No.107
西村マイク絶好調。新日本プロレス「ULTIMATE CRUSH」
新日本プロレス「ULTIMATE CRUSH」
2003(平成15)年10月13日 東京ドーム
同行者=千里眼
試合開始1時間前に大雨が降って来場に手間取る。
●TOA対真壁
TOAは今回は顔面のペイントなしで登場。
っていうかタイソンみたいな刺青ではなかったのね、というのがいつわざる気持ち。
プロレスではまだまだ経験が足りないといった感じ。
しかし何時も思うけどこの選手、何で名前がTOAなの?トーア・カマタ?
●安田対西村
試合前の西村のマイクが冴えました!
「悪がはびこるこの現代の世の中、今の時代に必要なのは正義であります。
悪の魔界軍、安田忠夫!
世の中のために・・・
日本のために・・・
宇宙のために・・・
無我に入りなさい!
無我に入って人間をやり直しなさい・・・
人間やめますか・・・?
それともギャンブルやめますか!」
全盛時の猪木、あるいはマイクパフォーマンス開眼後のラッシャー木村は別として
全女、ガイアまたはWWEなどと比較するとがなりたてることが多く
はっきりしゃべってしかも面白いアピールをする選手が見当たらなかった日本の男子メジャーだったが、
この西村の辻説法はしゃべりがよく聞こえるしいい味出している。
プロレスは極端なことを言うと芸だから勿論基本のレスリングがしっかりしていないとイカンのは当然だが
こういった持ち芸を磨いていくというのは間違った方向ではないと思う。
むしろ永田などはペンダントぶら下げて入場するよりは西村のような持ち芸を習得することを考えたほうがいいのではないか。
ただし安田対西村、肝心の試合は魔界軍の乱入で見るべきところはなかった。山本小鉄の竹刀持っての乱入もいまいち。
●アルティメットクラッシュ、高阪対ヒカルドン
ヒカルドンはブラジル出身のヒカルド・モラエスの変名。2メートル超の柔術怪獣。
リングス初登場で山本宣久をスタンドの打撃で秒殺、先のジャングルファイトにも出場。
改名しての登場は新日本の期待の表われか。
しかしヒカルドン、1ラウンドはそこそこ打撃も出したが2ラウンドからは高阪の片足タックルが決まり始め、グランドでヒカルドンが下になる時間が多くなる。
リングスでのグロム・ザザ戦といいプライド有明大会でのマーク・コールマン戦といい、上に乗られると対応が難しくなる柔術怪獣。
次第に高阪のマウントパンチをもらうようになる。
劣勢で迎えた3ラウンド、逆にタックルに行ったが高阪がうまくコントロールしてまたパンチ。
判定は文句なしの3-0で高阪。地味だったがグランドでの高阪の動きが見ることができて面白かった。
この日のヒカルドンといい前回の横綱の兄貴、スミヤバザルといい新日本が売り出すと思われる選手が高阪に敗北した
(まあスミヤバザルはアクシデントでの負傷負けだが)。
一般観戦者の目には地味な実力派に映ると思われる高阪がらみのマッチメークの意図は?
売り出しの選手にはまず金魚を当てて秒殺させて次回からそれなりの相手と当ててもいいと思うのだが。
●バーネット対高橋
スタンドでの打撃戦、パンチ合戦にもっていきたがる高橋にジョシュは首相撲からの膝蹴りで対抗。
1ラウンド終了後ジョシュ鼻からの出血を治療、やや苦戦か。
2ラウンド、グランドの攻防からジョシュが高橋のバックを取って背後からパンチの連打。
高橋逆に体を返してジョシュの上に、首を両手で抱えて絞り上げるネックロックの体勢!
しかしこれをはずしたジョシュが下から高橋の腕を取って三角絞め!高橋抵抗するもついにタップ、ジョシュの初防衛!
これはなかなか緊迫したいい試合だった。技術的にも高いレベルの総合格闘技。新日本の大会でこのような試合が見ることができるのはいいと思う。
●村上対柴田頼
前回の東京ドーム大会でもアルティメットクラッシュ(以下UCと略)のあとが村上のド派手な大流血マッチ。
流血はセコンド集団の乱入(そしておそらくカット)による不条理なもの。
前回のエンセン井上戦では出血多量で敗れた村上だが今回はまったく同じシチュエーションで柴田が流血して負けた。
なぜ、UCの後が村上の流血戦なのか。
村上の試合の後はいわゆるプロレスのビッグネームの登場だ。
5月のドームではこの後ノアの小橋建太が登場。
この日はハルク・ホーガン10年ぶりの新日本登場。
小橋、ホーガン共通の対戦相手が蝶野っていうところにも、この試合順に計算されたものを感じる。
アメリカのエクストリーム、金網大会でモーリス・スミスと戦いプライドでも勝利経験のある村上は
仮にUCに出場しても勝利の可能性が十分見込まれる総合格闘技の実力者である。
その彼がUCと通常プロレスの間に立って、わざわざグローブして似て非なるものを見せて
「リアルファイトはこの試合の前までですよー、ここから先は通常のプロレスですよー」そう説明しているように感じられる。
彼の試合はさながらUCという強弱、実力本意の現実世界から夢、ファンタジーのプロレス界へと観るものをいざなうための刺激の強い媚薬のようである。
しっかし村上、いい顔してるよ。凄い殺気。顔ってこの場合、表情って言う意味だけど。
顔だけならもはや日本人現役ナンバーワンまで来たかもしれない(永田などはこういうところをもっと考えてもらいたいものだ)。
現実世界と夢の世界のはざ間に存在する村上一成のドームでの流血試合に今後も注目。
●ホーガン対蝶野
入場曲「リアル・アメリカン」は使用権の問題が絡むから使えないだろうなあ、とは思っていたがこの日のホーガンの入場曲は
ジミ・ヘンドリックスの「ブードゥー・チャイルド」だそうだ。ちょっとテンポがスローでのれなかったなあ。
明るくて華やかな入場シーンをイメージしていたんだけど。せめて「宇宙空母ギャラクティカ」は使えなかっただろうか。
そんなこんなで久しぶりのホーガンはずいぶん痩せてました。足も細くなったよう。まあ50歳ともなれば仕方ないだろうが。
ホーガンのパフォーマンスは「パンチ食らっても片膝から復活」「YOU!」「失神寸前で腕がダラリ」
それから勝利後の客席を巧みにコントロールした筋肉ポーズ大会と。
あとIWGP決勝の猪木戦での「アックスボンバー場外落っこどし」も再現してくれました。
●10人タッグイルミネーション
息子・憲二(応援団長)の先導で新日本軍登場。
坂口征二とボブ・サップの時空を超えた柔道ジャケットマッチがほんの数秒だが実現!
坂口が2回サップを投げた。だけどこのあと真猪木軍のよってたかっての年寄りいじめで最初の敗退者に。
棚橋が善戦!中邑、藤田とのバックの奪い合いには魅了された。
しかも藤田から首固めでピンフォールを取る殊勲。
今まで棚橋はあまり関心がなかったのだが、この日の動きを見ると「練習してるんだなー」と素直に思った。
バックの奪い合いといえば藤田もすごかった。
回ったあとに足が相手の足に絡んでる。
コンディションはよさそう、次はどこに出るのか藤田。
鈴木みのるは頭に変なそり込みが入っていて不気味さが増長されていた。
この人ははっきり言って今の新日本では村上とキャラがかぶっている。
それからこの人に卍固めを使われて新日本が負けるっていうのは(以下19行自粛)。
(2003・1102)
新日本プロレス「ULTIMATE CRUSH」
2003(平成15)年10月13日 東京ドーム
観衆4万7000人(満員)=主催者発表
1.スーパージュニア・ニュージャパンランボー
2分時間差入場バトルロイヤル
IWGPジュニアヘビー級王者決定戦
11人参加・60分
○邪道(クロスフェース・オブ・邪道、22:47)金本●
(退場順=成瀬、垣原、サムライ、ヒート、外道、ライガー、
竹村、D・東郷、T・マスク)
*邪道が第45代王者に。
2.U-30無差別級次期挑戦者決定戦(30分1本勝負)
○ブルー・ウルフ(体固め、10:01)吉江●
3.30分1本勝負
○TOA(片エビ固め、5:40)真壁●
4.30分1本勝負
○安田(体固め、1:45)西村●
*東京スポーツによる。新日本公式HPでは試合時間4:45。
5.アルティメットクラッシュ(5分3R)
○渋谷修身(スリーパーホールド、2R4:46)ハリウン・ボルドバータル●
6.アルティメットクラッシュ(5分3R)
○高阪(判定、3-0)ヒカルドン●
7.キング・オブ・パンクラス無差別級選手権(5分3R)
○J・バーネット(三角絞め、2R2:52)高橋義生●
*バーネットが初防衛。
8.200万円賞金マッチ(30分1本勝負)
○村上(RSC、4:58)柴田頼●
*出血多量による。
9.60分1本勝負
○H・ホーガン(片エビ固め、19:46)蝶野●
10.アルティメット・プロレス10人タッグ
イリミネーションマッチ時間無制限
○ ●
<真猪木軍> <新日本軍>
中邑真輔 棚橋弘至
鈴木みのる 中西学
藤田和之 (二人残り) 永田裕志
高山善廣 天山広吉
B.サップ 坂口征二
*二人残りで真猪木軍の勝ち。
○中邑(リングアウト、3:45)坂口●
●中邑(ジャーマン・スープレックス14:47)中西○
●藤田(首固め、21:49)棚橋○
▲高山(両者リングアウト、27:53)天山▲
○サップ(リングアウト、29:38)中西●
○サップ(体固め、33:16)棚橋●
○鈴木(RSC、39:54)永田●
*卍固め。
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