No.178
ゴッチ57歳の人間橋とボックの凋落 新日本プロレス「新春スーパーファイト(創立10周年記念興行第5弾)」


1982(昭和57)年1月1日 新日本プロレス
「新春スーパーファイト(創立10周年記念興行第5弾)」
東京・後楽園ホール
同行者=なし

Gスピリッツ Vol.21 (タツミムック)

新品価格
¥1,200から
(2011/9/25 19:46時点)

↑プロレス引退後のボックの消息についての記事あり。



後楽園ホールの上の入り口の前で開場を待っていると
後ろのエレベータからキッド、バックランド、ゴッチ、ボックの外国人勢が会場入り。
群がるファンを蹴散らしたのはダイナマイト・キッド、かなり怒っていた。
赤ら顔で目玉をぎょろぎょろさせたローラン・ボックはとても大きく見えた。

【カール・ゴッチ‐藤原】
ゴッチはこの時点で57歳だったそう。
グラウンドでゴッチ、のちのUWFでクローズアップされるクロックヘッドシザースを披露。
腕を取っての投げ、ゴッチ式エビ固めなどを見せた後
スタンドでフルネルソンの攻防からバックを制したゴッチが
「伝家の宝刀」ジャーマン・スープレックスホールドを爆発させて藤原から3カウント。
立ち直った藤原、ゴッチと握手を交わすもジャーマンのダメージかよろめく。

この興行の後のシリーズの東京都体育館で
「ゴッチvsボック」のエキシビションマッチが行われるかもしれない、
と東京スポーツに記事が載ったが実現せず。
まあやってもお互い投げられるのは嫌でしょうからスープレックス合戦にはならず
投げのディフェンスに終始して時間切れになったかと思われる。

【長州‐アニマル浜口】
この試合で初めて長州がラリアットを出したと、読んだ記憶がある。
「パワー・ホール」での入場も初めて見たような気が。
この頃の長州はやや長めのパンチパーマ。
試合は中盤確かに長州がカウンターのラリアットを炸裂させたが
その後場外戦になり先にリングに上がろうとした浜口を長州がエプロン、コーナー際でヘッドロックに固め
半ば強引に両者リングアウトに持ち込んだ。

【タイガーマスク‐ダイナマイト・キッド】
前年末のカネック戦で足を痛めたタイガーが精彩を欠いた試合。
キッドは青のショルダー式吊りパン&ロングタイツ。
前半はキッド圧倒的に優勢、ゴッチ式パイルドライバー、バックドロップ、ダイビング・ヘッドバットなどを披露。
しかしタイガー、勝負どころで冷静、キックから半ば強引にエビで押さえ込む。

【バックランド‐藤波】
ボブの投げっ放し人間風車が炸裂。
藤波、キーロックで攻めるがボブがリフトアップ。
ローリング・クラッチホールドの応酬から上になったボブがジャパニーズ・レッグロールを狙うが
ブリッジが完成する前にレフェリー山本小鉄の3カウントが入ってやや不完全燃焼の決着。
退場前にバックランドがエプロンでマイクを持って「ハピニューイヤー!」と絶叫!
・・・・・・何だったんだ。

【猪木‐ローラン・ボック】
ボックは低空のバックドロップ、フロントスープレックスを披露。
猪木のドロップキックをボック、かわす。
猪木が足を取ってテイクダウンさせるとマットの弾力を確かめる余裕のポーズ。
・・・と思っていたけど今になってみれば虚勢だったのかも、と思う。
1R終了でコーナーに戻ったボックにセコンドが椅子を勧めると、ボックは足で椅子を軽く蹴って座るのを拒否。
この辺も虚勢っぽい。
3Rで猪木がラッシュ、アリキックをボックの腿に集中砲火させるとボック苦悶の表情で立往生。
猪木かさにかかった攻撃で延髄斬り、ボックダウン。
場外に落ちたボックに猪木が近づくと、ボックがエプロンで猪木にスリーパー、
ブレイクを要請したレフェリーのミスター高橋がボックに触れると、ボック首の一振りで高橋を場外に落とす。
ここでボックの反則負け、納得しない猪木が詰め寄るも、特別立会人だったゴッチがリングに上がりどうにか収拾。
ボックは打たれ弱さ、スタミナのなさを暴露した感じ、やはり体調の悪さは続いているようだった。

ゴッチの試合は面白かったが後半の3試合がいずれも不透明決着で食い足りなかった。
足早に後楽園を去り、坂を上がって御茶ノ水まで歩いて頭を冷やした。
チケットのコピー「これが、ストロング・スタイル!!」が寒々しく感じた。
「ハンセンの抜けた穴は限りなく大きい」と思った。
そしてローラン・ボック。
ボックはこの試合の後ドイツで脱税容疑で収監されたそうで、
どうやらこの猪木戦が最後の試合になったようである。
ハンセンの抜けた穴とボックの凋落で、IWGPが絵に描いた餅になりつつあった。

(2005.0202)

1982(昭和57)年1月1日 新日本プロレス
新春スーパーファイト(創立10周年記念興行第5弾)
東京・後楽園ホール
観衆3300人(超満員)

1.15分1本勝負
○保永昇男(片エビ固め、11:21)高田伸彦●

2.15分1本勝負
○仲野信市(逆エビ固め、11:36)小杉俊二●

3.20分1本勝負
○G高野(体固め、11:32)ブラックキャット●

4.20分1本勝負
○木戸修、荒川真(体固め、10:53)永源遙、前田明●

5.30分1本勝負
○星野勘太郎(回転エビ固め、7:32)剛竜馬●

6.30分1本勝負
○坂口征二、木村健吾(体固め、10:35)R木村、寺西勇●

7.30分1本勝負
○カール・ゴッチ(原爆固め、3:27)藤原喜明●

8.45分1本勝負
▲長州力(両者リングアウト、8:46)アニマル浜口▲

9.WWFジュニアヘビー級王座決定戦(60分1本勝負)
○タイガーマスク(エビ固め、8:31)ダイナマイト・キッド●
*タイガーマスクが第6代王者に。

10.WWFヘビー級選手権&飛龍十番勝負第1戦(60分1本勝負)
○ボブ・バックランド(エビ固め、12:36)藤波辰巳●
*バックランドが王座防衛。

11.5分10回戦
○A猪木(反則、3R3:16)R.ボック●

生観戦記1982に戻る
SAMEDASU扉に戻る

web拍手 by FC2