No.168
判定の基準とは何ぞや。K-1 WORLD GP2004決勝戦

「K-1 WORLD GP2004決勝戦」
2004(平成16)年12月4日 東京ドーム
同行者=千里眼

看板の写真失敗しました。あしからず

オープニングは女子空手家総勢60〜70人ぐらいがリングと花道に並んでの演舞。
それからバット折り、これが失敗が多かった。バットを支えてる側の力が足りなかったのだと思う。
その後韓国の女優で映画「ぼくの彼女を紹介します」のプロモーションで来日中の
チョン・ジヒョンの力強い開会宣言(日本語だから少しとちった)。
その後BGMはホルストの「木星」をアレンジした曲、ビジョンの画面は地球(?)。
そしてK-1 WORLD GP2004 FINALのロゴが。
選手の入場式。

【バンナ‐天田】
1R開始は静かにスタート、バンナ左ハイ。
パンチの打ち合いから天田コーナーに詰まる、しかしディフェンスしていて殆ど当たっていない。
バンナ左ハイ打つ、攻勢も仕留められず。
2R、バンナの左ローを左足でブロックした天田に異変。
足を痛めた様子。
結局2度目のダウンを喫した天田がKO負け、歩けないほどのダメージで担架で退場。

【ガオグライ‐モー】
レフェリーチェックで対峙すると意外にもガオグライの方がやや背が高い、しかし体重は50kg以上モーの方が重い。
ガオ左ロー、距離をとって回る。
モーが打ってくるとクリンチ、巧みなディフェンス。
モー離れ際ぶん回しの左フック。
ガオ左ミドル、モーにブロックされる。体重差があるのでブロックされただけでガオ、大きく吹っ飛ぶ。
ガオ、モーの周りを回りながら左のミドル、ハイ。
モーの突進をガオクリンチで封殺、モーがじれてくる。
ガオ、空中に飛んで右ハイキック!
モー、なぜかこれに右フックで対応したため左顔面ががら空きになりガオのキックが直撃!
もつれるように倒れた両者だが、ガオはすぐ立ち上がって両手を挙げる!モーはうつぶせになって立ち上がろうとしたが10カウントを聞いた。
80kgのムエタイ選手が50kg差を克服してジャンピングキックでKO勝ち!
ファンタスティック!ドームが興奮の渦に巻き込まれた!
ビジョンに映った無念のマイティ・モーの顔は、左の目の下が大きく腫れていた、
マーク・ハントに続く「サモアの奇跡」は成らなかった(実際はモーはアメリカ国籍、念のため)。
しかしガオグライはディフェンスといい、この試合のKO勝ちといい、この体格でヘビー級のK−1戦士を破るとはまさに小さな脅威。

【セフォー‐武蔵】
レフェリーチェックの時、セフォーはあまり武蔵の方を見ず。
1R、武蔵サウスポースタイルから右ジャブ。
続けて得意の攻撃左ミドル、セフォー右ハイ出すも空振り。
武蔵が右回りでセフォーを引っ張る展開。
2R、セフォーが突進、左ハイ、左右フック。
武蔵、セフォーの攻撃をしのいで左ロー、いい音。
セフォー攻めあぐんだかノーガードの構え。
昨年のドームでの同一カードの時もそうだったが、
最近のセフォーのノーガードはどうも戦略としてではなく苦し紛れの感が強い。
しかしロープ際でセフォーのアッパーが武蔵のあごに入る。
武蔵クリンチで逃れる、このラウンドはこつこつ当てた武蔵のラウンドか。
3R、武蔵左ミドル、セフォー入ってフック振り回すも武蔵クリンチ。
じれたセフォーリング中央に立って武蔵に「来い来い」と挑発のゼスチャー。
武蔵が乗らないとセフォー、ノーガードからバックブロー。
武蔵がハイキック2連打したところでゴング。
ここで判定のポイントについて場内アナウンス。
「0.5ポイント差は本戦判定ではドロー扱いになる」旨。つまり1ポイント以上の差が出なければドロー扱い。
こういうルールは知らなかったが、今年からか?こんなアナウンスも過去の大会で聞いた記憶がない。
判定の結果、ポイントに差が出ず延長戦に。
武蔵うってかわって前に出る。
セフォーの右前蹴りが武蔵の急所に当たって試合中断。
武蔵の体力回復のため30秒のインターバル。セフォーに注意1。
いつぞやも書いたけど、武蔵ってこういうパターンが多い。昨年はなかったと思うが。
武蔵、疲労かガードが下がってくる。それでもローキック連打。
セフォー左フック。ここで終了、判定は3−0で武蔵。
延長戦からは0.5ポイント差でも決着がつくそうで。
何だかよくわからないルールだ、なぜ本戦終了時では0.5ポイント差はドローで、延長戦では採用されるのか、理由がわからない。
なら0.5ポイントという基準はなくして1ポイント単位でつければいいのではないだろうか。
この試合が終わったらどっと民族大移動。アーツの試合はトイレタイムかよ。

【アーツ‐ボタ】
そのアーツの試合で異変が。
アーツは映画「パルプ・フィクション」のオープニング「ミザルー」で入場。
アーツ右ロー、左ハイ、右ローで攻める。
アーツ、右ローを放ったら突如足が痛いようなゼスチャー、スタンディングダウンを取られる。
再開後アーツ、同じようにローを放ったがまた足が痛いように下がって、結局2度目のダウンを取られてKO負け。
どうやら足を負傷した模様。
というわけでアーツ自爆でボタが棚ボタ勝利。

【ボンヤスキー‐ホースト】
1R、ホースト間合いを詰めてロー。レミー、スリップダウンを繰り返す。
ホースト、レミーの右ミドルをキャッチして軸足払いでテイクダウンさせる展開。
両者間合いを詰めて細かいパンチの連打と抱えての膝蹴りの応酬。
2R、ホースト前に出て、レミー得意の空中殺法の間合いにさせない。
ホースト右ロー2発、しかしホーストがまともに下がったところでレミー飛んでみせる。
3R、レミージャンピング左ハイ、ホーストがディフェンス。
ホースト、再び前に出て距離を潰す。
レミー飛び込んでいって首をキャッチして膝蹴り。
レミーの左ミドルをブロックしたホーストが倒れる、しかしノックダウンは取られず。
ホースト、左ハイからレミーをコーナーに追い詰める。
終了、延長戦突入。
ホースト、首をキャッチされながらもパンチ連打。
レミーの右アッパーが入ってホーストが少しぐらつく。
延長戦の判定はレミーに。
ここで1ポイント以上つける基準とは何なのか、よくわからなかった。
ホーストも何だか不可解そうな表情。
この結果準決勝はガオグライ‐武蔵、ボタ‐ボンヤスキーと決定。

【アビティ‐グッドリッジ】
ゴングとほぼ同時にグッド前進。パンチ。アビティ飛び膝蹴りは空振り。
アビティをコーナーに追い詰めて左右パンチの連打。
アビティ打ち返して体勢を整え、コーナーから脱出。
今度はアビティがパンチ連打、攻勢に。
しかし攻め疲れて手が出なくなる、そこにグッド攻め込む。
ロープ際でグッドのパンチ連打、アビティ倒れたが立ち上がる、しかし危険な状態なのがわかる。
レフェリー中途半端、止めないで続行、グッドの右フックが入ってアビティが倒れたところで試合終了。
この試合のレフェリーは平。もっとダウンの時は体を両選手の間割って入って止めにいかないとイカンのでは
(これは同行の千里眼の意見)。
いつぞやの中邑対イグナショフのもめた試合もレフェリーが平だったし、注意が必要では。

【ガオグライ‐武蔵】
1R、ガオが武蔵の周りを回って左ロー。武蔵はオーソドックスタイルの構え。
ガオ、武蔵がローでバランスを崩すと飛び膝蹴りを放つ。
武蔵、ガオの左ミドルをキャッチして軸足払い、この展開が何度か。
2R、ガオ両手を前に出して立つ、右ミドル、左ロー。
武蔵がバランスを崩すと思い切ったジャンピングで突っ込んでくるガオ。
クリンチしてからの倒し合いは3回の局面で3回とも軽いはずのガオが倒して上になる。
3R、攻め手がない武蔵にあせりの表情。
しかし武蔵のパンチが軽いがガオの顔面に入る。
ガオが回るとそれに引っ張りまわされる武蔵。
ガオが前蹴り連発、武蔵の左ハイキックを芸術的な動きでかわすガオ。
判定はドロー、延長戦。
ガオの右ハイ。
武蔵、ガオの前蹴り嫌って及び腰。しかし右ロー、ガオ少しよろめく。
判定になり、引き分け再延長かと思われたが3−0で武蔵。
どの辺が決定的なポイントになったのだろうか。素人の自分にはわからない部分があるのか。
本戦でガオの判定勝利でもおかしくないと思ったが(僅差だけど)。

【ボタ‐ボンヤスキー】
1R、レミー飛び膝を出す。
が、ボタは接近してレミーの左わき腹にボディブロー、これは入った。
レミー、右のローをこつこつ当てるが決定打にはならず。
レミー左ハイの連打。しかしボタ、レミーをコーナーに追い込んでパンチ連打。
レミーはもっと距離をとってローを打っていけば、
ボクサーのボタは徐々にダメージが蓄積されていくと思うのだが、そういう作戦ではないようだ。
2R、レミー、左ハイ、しかしボタまたレミーをコーナーに詰めて左右パンチの連打。
脱出してレミー、膝蹴り。ボタの右ボディブローが何度もレミーの左わき腹に当たる。
接近戦ではレミーの膝蹴りとボタのボディーブローの戦いの様相を呈してきた。
2Rはボタやや優勢か!
3R、レミー、膝の連打。ハイキックはボタがブロック。
レミーがコーナーに追い込んでのパンチ連打。
ボタ逆にパンチ連打。
しかしその後一瞬隙が出来たボタにレミーの右ハイが炸裂、ボタダウンを喫す。
立ち上がったがここで3ラウンドが終了、判定はダウンを取ったボンヤスキーに。
終了間際、ハイキックでダウンして判定負けというのは昨年のアビティ戦と同じパターン。
ボディブローでポイントはとっていたと思われるが、ボタ残念。
逆にボンヤスキーは命拾いといったところか。

【武蔵‐ボンヤスキー】
今年の決勝は昨年の決勝と同じカードとなった。
1R、武蔵はサウスポーの構え。
スタート直後、レミーの右ストレートで武蔵ばったり後ろに倒れてダウン。
しかしダメージは少なそうで、すぐ立ち上がる。
その武蔵にレミー、膝を出すような威嚇、右ロー。
2R、レミー上下の撃ち分けで攻撃。武蔵左ハイ打つも、レミーがブロック。
レミー積極的に前に出る、武蔵左ロー、いい音させる。
武蔵の右ローが当たってレミー倒れるが、レフェリー角田、ダウンと認めず「すぐ立つ」のゼスチャー。
レミーがロープ際で右のフライングキック、武蔵がかわすとレミーが1回転して場外に転落。
再開後武蔵が左ロー連発。
レミーまたロープ際で飛ぶも再び自爆。
判定は1ラウンドにダウンを取ったレミーかと思ったが何とドロー。1ダウンからイーブンにした武蔵のポイントとは何か。
延長戦、レミーはモチベーションが下がったような表情。
しかしレミー、積極的に前に出て膝蹴り連打。
武蔵右ロー、ハイ。
レミー左ジャブから左右膝。
武蔵左ハイ。
レミー、右ストレートから膝。ここで終了、レミーが優勢と思われたが再延長戦へ。
レミー「どうやったら勝てるんだ?」といわんばかりの困惑した表情。
しかしレミー、右フックから膝、ハイキックの連打、積極的。
武蔵左ロー打つも、ガードが下がってて疲労感がにじむ。
レミーの左ハイが武蔵のほほを直撃。
再延長戦の判定はレミーに、2年連続優勝成る。
しかし今回の大会は判定の基準がわかりづらかった。ルール等含めて何らかの不備があるように感じた。


(2004.1205)

FEG「K-1 WORLD GP 2004 決勝戦」
2004(平成16)年12月4日 東京ドーム
観衆6万4819人(超満員)=主催者発表

1.リザーブマッチ第一試合 3分3R(最大延長2R)
○ジェロム・レ・バンナ(KO、2R1:03)天田ヒロミ●
*天田が左足負傷、ダウン2回。

2.トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○ガオグライ・ゲーンノラシン(KO、1R2:40)マイティ・モー●
*右ジャンピングハイキック。

3.トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○武蔵(判定3−0、延長1回)レイ・セフォー●

4.トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○フランソワ・ボタ(KO、1R1:13)ピーター・アーツ●
*アーツ右足負傷、2ノックダウン。

5.トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○レミー・ボンヤスキー(判定3−0、延長1回)アーネスト・ホースト●

6.リザーブマッチ第二試合 3分3R(最大延長2R)
○ゲーリー・グッドリッジ(KO、1R3:00)シリル・アビディ●
*左右パンチ連打から右フック。

7.トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○武蔵(判定3−0、延長1回)ガオグライ・ゲーンノラシン●

8.トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○レミー・ボンヤスキー(判定3−0)フランソワ・ボタ●

9.トーナメント決勝 3分3R(最大延長2R)
○レミー・ボンヤスキー(判定3−0、延長2回)武蔵●
*ボンヤスキーが2年連続2度目の優勝。

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