No.109
「黒い沢村」ポンヤスキーの真空飛び膝蹴り。「K-1 WORLD GP2003決勝戦」
「K-1 WORLD GP2003決勝戦」
2003(平成15)年12月6日 東京ドーム
同行者=千里眼、馬券師(仮)
グランプリトーナメントは毎年意外性を感じる結果が出て一筋縄ではいかないのが面白い。
今年はファイナリストがアーツとセフォーの二人しか出場しないのでなにやら波乱を予感させる。
自分の予想ではアーツ対イグナショフ戦が事実上の決勝戦になると踏んでいたのだが・・・。
●アビティ対ボタ
ボタのセコンドにはテンガロンハットの大男、じゃなかった元横綱の曙「141D」太郎の姿が。
ボタの腰の白いひらひらは横綱?のつもりでしょうか。
開始早々意外にも冷静にボタの左足にローキックを当てていくアビティ。
早くも1ラウンド中盤からボタの踏み込みに影響が。
ボタは突進に迫力を感じるがジャブを出すこともなく早くパンチを当てて倒したいという気持ちがありあり。
2ラウンドではかなりボタのパンチがあたったがそれでもローを繰り出すアビティ。ボクサー殺しのセオリーだ。
3ラウンド終了間際にパンチを出す一瞬のガードが下がったところにアビティの左ハイキックが決まりボタダウン。
カウント8でファイティングポーズをとるも試合終了、判定はダウンを取ったアビティで文句なし。
両者の持ち味が出た一戦。
アビティは昨年はサップと当てられたり猪木祭りではドン・フライ戦と対外敵要員あつかいで
さしずめプライドでのグッドリッジのような役割りみたいだ、K-1の門番といったところか。
残念ながら準決勝ではレミーのスピードと膝に屈したが、ボクシング元世界王者を破ったアビティに拍手。
●レミー・ボンヤスキー
入場曲はマディ・ウォータース。
100キロ以上ある選手の真空飛び膝蹴り(フォームが元祖沢村忠にそっくり!)はまさに脅威。
1回戦グラハム、準決勝アビティにともに膝からの攻撃でKO勝ち。
動きが大きい分当然消耗するだろうから
さすがに決勝戦の3ラウンドになると疲れた表情が伺われたが「魅せて勝つ」という部分では高得点の選手。
●武蔵対セフォー
セフォーはおなかが緩く絞りきれていない様子で明らかに調整不足。
ノーガードで虚勢を張っていたが武蔵のローキックが効いた様子でコーナーに張り付くシーンは弱々しく見えた。
武蔵はダメージは少ないながらも的確なパンチ、ロー、ミドルを放って判定ながら
決勝戦会場が東京ドームになってからのトーナメント日本人初勝利。
●アーツ対イグナショフ
アーツの入場曲は昔使用していた、映画「パルプ・フィクション」の「ミザルー」。
1回戦のアーツは出来がここ数試合で最高。最近見ることの多かった弱々しいクリンチが影を潜め積極的に打ちに行く。
パンチが相打ちでもその後打ち返すので優勢の印象が強い試合運び。
逆にイグナショフは得意の組んでの膝蹴りの距離をアーツに読まれたか完全につぶされて不発。
延長戦までいったがアーツの完勝。復活したアーツには驚かされたが。
●武蔵対アーツ
レフェリーチェックで対峙したときは余裕の表情が感じられたアーツだったが試合が始まると生彩が感じられなくなる。
次の日の新聞によると1回戦でひじを負傷していたとのこと。
逆に武蔵はまだ元気。アーツの攻撃を受け流し3ラウンド、パンチとローで攻め込む。
判定は武蔵!お客さん複雑な歓声。
しかし我々一行は「判定でもいいから勝つ」武蔵の面白さがようやくわかったといった感じで満足。
●ボンヤスキー対武蔵
「今日2試合ともKOで勝ち進んだ男」対「2試合とも判定で勝ち進んだ男」。
日本を代表する奥義「真空飛び膝蹴り」対「二刀流」。
いろいろ考えましたが(笑)。
試合は2ラウンドから全開したレミーのスピードに武蔵がついていけず的確打を浴び、判定はレミー。
それにしてもオランダ勢は強い。
グランプリ11回でオランダ選手の優勝が8回(ホースト4、アーツ3、レミー1)。
風車、飾り窓、チューリップの国の強さは何か。
休憩中にマイク・タイソンのビデオレター上映、サップを挑発。
そしてスーツに身を固めたサップが登場して応酬。
「ダイナマイト」とはテレビ局が違うためか曙はあまりアピールされず。
(2003・1207)
FEG「K-1 WORLD GP2003決勝戦」
2003(平成15)年12月6日 東京ドーム
観衆6万7320人(超満員)=主催者発表
1.オープニングマッチ3分3R
○藤本祐介(KO、2R2:34)マティアス・リッシオ●
*左フック。
2.決勝トーナメント2回戦3分3R
○シリル・アビティ(判定3-0)フランソワ・ボタ●
3.決勝トーナメント2回戦3分3R
○レミー・ボンヤスキー(KO、1R2:58)ピーター・グラハム●
*左膝蹴り(顔面)、2ノックダウン。
4.決勝トーナメント2回戦3分3R
○武蔵(判定2-0)レイ・セフォー●
5.決勝トーナメント2回戦3分3R
○ピーター・アーツ(判定、延長1回3-0)アレクセイ・イグナショフ●
6.リザーブマッチ3分3R
○カーター・ウイリアムス(KO、2R2:06)ビヨン・ブレギー●
*右フック、2ノックダウン。
7.準決勝3分3R
○レミー・ボンヤスキー(KO、1R1:46)シリル・アビティ●
*左膝蹴り、2ノックダウン。
8.準決勝3分3R
○武蔵(判定2-0)ピーター・アーツ●
9.スーパーファイト3分3R
○マーティン・ホルム(KO、1R1:06)ヤン“ザ・ジャイアント”ノルキア●
*左膝蹴り。
10.決勝戦3分3R
○レミー・ボンヤスキー(判定3-0)武蔵●
*ボンヤスキーが初優勝。
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