ゲノムJr.(卍固め、4:47)紅白仮面●
3.IGF キックボクシングルールマッチ3分3R
○プリンス・アリ(TKO、1R1:43)角谷正義●
*角谷2度目のダウンでレフェリーが試合ストップ。
4.タッグマッチ30分1本勝負
○ケンドー・カシン、将軍岡本(前方回転エビ固め、4:28)エリック・ハマー、ボブ・サップ●
5.IGF MMAルールマッチ5分3R
○ホーレス・グレイシー(肩固め、1R2:00)川口雄介●
6.IGF MMAルールマッチ5分3R
○ミノワマン(ヒールホールド、1R3:18)ボア・ブラトブズ●
7.IGF MMAルールマッチ5分3R
○石井慧(判定3−0)ティム・シルビア●
8.IGF MMAルールマッチ5分3R
○ミルコ・クロコップ(腕ひしぎ逆十字固め、1R1:18)鈴川真一●
9. 45分1本勝負
○鈴木秀樹、澤田敦士(片エビ固め、15:20)レイ・セフォー、天田ヒロミ●
10.時間無制限1本勝負
○藤田和之(レフェリーストップ、8:27) 小川直也●
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