No.321
シュートボクシング シーザー武志vsJ.バシム


シュートボクシング「格闘技スポーツ元年」(第1戦)
1987(昭和62)年1月31日 東京・後楽園ホール
同行者=千里眼他

*当時のシュートボクシング(以下SB)のルール、興行スタイル。
◎階級(鳥の名前が採用された、現在はボクシングなどと同じ名称)
スパロー級(−52Kg)スズメ
オウル級(−55Kg)フクロウあるいはミミズク
カーディナル級(−60Kg)コウカンチョウ(ショウジョウコウカンチョウ)
シーガル級(−65Kg)カモメ
ファルコン級(−70Kg)ハヤブサ
ホーク級(−75Kg)タカ
イーグル級(+75Kg)ワシ

◎試合時間
フレッシュマンクラス、女子 本戦6分、延長3分
エキスパートクラス 本戦10分、延長5分
判定が引き分けの場合延長は何度でも行なわれ、引き分けはない(註1)。

◎有効な攻撃
パンチ、キック、膝蹴り、投げ、立ち関節

◎反則
頭突き、噛みつき、サミング、チョーク、 ロープを使った攻撃、ダウンした相手への攻撃、 ヒジ打ち

リングアナウンサーは長身の黒人、アレックス・イーズリー(のちゴスペル歌手と判明)。
「ディス、イズ、シュ―――――――トボクシン(グ)!」引っぱる引っぱる、引っぱり方が独特。
試合後の表彰、選手退場時のBGMはホワイトスネイクの「ヒア・アイ・ゴー・アゲイン」。

初めての観戦だったSBだが、異種格闘技戦が話題を呼んだか後楽園は超満員。
そして阿部や平などの無名の若手が好勝負を繰り広げるこの空間に驚異を感じる。
阿部はカウンターのパンチが的確にヒットしてKO勝ち。
この日がSBデビュー2戦目の平は勝利後コーナーに登ってダイブ、プランチャーっぽい動きでサービス。

3大異種格闘技戦、最初はSBの黒沢対新格闘術の土田。
土田は空手の道着を着用、黒沢は頭が大きく見える。体格では土田。
しかし試合は揉み合い、首相撲からの投げで土田のスタミナを大きく奪った黒沢が圧倒。
ラウンドなしで戦うシュートボクサーのスタミナが証明された一戦となる。

力忠勝は創成期からキックボクシングに参加、
以後プロ空手を経てSBに。
プロ空手時代は大阪での猪木対ミスター]の異種格闘技戦の前座に登場し
当時連勝中だったプロ空手重量級王者の紅幸司にTKO勝ちしたことも。
映画「四角いジャングル」の何回目かでちょっとだけこの試合が見られるが
強烈な顔面踏みつけ(笑)。
しかしこの日はムエタイ戦士チャーリーの牙城を崩せず判定負け。

メインで格闘技戦を行なうバシムはIKBAスーパーミドル級王者、アメリカの黒人。
25戦20勝(12KO)4敗1分。
シーザーは日本系のキックボクシング出身。
85年に新格闘技SBを創設。
リングインすると驚くほどの人気。
ルールは特別ルール、5分5R、フリーノックダウン、バックからの投げの禁止。
開始早々バシムがラッシュ、距離を詰めてパンチ攻撃、
シーザー尻餅をつく、客席から悲鳴。
しかしシーザー、首投げを決めてペースを奪うと、ローキック連発でバシム2度ダウン。
2R、シーザーがローキックでラッシュ、バシムダウン。
シーザーさらに左ハイキックでとどめのダウンを奪う。
この瞬間、会場で客がストンピング!
シーザーの劇的な逆転勝利に酔うとともに新プロ格闘技の若手の胎動を感じた。
あなどれず、シュートボクシング。
註1:のち延長は2回までに改正。現在は1R3分、3、5R制(延長あり)。
(2007.0728)

全日本シュートボクシング協会
「格闘技スポーツ元年」(第1戦)
1987(昭和62)年1月31日 東京・後楽園ホール
観客2500人(超満員札止め)=ゴング格闘技より

1.女子・スパロー級(本戦6分、延長3分)
○中村照美(判定延長4回)仁あきら●

2.フレッシュマンクラス・カーディナル級(本戦6分、延長3分)
○香取義和(判定延長2回)川村武美●

3.フレッシュマンクラス・シーガル級(本戦6分、延長3分)
○阿部健一(TKO、延長2回2:44)吉村圭三●

4.フレッシュマンクラス・ホーク級(本戦6分、延長3分)
○平直行(KO、本戦2:36)小野達也●

5.エキスパートクラス・カーディナル級(本戦10分、延長5分)
○大村勝巳(判定延長2回)大津享一●

6.異種格闘技戦(本戦10分、延長5分)
○黒沢久雄(本戦判定)土田猛<新格闘術>

7. 異種格闘技戦(本戦10分、延長5分)
○チャーリー・リア・チャオファー(判定延長2回)力忠勝●

8.異種格闘技戦(特別ルール5分5R)
○シーザー武志(KO、2R1:35)ジェームズ・バシム●



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