No.103
経験、適応力の差が出たアルティメット・クラッシュ。新日本プロレス「ULTIMATE CRUSH」

新日本プロレス「ULTIMATE CRUSH」
2003(平成15)年5月2日 東京ドーム
同行者=千里眼

会社定時ダッシュしてひたすら突進しました。
で着いたら休憩でちょうどVT戦仕様にリング調整してる最中でした。

○LYOTO(判定)謙吾●

パンクラスの謙吾って、どんな練習してるんだろ。
動きにこれっていうものがまったく見えない。
スタンドで打撃をやるわけでもないし、脇も甘いし。
表情に気迫も感じられない。
デビュー戦のLYOTO相手にまったくいいところないじゃん。
そう感じました。

○高阪(1Rドクターストップ)スミヤバザル●

やはり総合デビュー戦で相手が高阪っていうのは兄者にとっては荷が重すぎたか。
グラウンドで兄者が上になっても高阪がガード・ポジションをとると上から殴るわけでもなく攻めあぐんでしまった。
モンゴル相撲っぽい大きな投げも一発決まれば相手のダメージが大きそうだがその前に自分のスタミナが切れそうな感じも。
アクシデント負けは不運ではあったが。
というわけで兄者がどこまでやるかは次回のお楽しみということになってしまいました。

○中邑(2Rギロチンチョーク)ノルキア●

中邑の試合は今のところはずれが少ない。
K-1の大巨人へのタックルは一発目こそつかまって少々プライド膝を食らったが
それ以降は片足タックルが効果的に決まって何度もテイクダウンを奪う。
上になっての鉄槌打ちやブルート・バーナードみたいな上腕での打撃、猪木をほうふつとさせる肘でのゴリゴリとノルキアの顔面を集中的に攻撃。
最後は体重浴びせてのギロチンチョークで決着。
この試合が過激ルールを一番反映させた試合になったと思う。
今後も中邑注目。

○バーネット(1Rレフェリーストップ)アンブリッツ●

バーネットはスタンディングでの打撃も結構やる。
膝蹴りしたとき当然片足立ちになるんだけどバランスが崩れないところとか見てそう感じた。
アンブリッツは体型からして突進あるのみ!しかないと思ったらやっぱりそうで テイクダウンとって上になってもジョシュにしっかり防御されてて
(ジョシュは手足が長いせいかディフェンスもうまい、さすが元UFC王者)
で、長引いたらスタミナ切れそうだな、と思ってるうちにパンチでやられてしまった。

勝ったジョシュが試合後に新日本のロゴの入った旗?大きな布をマントみたいに まとったシーンが見られたがこのシーンの意味については後述したいと思う。

○藤田(3Rレフェリーストップ)中西●

開始数秒で藤田のパンチが中西の鼻にヒットしたらしくおびただしい鼻血が。
その後は藤田の一方的な展開。
藤田は猪木祭での策のなさを俺が批判したわけではないだろうが、
今回は逆に作戦を有効に活用した側になった。
常にフットワークで体を動かしながら徹底的にスタンドのパンチで攻撃、つまりボクシング。何しろ寝なかった。
中西としてははグラウンドでのマウント対策などを想定した練習を行っていたのかもしれないが
スタンドでのパンチの打ち方、試合のイニシアチブでは明らかに藤田のほうが上。
中西は最後まで試合を投げなかった闘志は認めるがたしか36歳?
いくら潜在能力が高くてもこれから総合格闘技を始めるには年をとってしまったのではないだろうか。
そう考えると非常に残念。
だって中西は手は長いしももは太いしで日本人としては身体的にかなり素質を感じさせる存在だったから。

このあとリングを再びプロレス仕様にするために休憩。

○エンセン井上(レフェリーストップ)村上●

村上は表情がいいね。
あのいっちゃってる感じが素晴らしい。
前にも書いたけど顔ができてないとレスラーとして一流ではない、っていうのが俺の持論だから
そういう意味では村上は現役屈指のレスラーになったといえるだろう。
エンセンは逆にまだ課題が残るな。
VT戦のあとにこういう派手な試合を用意したのはいいと思う。
だけどセコンド乱入での作為的な流血を披露してしまうと知識の浅い人間などは
VT戦との区別がつきにくくて混乱してしまうのではないか、と感じた。

○小橋(ラリアートからピンフォール)蝶野●

キックやマウントパンチのない純粋プロレス。
それもグランドのない全日本四天王スタイルってのか?
まあ小橋も蝶野ももともと格闘技系の動きはほとんどない選手同士だから。
そういう意味でいい物を見せてもらったと思う。
小橋って見るの久しぶりだったんだけど足が悪くなったせいか、ファイトスタイルを変えたなあ。
もう飛んだりはねたりしない。
序盤はサーフボードとか力技で攻める。
でもそれがむしろ地に足がついてる感じがして、なんか本格派っていう印象を持った。寝技はやらないけど。
その昔はムーンソルトやらなんやら何でも出来ちゃって却ってイメージの希薄さがあったが、黒タイツにしたせいもあるのか一本筋が入ったような印象。
蝶野は負傷しているはずだけどよくやったと思う。いい試合でした。
でも贅沢を言わせてもらえばグランドでのサブミッションとブリッジワークが出れば自分の中ではもっと評価上がりました。

○高山(ジャーマンからピンフォール)永田●

この試合はNWFとIWGPのダブルタイトル戦として行われたが、(もう説明するのもうんざり)
そもそもIWGPは乱立する世界のタイトルを統一するのが目的で設立されそのためにNWF王座は封印されたはず、
なんだけどそんな話はすでに形骸化してしまってこんなタイトル戦が組まれた。
あんまり意義は感じないなあ。
それに今年の1月に復活王者が決まったNWF王座なのにもうダブルタイトル戦っていうのも、少し「ため」が少ないと思う。
試合は小橋-蝶野戦とは対照的なキック、グランドでのサブミッションがあるスタイル。
最近の新日本の試合、というべきか。

全体的には面白かった。
VT戦も刺激があったし、プロレスもそれぞれ特色が見られて。
世間では中西、蝶野、永田とエース3人が負けたことで最強団体としての新日本が揺らいでるという書きかたをしてる人もいるようだが、
対Uインター対抗戦の時代ならともかくいつぞやの対全日本の川田-佐々木戦で佐々木が負けた時点でそんなもの吹っ飛んでると思う。
これだけ各団体に選手が行き来している時代に個人レベルでの勝ち負けが即団体の敗北につながる、という考えはどうか?と思う。
今は興行収益の伸びを期待するために、お客さん(他団体選手)にリングに上がってもらう時代だ、と考える。
それから先のバーネットの件だが、バーネットもそうだがスミヤバザルも選手コ−ルの時「新日本プロレス」とコールされた。
今後は新日本対プライドのVT対抗戦なんかが企画されて、彼らは新日本側からのVT要員になるのでは、と見たが。
今年暮れの猪木祭なんか、そうなるんじゃない?

(新演撃カフェ 2003/05/03 【8410】 ほか)

新日本プロレス 「ULTIMATE CRUSH」
2003(平成15)年5月2日 東京ドーム
観衆5万5000人(超満員)=主催者発表

1.次期IWGPヘビー級王座挑戦者決定戦
(30分1本勝負)
○天山(片エビ固め、10:24)棚橋●

2.30分1本勝負
○ケン・シャムロック(アンクルホールド、11:44)飯塚●

3.IWGPジュニアタッグ選手権(60分1本勝負)
○金本、ライガー(猛虎原爆固め、19:50)T・マスク、ヒート●

4.アルティメット・クラッシュ総合格闘技ルール(5分3R)
○LYOTO(判定)謙吾●

5.同
○高阪(DSC、1R2:58)スミヤバザル●
*スミヤバザルの腕負傷による。

6.同
○中邑(ギロチンチョーク、2R3:12)ノルキア●

7.同
○バーネット(RSC、1R3:05)アンブリッツ●
*グラウンドでのパンチによる。

8.同
○藤田(RSC、3R1:09)中西●
*グラウンドでのパンチによる。

9.30分1本勝負
○エンセン井上(RSC、6:33)村上●
*村上出血多量。

10.GHCヘビー級選手権(時間無制限1本勝負)
○小橋(体固め、28:27)蝶野●
*小橋2度目の防衛に成功。

11.IWGP&NWFヘビー級ダブル選手権(60分1本勝負)
○高山(片エビ固め、18:17)永田●
*NWF王者高山がNWF4度目の防衛に成功、同時に第32代IWGP王者に。

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