No. 164
伝説の田コロ決戦、ハンセン対アンドレの大肉弾戦&R木村の「こんばんわ」
新日本プロレス ブラディファイトシリーズ第29戦(最終戦・創立10周年記念興行第2弾)
新日本プロレス
ブラディファイトシリーズ第29戦(最終戦・創立10周年記念興行第2弾)
1981年9月23日
東京・田園コロシアム
同行者=なし
田園コロシアムは独特の雰囲気のあるすり鉢型の野外会場。
【ロバーツ-藤原】
渋いグランドの攻防、しかしロバーツがブリッジで藤原を持ち上げると
客席から「オーッ」という歓声が。
【坂口-小林】
元北米タッグ王者チーム同士の対戦、意外にも小林への声援が多い、久しぶりの登場だからか。
小林はベアハッグで攻め込む。
しかし場外戦で先に生還した坂口のリングアウト勝ちになった。
【タイガー-ソラール】
序盤はタイガーのローリング・ヘッドシザースなどで一進一退だったが
タイガーがソラールをスプリング式の首投げで投げると、着地したソラールが異様な動きでリング下にエスケープ。
どうやら左肩を負傷したらしい。
それでもソラールはキックからキャメル・クラッチ。
しかしキャメルを決めながら左肩を回すソラールの姿が痛々しい。
タイガー、回し蹴りからローリングソバットの猛攻。
レフェリーの山本小鉄はソラールの負傷をわかっていると思うのだが、なぜか試合をストップしない。
困惑した様子のタイガーは仕方なさそうにソラールの腕を決め、彼をギブアップさせた。
【藤波-ソリタリオ】
ソリタリオは藤波のチャレンジャーとしてはやや小さいか。
メキシコ式のレッグロックや場外プランチャーで攻めるソリタリオ。
藤波は久々のドラゴンロケットで応戦。
最後はブレンバスターで藤波のピンフォール勝ち。
【ハンセン-アンドレ】
世紀の大肉弾戦!
例によってブルロープを振り回しながらの入場、スタン・ハンセンの雄たけびが田園コロシアムの夜空に響いた!
アンドレが入場するとすかさずハンセンが襲い掛かる、がアンドレ大巨人キックで応戦。
ぶっ倒れるハンセン、リングが揺れる、騒乱の中ゴング!
アンドレのベアハッグ、リストロック。
ハンセンの水平チョップ、大きくのけぞるアンドレ、ジャイアントヘッドバットでお返し。
ハンセン、アンドレをボディスラムで投げようとしたが失敗、
アンドレがスタンドでのアームロック、猪木がやる肩担ぎ式のアームブリーカー。ラリアート阻止の左腕殺し。
アンドレ、豪快にハンセンを持ち上げてブレンバスター、ここで5分経過。
アンドレ、ハンセンをロープに振ってショルダースルーを狙うも、ハンセンキックで阻止してアンドレを遂にボディスラム!
ハンセンのキャメルクラッチをはずしてから場外戦で両者リングアウト、リングに戻ったハンセンが延長戦を要求。
アンドレのマネジャーのアーノルド・スコーラン、新間氏などがリングに上がって協議、
何と時間無制限の延長戦に突入!物凄い場内のヒートアップ。
再開後ハンセンの豪快な一本背負い。
アンドレのジャイアントヘッドバット2連発。
ハンセンのエルボーが自爆、アンドレ、アームロックからサーフボード。
アンドレお返しのハイアングル・ボディスラムからジャイアント・プレスを狙うが失敗。
ハンセンがジャンピングエルボー、これも自爆。
アンドレがハンセンをロ―プに振った、しかしカウンターハイキックをかわしたハンセンがウエスタン・ラリアート!
場外に吹っ飛ぶアンドレ!すごい歓声!
マネジャーのスコーランが場外のアンドレに近づき、青いサポーターをアンドレに渡す。
リングに戻ったアンドレのサポーターをレフェリーの高橋が認めずチェックしようとすると
アンドレが抵抗、高橋をロープに振ってラリアート。これでサブレフェリーの柴田がアンドレの反則負けを宣告。
しかし続く乱戦を新日本のセコンド陣が阻止しようとするも暴れまわる2大巨獣は手がつけられず
若手の前田がハンセンのショートレンジからのラリアートの餌食になる。
走るハンセン、跳ぶアンドレ、軋むリング、屋外試合。
まさに「バトルオブスーパーヘビーウエイト」!!決着は反則だったが大満足。
【猪木-戸口】
IWGPアジア予選。
試合前に、崩壊した国際プロレスから参戦したラッシャー木村、アニマル浜口が私服で登場。
10月8日に蔵前で猪木対木村をメインに新日本対国際の対抗戦が行われるが発表され、木村と浜口が紹介される。
場内は国際の二人に対する罵声のような野次が飛ぶ。
テレビ朝日の保坂アナウンサーが木村にマイクを向けインタビュー。
保坂アナ「えー、それではいよいよ10月8日、蔵前国技館におきまして、
アントニオ猪木選手との一騎打ちが実現することになりましたラッシャー木村選手にお話を伺ってみましょう。
木村さん、いよいよ実現しますが、今のお気持ちは」
木村「え――、こんばんわ・・・(場内失笑と罵声)
あのですね、10月8日の試合は、私たちは、国際プロレスの名誉にかけても必ず勝ってみせます。
またですね、この試合のために、今、私たちは、秩父で合宿をはって死に物狂いでトレーニング、トレーニングをやっておりますので必ず勝ちます」
不機嫌そうに動き回る赤いガウンを着た猪木。
保坂アナ「そうですか、そして、浜口さん」
浜口「(マイクを持って前進し)10月8日はぁ!絶対我々が勝ちますよ!おお!
(戸口のコーナーのセコンドにいた蔵前の対戦相手の剛竜馬に向かって)
来いよお前、おお、待っとけよ、
(客席に向かって)10月8日を見てくださいよ!エエ!
絶対勝つからな!オラ!エエ!(右こぶしをあげてガッツポーズ)」
保坂アナ「(猪木に近づきながら)さて、一方新日本プロレス側猪木さん、ああ言ってますがどうですか!」
猪木「(右手でマイクをさえぎって何も言わず)」
保坂アナ「さあ、そういうことで緊迫感が漂ってまいりました、いよいよ10月8日・・・(最後聞き取れず)」
しばし睨み合う猪木と木村、浜口。猪木が木村を指差して何やら言うがわからず。
有名な「こんばんわ」の一件である。
「こんばんわ」の後の「あのですね」がとりつくろうようで、木村の大根ぶりに拍車をかけていた。
しかし木村は新日本から転出した後UWFを経て全日本に出場、本格的に「マイクの鬼」となる。
その「マイクの鬼」の心の中には原体験、あるいはトラウマとしての田園コロシアムは存在していたのだろうか。
木村の失笑を挽回すべく熱い絶叫で場内を沸かせたアニマル浜口!会社の倒産という逆境に負けない気合、
この時は「敵ながらあっぱれ」と思った。
国際勢の退場後、両選手がコールされて猪木対戸口が始まる。
戸口、パイルドライバー、ショルダーバスター、ブレンバスターで猪木を追い込むが
猪木ドロップキック2連発から延髄斬り2連発、最後は卍固め、崩れてグランドになったが戸口ギブアップ。
全日本で鶴田と何度か時間切れ引き分け試合を経験した戸口を、猪木はあっけなく破った。
空前の熱気だった、熱い夜だった・・・。
(1984年6月頃のノートを元に再構成、ハンセン‐アンドレ、猪木‐戸口は当時のテレビ映像を参考、2004.1024)
新日本プロレス
「ブラディファイトシリーズ第29戦(最終戦・創立10周年記念興行第2弾)」
1981(昭和56)年9月23日 東京・田園コロシアム
観衆1万3500人(超満員)=主催者発表
1.20分1本勝負
○荒川真(逆さ押さえ込み、10:29)平田淳二●
2.30分1本勝負
○星野勘太郎、ジョージ高野(体固め、13:07)B.プラタ、B.オロ●
3.30分1本勝負
○ピート・ロバーツ(エビ固め、12:57)藤原喜明●
4.30分1本勝負
○バッドニュース・アレン、ジム・ドゥーガン(片エビ固め、8:46)永源遙、剛竜馬●
5.IWGPアジア・ゾーン予選リーグ30分1本勝負
○坂口征二(リングアウト、9:53)ストロング小林●
6.30分1本勝負
○タイガーマスク(腕固め、8:51)ソラール●
7.WWFジュニアヘビー級選手権(60分1本勝負)
○藤波辰己(体固め、12:00)エル・ソリタリオ●
*藤波が27度目の防衛。
8.60分1本勝負
▲スタン・ハンセン(両者リングアウト、8:26)アンドレ・ザ・ジャイアント▲
*延長戦(時間無制限1本勝負)
○スタン・ハンセン(反則、4:22)アンドレ・ザ・ジャイアント●
9.IWGPアジア・ゾーン予選リーグ30分1本勝負
○アントニオ猪木(グランド卍固め、9:20)タイガー戸口●
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