No.200
R.フレアーの伝統芸能的ムーブがドームで爆発 新日本プロレス「’91スターケード IN 闘強導夢」


新日本プロレス「’91スターケード IN 闘強導夢」
1991(平成3)年3月21日 東京ドーム 
同行者=千里眼(他に女性を含む数名)

この日はメインの藤波対フレアー戦に尽きる。
全日本プロレスで何度もNWA世界王座を防衛してきたリック・フレアーが、新日本の東京ドームという大舞台で、
初対決の藤波の挑戦を受ける(実際はダブルタイトル戦だから両者とも王者)大一番。
試合前のセレモニーではリング上に日米の国旗が。
そして歌手のジョー山中(元フラワー・トラヴェリン・バンド)がアメリカ国歌を、ジョニー大倉(元キャロル)が日本国歌を独唱。
藤波はドラゴンスリーパーなどで序盤から攻め込んでゆく。
しかし自分は絶妙の受けに周り、相手に攻めさせておいてスタミナを奪うというのは世界王者の常套手段。
徐々にフレアーのペースになってゆく。
フレアーがブレンバスター、15分過ぎ、場外乱闘でフレアー頭部から出血、金髪が朱に染まる。
藤波が延髄斬り、フレアーロボット歩き。2、3歩進んでからオーヴァーに飛び上がってバッタリ倒れる。
藤波が攻め込もうとすると、フレアー膝をついて両手を前に出しての「ジャストモーメン」命乞い。
藤波がフレアーをコーナーに飛ばす、フレアーなぜか背中からコーナーに激突して逆さ吊り!
何だこれ!すごく面白いぞ!
リック・フレアーのムーブが全開!
なぜ今までこの面白さに気がつかなかったのだろうか!
王者フレアーは戦場を選ばないのか、全日のマットも新日のマットも関係ないのか、
フレアーがコーナー最上段に登った、藤波追いついてデッドリードライブ、
大きな弧を宙に描いて落ちてゆくリック・フレアー、しかしながら見事な受身を披露。
当たり前のように、自分の技、いや芸をこなしてゆくフレアー。
「ロボット歩き、2、3歩進んでバッタリ倒れる」
「ジャストモーメン命乞い」
「コーナー激突逆さ吊り」
「最上段からデッドリードライブで投げられて受身」
これらが技か?少なくても攻撃ではない。
防御でも技と呼べるだろうが、そうでない動きもある。
だけど出れば面白い。
まさに「芸」だ。
それは伝統芸能の趣きさえ感じられた。
非攻撃型の動きで、攻撃している側よりも己の個性を強烈にアピールするリック・フレアーのムーブ!
そしてフレアーとレフェリーが激突してレフェリー不在状態に。
遂に出た、レフェリー誤爆による不在は防衛戦術の一つだ。
藤波は逆さ押さえ込み、スモールパッケージと連続でピンフォールの形をとるが、
いずれもレフェリーが不在でノーカウント。
藤波がフレアーの突進をショルダースルーで放ると、
フレアーはオーヴァー・ザ・トップロープで場外転落(このアクションがのち物議をかもす)。
リングに戻ろうとするフレアーを、藤波ブレンバスター。
続いて藤波コブラツイストからグランドに移行、サブレフェリーのタイガー服部がカウント、1、2、スリー!
藤波が見事に世界王座奪取!
場内大興奮、であったが後日NWAサイドからクレームがあり、藤波の王座は無効になってしまった。
結局試合は最後までフレアーの手の平の中のものだった、ということだろうか。

(2005.0430)

1991(平成3)年3月21日 東京ドーム 新日本プロレス「’91スターケード IN 闘強導夢」
観衆6万4500人(超満員札止め)

1.30分1本勝負
○木村健吾、木戸修、星野勘太郎、A浜口(片エビ固め、12:08)S.S.マシン、H斉藤、保永昇男、後藤達俊●

2.30分1本勝負
○飯塚孝之、越中詩郎、小林邦昭(飛龍原爆固め、16:57)B.ピルマン、Z・マン(トム・ジンク)、T.ホーナー●

3.30分1本勝負
○S.ノートン(片エビ固め、2:23)イコライザー●

4.IWGPジュニアヘビー級選手権(60分1本勝負)
○獣神サンダー・ライガー(体固め、16:08)AKIRA(野上彰)
*ライガーが2度目の王座防衛。

5.45分1本勝負
○アーン・アンダーソン、バリー・ウインダム(片エビ固め、9:17)蝶野正洋、M斉藤●

6.IWGPタッグ選手権(60分1本勝負)
○スコット・スタイナー、リック・スタイナー(フランケンシュタイナー、12:56)馳浩、佐々木健介●
*スタイナー兄弟が第16代王者になる。

7.45分1本勝負
○エル・ヒガンテ(ブレーン・クロー・ホールド、2:16)ビッグキャット・ヒューズ●

8.45分1本勝負
○ビッグ・バン・ベイダー、クラッシャー・バンバン・ビガロ(体固め、13:17)ロン・シモンズ、ブッチ・リード●

9.60分1本勝負
○ザ・グレート・ムタ(片エビ固め、11:41)スティング●

10.グレーテスト18クラブ指定試合(時間無制限1本勝負)
○長州力(KO、11:07)タイガー・ジェット・シン●

11.NWA世界&IWGP両ヘビー級ダブル選手権(60分1本勝負=NWAルール)
○藤波辰巳(グランドコブラツイスト、23:06)リック・フレアー●
*藤波がIWGP初防衛&NWA世界奪取、
しかし後日のNWAサイドからのクレームにより結局王座奪取は無効とされる。

参考:週刊プロレス427(東京ドーム大会緊急増刊号)、428号 ベースボールマガジン社


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