No.175
新日本プロレス「闘魂祭り WRESTLING WORLD 2005」【アルティメット・ロワイヤル】複数戦はつまらなかった。
新日本プロレス「闘魂祭り WRESTLING WORLD 2005」
2005(平成17)年1月4日 東京ドーム
同行者=なし
開始15分ほど前に入場したがまだ相当の空席があった。
正規軍選手入場の後、蝶野軍が入場してご挨拶、曲はロック調の君が代。
【アルティメット・ロワイヤルの抽選会】
ジョシュ・バーネットが立ち会って抽選会。
おのおのひとつずつ封筒を取る。封筒の中には1から8までの番号を記した紙が入っており、
1番の選手は相手を選べないのでコーナーを取る。2番から4番は相手を決めるか空きのコーナーを取って待機。
5番から7番はコーナーがふさがっているかぎり相手を選ばずをえない、8番は最後に余った相手を選ぶしかない。
1番を引いたのは蝶野の刺客といわれるロン・ウォーターマン。当然コーナーへ。
2番を引いたのは中西、彼も現在蝶野と結託しているので空きコーナー。
3番の矢野は中西を選択、中西‐矢野のカードが決定。
4番はブルー・ウルフ、空きコーナー。
5番の長井は空きコーナー。
6番は成瀬、何とウォーターマンを指名。
7番のスミヤバザルは弟のB.ウルフを指名するはずもなく、長井を。
8番の永田は自動的に空きのB.ウルフへ。
これでカードが決まった。
成瀬‐ウォーターマン
中西‐矢野
スミヤバザル‐長井
永田‐B.ウルフ
成瀬‐ウォーターマン、中西‐矢野戦が同時に行われ、
次にスミヤバザル‐長井、永田‐B.ウルフがやはり同時に行われる。
つぎに前者の勝者同士と、後者の勝者同士が同時に試合を行い決勝となる。
まあ早く言えば8人のトーナメント戦をほぼ同時に行うようなもので。
ルールは新日本のアルティメット・クラッシュに順ずるルールで、自分の対戦相手以外の選手を攻撃してはいけない。
かつて行われたトルネード・タッグマッチのような雰囲気の試合になるのだろうか。
それから円形リング使用などという記事もどこかで読んだが、通常のリングで行われる様子。
【兄・裕志・プロ(青)‐弟・克彦・アマ(赤)アマレスエキシビジョン】
5分間勝負、何回ポイントを取られても、何回フォールされても続行。
グレコローマンルール、下半身の攻撃は禁止。
レフェリーは元レスリング金メダリストの小林孝至氏。
永田兄はプロレスの通常のコスチューム。並ぶとかなり兄の方が大きい。
差し合いから兄、フロントスープレックス気味の投げからバックを取る、3p。
1分、弟一本背負いからバック、3p。これで3−3。
兄、一本背負いの逆襲、3p。
兄、アイリッシュホイップ気味の投げからバック、3p。9−3。
スタンドから再開、差し合い。
3分過ぎ弟浴びせるようにテイクダウンさせて2p、9−5(場内9−4と表示)。
兄、抱えあげるように持ち上げて投げ、5p、14−5。
弟、スタンドからバックを取って2p、さらにグランドの兄の腰に手を回してロック、
そのままリフトアップして俵返しで後方に投げる、5p。
その後兄が1p取って終了、15−12か(実際は15-11)。
ここで休憩、休憩の後アントニオ猪木が登場。
この日度々ヴィジョンで流されているスポンサーの「HEIWA」(パチンコ関係)のCMの、
滝に打たれる修行僧と同じいでたちで登場。
すなわちスキンヘッドに作務衣。手には闘魂棒?
そして元WWEのブロック・レスナーを紹介する。
入場してきたレスナーはネクタイ姿、婚約者のこれまた元WWEのディーバ、セイブル
(セイブルの名前はWWEの版権があるはずだから改名したようで、レナだかルナだか、と呼ばれた)を帯同。
猪木と握手して着席(猪木とセイブルの握手っていうのも何だか驚きだ)。
猪木は「1.2.3.ダーッ」やって一旦退場。
【アルティメット・ロワイヤル(UR)】
全員がオープン・フィンガー・グローブ着用。
ロン‐成瀬と中西‐矢野でスタート。
矢野コーナー際でクリンチから中西をテイクダウンさせ、ガードPの上からパウンド。
ロンは成瀬にガードPの上からパウンド。
成瀬下から足関節狙い、ロンはずして上からパウンド。
矢野の袈裟固めの体勢を、中西抜けて上になりパンチ。
ロン、タックルから上、成瀬下から腕関節狙いのところロン怪力で成瀬を持ち上げて
パワーボム状態で頭から叩きつけて顔面にパンチの連打、レフェリーがストップしてロンの勝利。
中西、サイドPから矢野の腕をアームロック、矢野がタップ。
ここで勝ち残りのロンと中西はいったんリング下へ。永田‐ウルフと長井‐スミヤバザル戦が始まる。
長井がハイキック、スミヤはタックルから上になる。
ウルフ、永田をテイクダウンさせてガードPの上からパウンド。
スミヤ、長井にアームロック、はずれるももう一度ケサ固め、今度は長井がタップ。
その間に永田もウルフの足を決めてタップを奪う。
永田とスミヤが残った。
ロン‐中西、永田‐スミヤでスタート。
スミヤがスタンドで永田にヘッドバット、イエロー1枚。
ロンは中西からフロントネックロックでタップ勝ち。
永田グランドで膝攻撃からマウントを奪いパンチ、スミヤがタップ。
決勝、永田対ロン。
クリンチでコーナー、ロンが膝蹴り。
離れ際ロンが右アッパー。
永田不用意な右ミドルキックをキャッチされテイクダウンされる。
ロン、サイドPを取るとパウンド落とす。
さらに永田の右手を怪力アームロック、これで永田がタップ、ロン・ウォーターマンが新日本初登場で優勝。
国内でもPRIDE、パンクラスに出場経験のあるロンにやはり総合ルールは一日の長があったようだ。
要所で一気に決める判断とスピードは、このメンバーの中では抜けていた。
この試合にIWGP王座への挑戦権が掛かっている事がこの日の東スポに書かれていたが
そうすると次は天山対ウォーターマンということになるが。
アルティメット・ロワイヤルは8人が短時間で戦えるという点ではいいかも知れない。
PやKのワンナイトトーナメントもこのルールなら一気に決まって早い早い(冗談です)。
ただ2組が同時に戦うということを考えるとやはりリングが狭いのではないか、また2組同時だと見てる方が集中できない。
それから今回は人選がレスラー系ばかりだったが打撃系の選手を入れた方が試合に変化がつくのではないか、などと思った。
でも2度目のURがあるかどうか、今日の出来を考えるとそれはなんとも言えません。
【天山‐蝶野‐長州巴戦】
ここから外国人のリングアナが英語でコール。
長州、蝶野、天山の順で入場。
試合順はまず蝶野‐天山。その勝者が長州と対戦、いずれかの選手が2連勝するまで続行される、各15分。
天山がリングインする時、蝶野が喧嘩キックの奇襲、天山リング下へ落ちる。
すると何と長州が蝶野にラリアート、サソリ固めを敢行。
そのままゴングが鳴らされ、試合順が破壊され蝶野‐長州でスタート。
5分過ぎ蝶野のカウンター喧嘩キックと長州のラリアートが交錯。
蝶野シャイニング喧嘩キックからスライディングキックで長州から3カウント。
天山が入ってすぐ蝶野‐天山がスタート。
10分過ぎ、シュミット式背骨折りからのムーンサルトを天山自爆、蝶野F・T・S(裏STF)を決めギブアップ勝ち。
蝶野2連勝で勝利、巴戦にはならず。
試合後村上、柴田、星野総裁らがリングに上がり記念撮影。
長州は一番スタミナなさそうだから(50代だし)じっくり両者の消耗を待っていた方が得策だったのではないだろうか。
それが謎の奇襲で一番最初に試合する羽目になっちゃった。長州作戦失敗じゃないですかね。
【棚橋‐中邑】
序盤はなかなか組まず、中邑が棚橋に握手を求めるが棚橋拒否。
手四つ、リスト攻めのあと中邑が大きな弧を描くハイキック、が、空振り。
中邑バックを取ってドラゴンスープレックス、相手の技だ。棚橋もジャーマンでお返し。
棚橋が相手の技飛びつき十字、中邑ハイキック、空振り。
中邑グランドで十字狙い、5分経過。
中邑雪崩式ブレンバスター、棚橋持ち上げてシュミット式背骨折り、棚橋場外の中邑にトペ。
棚橋勢い余ってフェンスの外に吹っ飛ぶ。
棚橋場外でエプロンを利用した腰攻撃、棚橋の技は腰狙いが多くなってくる。
エプロンでのロープ越しのブレンバスターの攻防から再度場外に転落。
戻った棚橋がスモール・パッケージ・ホールド、10分経過。
棚橋ロープワークからスリーパー、そしてドラゴンスリーパーに移行、中邑脱出して逆十字。
棚橋のラリアートかわした中邑が飛びつき逆十字。
中邑三角締め、棚橋ひっくり返してはずすとそのまま変形のボストンクラブ。
ロープブレークから中邑ドロップキック、これは自爆。
棚橋サソリ固め、はずされるとジャーマン。ここで15分。
棚橋再度ドラゴンスリーパー、中邑ブリッジで返すが棚橋中邑の胸板に鉄槌打ちして再びドラゴンスリーパー。
棚橋テイクダウンさせて胴締めドラゴンスリーパー。中邑脱出してハイキックから逆襲のドラゴンスリーパー。
棚橋これをタテ回転で返して再度ドラゴンスリーパー(ノアの丸藤の「不知火」みたいなムーブ)。
中邑スピアー気味のタックルからパワーボム、コーナー最上段からムーンサルト。
中邑ニードロップ、これは自爆。20分経過。
棚橋ドロップキック、チョップ。
両者コーナーで張り手合戦、額をつけての睨み合い、中邑タックルから倒してギロチンチョーク狙い、これは注意を受ける。
棚橋延髄斬りからパワーボム、中邑下から三角締め。棚橋リフトアップして叩きつける。
棚橋ドラゴンスープレックス、カウント2。
直後、棚橋が右足のつま先を傷めた様子。ドラゴンスープレックス2発目、しかしロープブレーク。
中邑飛びつき腕十字、しかしロープ。
中邑スリーパーから倒して胴締めスリーパー。
そこから腕ひしぎ逆十字、棚橋タップ。
若武者同士の東京ドームメインは中邑が制した。
メインは面白かったがそれまでの試合はヒートアップしないで、ドームで組まれたことに疑問を抱かざるを得ないカードが多かった。
URはウォーターマン、成瀬以外の選手が総合に適応した動きとはいい難かった様に見えた。
そしてOFG着用の試合と同時に見せられると、ラリアートプロレスの何と説得力のないことか。
もう、一人が1試合に何発もラリアートを繰り出すプロレスは見たくない。つまらない。
声出してロープに走って、気合を全面に押し出してラリアート5連発なんて安易過ぎる。
無我・西村の、コブラツイストや逆さ押さえ込み(この日は鎌固めやボーアンドローも見せた)などを出す
クラシック・スタイルの方がはるかに面白い。
そしてこの日は何と冷えた客席だったことか。
新日本は内容を考えるべきだ。
雑で技のない、つまらないプロレスはもうやめるべきだ。
純粋にレスリングの技で勝負する試合をするべきだ。
先ごろ「男祭り」でFILA(世界レスリング協会)が「今後はプライドのリングに有力選手を送り出す」と
FILA会長自らさいたまSAのリングに出向いて宣言したことを重く考えるべきだ。
なぜ有力アマレスラーのプロ進出先が、打撃ありの総合格闘技になるのか。
打撃を排除した、純粋なレスリングの試合を前面に押し出すべきだ。
現在世界でそれを実行できる、ある程度規模の大きい団体は、30年以上も「戦い」をテーマにしてきた新日本しかないと思う。
(2005.0104、加筆、試合タイム結果等追加・0105)
新日本プロレス「闘魂祭り WRESTLING WORLD 2004」
2005(平成17)年1月4日 東京ドーム
観衆=4万6000人(主催者発表)
1.闘魂杯タッグマッチ15分1本勝負
△竹村豪氏、井上亘(時間切れ引き分け)邪道、外道△
2.IWGPジュニアヘビー選手権王座挑戦権争奪30分1本勝負
○獣神サンダー・ライガー(エビ固め、10:30)金本浩二●
3.IWGPジュニアヘビー選手権60分1本勝負
○タイガーマスク(タイガースープレックス、14:17)ヒート●
*タイガーマスクが新王者(第47代)。
4.レスリングエキシビジョン・プロアマ兄弟戦(5分)
○永田裕志(ポイント差 15-11)永田克彦●
5.闘魂杯シングルマッチ30分1本勝負
○鈴木みのる(裸締め、9:45)飯塚高史●
6.闘魂杯シングルマッチ30分1本勝負
○小島聡(体固め、19:28)西村修●
7.アルティメット・ロワイヤル(時間無制限)
1回戦
○ウォーターマン(TKO、2:35)成瀬●
*グランドのパンチ連打。
○中西(アームロック、3:09)矢野●
○スミヤバザル(ケサ固め、5:46)長井●
○永田(ヒールホールド、5:49)B.ウルフ●
2回戦
○ウォーターマン(フロントスリーパー、1:02)中西●
○永田(TKO、1:53)スミヤバザル●
*グランドのパンチ連打。
決勝
○ウォーターマン(アームロック、1:41)永田●
*ウォーターマンが優勝。
8.闘魂杯巴戦各15分1本勝負
○蝶野正洋(体固め、6:54)長州力●
○蝶野正洋(F・T・S、11:33)天山広吉●
*蝶野が勝利。
9.IWGP U‐30無差別級選手権60分1本勝負
○中邑真輔(腕ひしぎ逆十字固め、24:45)棚橋弘至●
*中邑が第2代王者。
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