No.193
晴れてよかった!UWF有明 真夏の格闘技戦「THE PROFESSIONAL BOUT」


UWF
真夏の格闘技戦「THE PROFESSIONAL BOUT」
1988(昭和63)年8月13日 東京・有明コロシアム
同行者=千里眼(他にいたかも知れない)
 ↓当日のパンフレット。

数日前の降雨により延期の懸念があったが、
当日の天候は晴れ、試合が進行すると東京湾での花火も垣間見られ、
まるで大会の成功を祝福しているかのようだった。
大会はシュートボクシング協会との提携として行われ、SB側から3試合が提供された。
有明コロシアムは当然超満員。

マレンコ道場出身の黒人レスラー、ノーマン・スマイリーはこの日が日本での2試合目の試合。
グラウンドでの柔らかい動きは独特のものがあり、徐々にUWF興行の常連参加外国人となっていった。
この日もグラウンドでの関節技で安生を圧倒。
最後は逆十字気味の腕固めで勝利。

山崎対高田宿命のライバル対決は一進一退の攻防の末、
山崎がジャーマン、頸部への回し蹴りからの押さえ込みで3カウントピンフォール決着!
しかしこの後ルールが改正され、打撃からの直接ピンフォールは無効となった。
押さえ込みをやる選手も次第に少なくなってゆく。
プロ「レスリング」なのに押さえ込みを否定するなんて?という気持ちがこのルール改正であった。


シーザーと対戦したパーヤップは元ムエタイの王者、
オランダのロブ・カーマンとも対戦経験がある強豪で、
強すぎて相手がいないため1対2の試合を行ったとも言われている。
しかし試合は、シーザーの左ミドルを食ったパーヤップが悶絶、
ダウンカウントを取るレフェリーにしがみつくようなオーバーゼスチャーの末
パーヤップのKO負けで僅か3分足らずで終了。
非常に不可解な結末。
この後再びUWFとSBが提携して興行を行ったという記憶もないことから
この興行、この試合が何らかの禍根を残したのではないかと推測してしまう。
また同時期にはやはりロブ・カーマンと対戦したことがあるムエタイの元王者、
ラクチャートもSB、キックボクシングのリングで連敗しており
これはもう「出稼ぎタイ王者の、敗北の投げ売り」と言われても仕方がないのではないか。

ジェラルド・ゴルドーは前年87年の極真空手第4回全世界選手権大会で目撃しており
(ベスト16入場の際ミッシェル・ウェーデルと間違った)、またUWF有明大会の少し前の全日本キック後楽園でも
切鮫と千里眼の前の席に鎮座して試合を観戦していた。
当時はその巨体から「白いウィリー」と呼ばれていた。
試合は前田にいつもの精彩がなく、ゴルドーのスタンドでの膝蹴り、パンチをやすやすともらってしまう危険な展開が続く。
しかし4ラウンド、ゴルドーの右ハイキックをキャッチした前田がひねり倒して裏アキレス腱固めを決めて勝利、熱戦に終止符を打った。

夏の野外、開放感があって大変楽しめた大会だった。
またUWFでの有明大会はこの一戦のみだったが
前田はリングス旗揚げ後はこの会場を頻繁に使用するようになる。
(2005.0402)

1988(昭和63)年8月13日 東京・有明コロシアム
UWF
真夏の格闘技戦 「THE PROFESSIONAL BOUT」
観衆1万2000人(超満員)

1.シュートボクシング(本戦10分、延長5分)
○大村勝己(KO、7:02)李石(り・そぎ)

2.シュートボクシング(本戦10分、延長5分)
○大江慎(KO、6:11)三宅秀和●

3.30分1本勝負
○宮戸成夫(逆片エビ固め、19:04)中野龍雄●

4.30分1本勝負
○ノーマン・スマイリー(腕ひしぎ腕固め、18:46)安生洋二●

5.45分1本勝負
○山崎一夫(片エビ固め、17:32)高田延彦●
*3カウントによるピンフォール。

6.異種格闘技戦(本戦10分、延長5分SBルール)
○シーザー武志(KO、2:36)パーヤップ・プレムチャイ●

7.異種格闘技戦(3分12R)
○前田日明(裏アキレス腱固め、4R1:10)ジェラルド・ゴルドー●



前田対ゴルドー異種格闘技戦ルール
【試合形式】
1ラウンド3分(休憩1分)の12ラウンド制。
12ラウンド終了後、決着がつかない場合は、ラウンドフリー(時間無制限)により勝負がつくまで試合を続行する。

【勝敗】
KO(10カウント)、ギブアップ、TKO。
TKOはレフェリーストップ、ドクターストップ、セコンドによるタオル投入等。

【ファイティングスタイル】
お互い常時ファイトしているスタイルによって戦う。
ゴルドー選手のグラブは10オンスとする。

【反則攻撃】
サミング、急所打ち、チョーク攻撃。

【禁じ手】
前田選手のヘッドバット
ゴルドー選手のヒジ打ち

【その他】
・ダウンは、1ラウンド中何度倒れても試合をストップしないフリーノックダウン制とする。
・前田選手のグラウンド攻撃の時間制限は、30秒とする。
・ロープ・ブレイクに関しては、それぞれのターンバックル(コーナー)より、1m25cmの範囲で肘関節、膝関節以上が出た場合に認める。
・ロープダウンもしくは両者スタンディングでロープにもつれた場合、又ロープブレイクが認められない地域で、グラウンドでこうちゃく状態になった時は、レフェリーの処置に従う。
・セコンドは、2名かぎりとする。
(当日発売のパンフレットより)

生観戦記1988に戻る
SAMEDASU扉に戻る

web拍手 by FC2