No.112
「最強」じゃなくても面白い。「ZST GP 2003 FINAL STAGE

「ZST GP 2003 FINAL STAGE」
2004(平成16)年1月11日 ZEPP TOKYO
同行者=ザ・ライスボール



ほぼKOKルールで行われた、70kg前後クラスの選手によるワンナイトトーナメントが中心の興行。
したがってグラウンドでの顔面パンチなし。
膠着なし、すぐブレーク。
ストライカーよりはグラップラー有利のルールか。
マウントをとっても顔面を殴れないもどかしさが選手から感じられたが
逆にそこからどう関節を決めていくかという展開になって寝ての関節技の技術の高さが要求される。
したがってポジション取りの勝負(パウンドやグラウンドでの膝での打撃攻撃)で完結することがなく
最近のプライドではほとんど見られなくなった足関節が有効なシーンも。
また試合中テンポの速いリズム系のBGMがかかりっぱなしで
あれは試合している選手にどんな効果をもたらしているのか興味あり。
メインレフェリーは和田良覚、
リングアナはUWF、リングスでお馴染みだったでかい声「五ッ分経過!」の古田アナウンサー。

2回戦・TAISHO対所
両者同じぐらいの背格好。
所飛び込んで飛び膝蹴りの奇襲、TAISHOも応戦。
回し蹴り膝蹴りでTAISHO が2度所に尻餅をつかせる。
所負けずにタックルからのリフティングでTAISHOを場外に落とそうとするもすでにTAISHOのKO勝ちが宣告される。
秒殺だがケレン味のない好試合。

2回戦・レミギウス・モリカビュチス対矢野
モリカは「小さいミルコ」とパンフにあったようなストライカー、動きが素早い。
矢野は2003年DEEP後楽園以来。コスチュームには「エセ骨法」のロゴが。
片手を前に出して横構えからともすれば後ろ向きになって徹底的に打撃に付き合わないといった姿勢で
一発のサブミッションを狙っている様子。かにバサミやスライディングしての足取りを披露。
猪木−アリ戦に、蹴りなしのマンソン・ギブソンのテイストが入ったような試合展開。
打撃を出せないモリカがだんだんイライラしていくのがわかる。
1R終了間際、矢野がモリカを捕まえた。
下から足を絡めて相手の腕関節を取る。
モリカそのまま矢野を持ち上げてパワーボムのような体勢でマットに叩きつける。
相手の腕をもっていたため受身が取れない矢野は後頭部をマットに打ち付けて失神!担架!
モリカのノックアウト勝ちが宣せられた。
両者の試合スタイルの対照の妙が面白かった試合。

準決勝・マーカス・アウレリロ対モリカビュチス
モリカが小さいミルコならマーカスは小さいノゲイラだ。
典型的なストライカー対柔術はまさにプライド暫定王者決定戦の再現か。
開始早々マーカスのタックルが決まりモリカはグラウンドへ持っていかれる。
少しずつ形を作っていき最後はヘッドシザース気味の三角絞めでマーカス勝利。
まっことミルコ対ノゲイラの2ラウンドからを再現したかのようだった。

決勝・マーカス対リッチ・クレメンティ
リッチはUFC出場経験もあるアメリカの猛者。しかしパウンドなしの本大会では決定打を欠く試合が続く。
それでもスタンドで前に出る突進力とパンチ、立ち膝蹴りでここまでの2試合は相手が必ず流血。
だが決勝戦はマーカスがタックルで上になったとたん、リッチが目の異常をアピール。
30秒前後(註1)で試合がストップされマーカスのKO勝ちが宣告された。
リッチの負傷についての場内発表はなし、何か釈然とせず。
どうも打撃が当たったようにも見えず、バッティングのようにも推測されるが不明(註2)。
少々後味の悪い結末。

決勝戦はいまいちだったが面白かった。
70kg前後のクラスが最もこのKOKルールを基本にしたZSTルールに適しているのではないか。
なにしろ動きがスピーディーで膠着はすぐブレークだから試合の展開が早い。
またライブハウス的な興行センスも斬新に感じた。
パンフによればZSTのコンセプトは
「KOするかされるか?一本とるかとられるか?そういった攻防を魅せるお客さんのためのプロの格闘ショー・イベント」だそうである。
独自性を持った興行は歓迎だ。
ただ「お客さんのための」と謳っているのならやはり判り辛かった決勝戦は何らかの説明が必要だと思う。

(2004・0112)
(註1)決勝戦の試合タイムの場内発表はなかった。
(註2)BAUT REVIEWによると、開始早々のパンチが当たったらしい。でも見えなかった。

ZST事務局「ZST GP 2003 FINAL STAGE」
2004(平成16)年1月11日 ZEPP TOKYO
観衆986人(超満員札止め)

1.ジェネシス・ライト級トーナメント1回戦5分1R
○内山貴博(判定)小松俊明●

2.ジェネシス・ライト級トーナメント1回戦5分1R
○代官山剣Z(ヒールホールド、3:36)風間奨●

3.ジェネシス・ライト級トーナメント1回戦5分1R
○櫛田雄二郎(判定)堀友彦●
 *堀は荒川智哉の代打出場。

4.ジェネシス・ライト級トーナメント1回戦5分1R
○磯崎則理(KO、1:21)ローランド・ファビレ●

5.ジェネシス・ライト級トーナメントリザーブマッチ5分1R
○佐藤力(アキレス腱固め、0:40)清水祐輔●

6.クルーザー級ワンマッチ5分1R(判定なし)
△渡辺悠太(引き分け)滝野吉通△

7.ジェネシス・ライト級トーナメント準決勝5分1R
○内山貴博(判定)代官山剣Z●

8.ジェネシス・ライト級トーナメント準決勝5分1R
○櫛田雄二郎(裸締め、1:37)磯崎則理●

9.ZST・GPトーナメント2回戦5分2R
○リッチ・クレメンティ(判定)小谷直之●

10.ZST・GPトーナメント2回戦5分2R
○TAISHO(KO、1R0:53)所英男●

11.ZST・GPトーナメント2回戦5分2R
○レミギウス・モリカビュチス(KO、1R4:37)矢野卓見●

12.ZST・GPトーナメント2回戦5分2R
○マーカス・アウレリロ(判定)今成正和●

13. ZST・GPトーナメントリザーブマッチ5分2R
○坪井淳浩(DSC、1R2:14)ジェイソン・マックスウエル●

14. ジェネシス・ライト級トーナメント決勝5分2R
○櫛田雄二郎(判定)内山貴博●
*櫛田が優勝。

15. ZST・GPトーナメント準決勝5分2R
○リッチ・クレメンティ(判定)TAISHO●

16. ZST・GPトーナメント準決勝5分2R
○マーカス・アウレリロ(三角絞め、1R1:28)レミギウス・モリカビュチス●

17.スペシャルワンマッチ1、2R5分、3R3分(判定なし)
○アルバート・クレーン(腕ひしぎ逆十字固め、3R2:05)飛田拓人●

18. ZST・GPトーナメント決勝5分2R(ドローの場合延長3分)
○マーカス・アウレリロ(KO、1R0:40)リッチ・クレメンティ●
*マーカス・アウレリロが優勝。


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