No.216 プロレスリング・ノア 「DESTINY2005」果てしなく続く小橋と佐々木のチョップ合戦

プロレスリング・ノア 「DESTINY2005」
2005(平成17)年7月18日 東京ドーム
同行者=千里眼

 

【力皇-棚橋】
棚橋は「KING OF SPORTS」のロゴと新日本のライオンのマークが入った特大タオルをまとって入場。
並ぶと大相撲出身の力皇の方がだいぶ大きい。
ロックアップからバックの取り合い、力皇左腕をリストロック。
棚橋が張り手、力皇怒ってコーナーに押し込む。
再びロックアップからロープブレイク、棚橋のキックから両者パンチの応酬。
力皇がベアハッグで抱えあげると棚橋スモールパッケージホールドで切り返す。
棚橋エルボー、サンセットフリップ。5分経過。
棚橋スリーパーホールドからドラゴンスリーパー、力皇持ち上げてバックドロップ、タックル。
棚橋がロープに飛んだところを力皇張り手、掟破りのドラゴンスリーパー。
力皇コーナーに振ってタックル、ラリアート。コーナー最上段からフライングボディアタック、これは綺麗に決まった。
力皇、パワーボムの体勢で棚橋を抱え上げると、そのままコーナーにぶつける荒技。棚橋これにはぐったりとなる。
ペースは力皇、雪崩式のバックドロップ、しかし棚橋抵抗して力皇を落とす、そして棚橋のフライングボディアタック。
棚橋、ドロップキックで力皇を場外に落としてトペ(っていうかドラゴンロケット)。しかしやや自爆気味。
棚橋もう一度トペ、今度は足がロープに引っかかる。10分経過。
棚橋3回目のトペ、今度は決まったがやや目標が上過ぎたか。
棚橋、力皇をリングに戻してコーナー最上段からのドロップキック。
棚橋のハットトリック式(手を離さずの3連発)のジャーマンスープレックス。そしてフルネルソン、飛龍原爆の体勢、しかし力皇これをエルボーでカット。
棚橋スリーパーホールドからドラゴンスリーパーに移行。それから自ら回転して力皇の腕をがんじがらめに決める新型のドラゴンスリーパー。
ロープブレイク後棚橋の延髄斬り、力皇これをかわすも棚橋が下から足を伸ばしてエビ固めの体勢、しかしカウント2。
力皇、棚橋のタックルを受け止めて抱えあげて無双の体勢も脱出、力皇ラリアート、15分経過。
張り手合戦、力皇打ち勝つ。力皇パワーボム、カウント2。力皇無双の体勢、棚橋スモールパッケージで切り替えしてニアフォールもカウント2。
力皇頭から突っ込む豪快なぶちかましからコーナーで張り手、左のラリアート、カウント2。
力皇、棚橋を大きく持ち上げて無双、カウント3で決着。
棚橋はドームという巨大空間を意識したか殆どグラウンドでの攻めを見せず力皇のスタンド勝負に付き合ってしまった感。
あまり噛み合った内容ではなかった。
ともかく力皇の王座防衛。

【天龍-小川良】
師弟対決。天龍の握手を小川拒否してゴング。
天龍、両手を高く広げてロックアップ。
ブレイク後さらにロックアップ、天龍押し込む。
すると小川が天龍に握手を求める。天龍が握手をすると小川が天龍のボディにキック、エディ・ゲレロみたいなだまし討ち。
天龍怒ってチョップ連発から左ラリアート。
小川たまらず場外にエスケープ、天龍が追いかけてリングを降りると逆に小川がリングイン、巧妙な心理戦。
小川天龍の左腕を取って回転、リストを固めてテイクダウン、いい動き。
しかし天龍サミングで脱出してチョップからタックル。
小川負けじと天龍の膝めがけて低空ドロップキック。さらに引っぱっていって天龍の足を鉄柱攻撃。
場外で天龍の足を持ってぶる下がる小川。
小川リングイン用の階段を持ち上げて威嚇するもレフェリーに咎められると自分で階段をセッティングしてゆっくりとリングイン。場内がどっと笑う。
天龍コーナーに詰めてかきむしり、小川、体勢を入れ替えて天龍の左足をコーナー近くのロープに引っ掛けてキック。
天龍コーナーでチョップ、しかし小川がキックで迎撃。小川が天龍のチョップをかわしてDDT。
そして天龍の後ろに回った小川が天龍の両腕をロック、WARスペシャル!しかしロープブレイク。
天龍、チョップから延髄斬り、倒れた小川を捕獲して本家のWARスペシャル!ロープブレイクになりそうだったが天龍マットの真ん中まで引きずる。
天龍サッカーボールキック顔面。再度WARスペシャル、しかしこれはロープブレイク、小川エプロンに逃れる。
天龍が不用意に近づいたところに小川がサミング、さらにフライング・ヘッドシザースで場外へ落とす。
小川、場外で机を持ち出して立てて固定。天龍の頭部をバックドロップのように机に叩きつけようとしたが、逆に自分の頭を机に打ちつけられる。
リングに戻って天龍サッカーボールキック、左ラリアート。天龍ブレンバスター。
天龍のパワーボムを小川がはずして延髄斬り、しかし天龍ひるまず小川をコーナーに叩きつけてバックドロップ。
小川隙をついてのバックドロップ固め、両者張り手、チョップの応酬から天龍グーパンチ炸裂。さらに左ラリアート。
天龍、小川を持ち上げて「53歳」、カウント2。ロープワークから天龍の左ラリアート、これが決まってカウント3。
やや唐突に決まった印象。天龍、立ち上がれない小川を助け起こして自分の肩を貸して退場、こういうところは天龍うまい。

【小橋-佐々木】
先に佐々木が登場、ノーガウン、青と白のタイツ。
小橋はフード付きガウン。
ゴング、両者コーナーから動かず。
睨み合い、両者距離をとってゆっくりと左回りに動く。
ロックアップ、瞬間佐々木がバックを取ってバックドロップ、小橋ダウン。
佐々木ストンピング、小橋起き上がった後チョップの応酬。
小橋バックドロップ、佐々木立ち上がって右ラリアート、リング下に落ちる。
両者場外でマットを間に睨み合い。「上がれ!」「上がれ!」と叫びあっているのか、
両者ほぼ同時にリングに上がる。
佐々木がフィンガーロックに誘う、手四つから力比べ、佐々木フイッシャーマンスープレックスで投げ。
再び両者睨み合いからロックアップ。
小橋膝蹴りからチョップ、ロープに振ってキッチンシンク。
小橋、佐々木をのけぞらせて胸板への打ちおろし。
ダウンした佐々木に小橋、ダイビングチョップからフェースロック。
小橋、佐々木をエプロンに置いて胸板へのダイビングチョップ2発、5分経過。
小橋、場外でDDT、プランチャー、小橋が佐々木をリングに入れる、小橋チョップ、フロントネックロック。
佐々木、小橋をコーナーに追い込んでヘッドバット、チョップ。
さらに佐々木、コーナー上に小橋を載せて雪崩式フランケンシュタイナー。
コーナー上から佐々木のフライングラリアート。
場外に落ちる小橋、佐々木スイシーダ、両者場外でダウン。
ダウンした小橋を佐々木がリングに入れる、リングインしてからも小橋ダウンしたまま。
佐々木、小橋が起き上がるのを待ってチョップからロープに振って三角とびネックブリーカー。
佐々木トーキック、小橋チョップ。
佐々木胸板で小橋のチョップを受けて「もっと来い!」挑発。
小橋チョップ、佐々木もチョップ、交互に打ち合う両者、
小橋、佐々木、小橋、佐々木。
撃つ、撃つ、撃つ、撃つ。
ひたすら相手の胸板にチョップを打ち込む二人。
まだ撃つ、まだ撃つ、撃つ撃つ撃つ撃つ!
小橋が打ち勝つ、佐々木をコーナーに押し込んで連発マシンガンチョップ、撃つ撃つ撃つ撃つ!
ため息の場内、しかし佐々木が体を入れ替えて逆に連発マシンガンチョップ、撃つ撃つ撃つ!
またため息の大観衆、今度は小橋が体勢を入れ替えて再度のマシンガンチョップ!
そこに佐々木がまたお返しのマシンガン連打!
両者中央に戻って再びチョップの応酬、もう止まらない!
小橋こぶしを握ってからのチョップ、両者頭をつけて意地の張り合い。
小橋が打ち勝つ、連打連打連打!両者ダウン!
3分以上もチョップで打ち合った両者に場内から惜しみない拍手が。
立ち上がった小橋が突っ込んだところを佐々木が捕獲してパワースラム。
佐々木コーナー上に上がるも小橋捕まえて雪崩式ブレンバスター。
さらに小橋がハーフネルソンスープレックス、15分経過。
小橋再びこぶしを握った、再度のハーフネルソンスープレックス。
佐々木がエプロンにエスケープ、追った小橋を佐々木捕まえてロープ越しのブレンバスター狙い。
小橋離れてチョップ、佐々木リング下に落ちる。
しかし佐々木がエプロンの小橋を捕まえて奈落式の北斗ボム。
これはかなり効いた、小橋カウント19でかろうじてリングへ。
佐々木がタイガースープレックス、さらにラリアート小橋カウント2で返す。
起き上がった小橋、佐々木の変形の投げをすかしてラリアート、
しかし佐々木膝蹴りから逆一本背負い、そしてストラングルホールドをガッチリと固める。20分経過。
佐々木ぐいぐいと締め上げるもロープブレイク。
佐々木がラリアートで突進も小橋がチョップで返す、ブレンバスター合戦から両者ラリアート、相打ちでダウン。
起き上がって佐々木、小橋の後頭部に延髄ラリアート。
しかし小橋バックに回ってスリーパーからハーフネルソンスープレックス。
起き上がる佐々木、小橋が再度こぶしを握った!
横からのぶん殴りラリアート、しかしカウント2。
小橋、コーナーに登った、そう!ムーンソルト!しかしこれもカウント2。
起き上った佐々木、ラリアート、しかし小橋これをブロックして裏拳チョップ連発、
そして再度の横殴りラリアート、これで3カウント!
稀代の大乱打戦を制したのは小橋。
両者握手。佐々木がマイク。
「小橋選手、ありがとう」
帰りかけていた小橋が戻って再び佐々木と握手。佐々木のマイクが続く。
「そしてノアファンの皆さん、ありがとうございました。
今日は最高に気持ちよかったです、ありがとうございましたー!」
佐々木帰りの花道で北斗、中嶋と抱き合う。健介コールが響き渡る。

ディフェンスをすることもなく3分もチョップでお互いの胸板を打ち合った小橋と佐々木。
確かに戦いの表現だ。
しかしはっきり言ってそれは格闘技の動きではない。
ではそれは何かと言われれば、プロレス以外の何物でもない。
プロレス、である。
しかしこの観客の盛り上がりようはどうだ。
これでもか、これでもかと肉体をぶつけ合う小橋と佐々木に惜しげもなく声援を送る6万2000の観客。
彼らの心を動かしているものは眼前で展開された原始的な肉体の激突、そして気迫と意地。
その戦いをライブで観せられているという状況に対する満足感、感謝の念。
それらが練り上げられて熱い場内が息づいている。
しかし戦いはまだ続く、隣の席の千里眼は言った。
「まるでウナ重食べたあとにスキ焼き食べるみたいだ」
まさにこの日の方舟は、メインディッシュがてんこ盛り。


【三沢-川田】
三沢らノア勢が全日本を離脱して袂を別ってから約5年ぶりの対戦。
よもや対戦することは永久にありえないと思われた足利工大付属高の先輩・後輩の二人。
5年後の対戦はまさにデスティニー。
ゴング、両者中央で睨み合い。
ロックアップからロープブレイク2回。三沢がちょっとエルボーを出すポーズで威嚇。
3度目のロックアップを押し込んで川田チョップ。
すると三沢反撃のエルボー。川田チョップ、三沢エルボー、この応酬が続く。
川田、三沢の手を取ってのキック、三沢ダウン。
川田、三沢の足を取って逆片エビ狙いの動き。
で、三沢の頭を踏んづけて逆片エビ固め。
川田、奇襲のボーアンドアロー、心理的揺さ振りか。
川田自らはずしたためスタンドに戻って川田のキックと三沢のエルボーの応酬、三沢早くもタイガードライバー炸裂。
三沢コーナー上からフライングボディプレス。そしてフェースロック、仕掛けが早い三沢。
場外戦で川田、マットはずしてのパワーボム狙い、三沢が粘ると川田、三沢の頭部に細かい蹴り、三沢エルボーで反撃。
そして三沢場外でのタイガードライバー炸裂。
川田場外でダウン、カウント14でリングイン。
三沢コーナー上からドロップキック、タイガースープレックス狙い、川田ロープに逃げる。三沢胴締めフェースロックもロープブレイク。
三沢が川田をコーナーに振ると、川田途中でへたり込む。ダメージが大きいのか・・・。
それを見た三沢が突っ込むと、川田ハイキック、ガンガンガンと3発。
三沢エルボーで逆襲、川田ハイキック、この攻防が続く。
川田、三沢の顔面に蹴り、これがうまく入る、10分経過。
川田、コーナーにもたれかかる三沢にランニングしてのビッグブート気味の蹴り。
川田、ダウンした三沢の頭部に細かい蹴り。
三沢、エプロンで奈落式のタイガードライバー狙うもディフェンスされてエルボー攻撃。
戦場は花道に移って、川田パワーボム狙うも決まらず、ハイキック。
川田、花道で投げっ放しパワーボム、先にリングに戻る。
三沢は花道で伸びたまま、カウントが進む。
川田何を思ったか、花道で伸びている三沢の下へ駆け寄り引きずり起こして引っぱっていきリングインさせる。
(リングアウト勝ちでは満足しないのか?川田)
リングに戻した三沢に対して、川田非情のニードロップ、15分経過。
川田ローキック連発から後ろ回し蹴り、ラリアート。
川田、パワーボム狙いも決まらず、三沢エルボー攻撃、川田もエルボーで反撃してしばらくエルボー合戦。
三沢、クルリと回っての回転エルボー、しかし川田ミドルキックでこれを阻止。
川田ブレンバスターからストレッチプラム。締め上げてからはずしてニアフォール、だがカウント2。
川田ハイキック、三沢ダウン。川田が三沢の背後からラリアート。
三沢が振り向いたところを、川田ジャンピングしてのハイキック顔面炸裂。20分経過。
川田、三沢をリフトアップ、垂直落下式ブレンバスター!三沢カウント2でクリアー。
川田絶叫、前歯のない口がオーロラヴィジョンに大アップ!川田パワーボム、しかし崩れて決まりカウントは2。
川田、座り込んだ三沢に、走り込んでのランニングキックを敢行、これを三沢が寝てかわす、
「逆アンダーテイカー!」千里眼が叫ぶと周りの客に受ける(笑)。
しかし三沢が起きたところに川田が背中にキック。
川田、三沢を起こして再度パワーボム、しかし三沢カウント2で返す。
川田、もう一度パワーボムを狙うが、三沢ウラカン・ラナのような早い動きで返す。
川田このあとハイキック狙うが三沢にすかされる。
三沢、エルボー乱打からロープに飛んでもエルボー、これはカウント2。
三沢、回転エルボーからエメラルド・ブロウジョン狙いで担ぐ、しかし川田これをすかす。
三沢再度エメラルド・ブロウジョン、これはカウント2。
三沢、川田を起こしてタイガードライバー、川田こらえると三沢ローリングしてキック、さらにタイガースープレックス、タイガードライバー。川田頭から落ちるがカウント2。
25分経過、両者エルボー合戦、三沢回転エルボーで押さえ込むもカウント1。
川田のローキック、三沢のエルボーの打ち合い、三沢エルボー連発からランニングしてのエルボー1発、これが決まって3カウント、三沢の勝利。
長い長い先輩・後輩の物語約5年ぶりの対決は先輩の三沢が制した。

川田がマイクを持つ。
「ノアのファンの皆さん、ありがとうございました。
三沢さん、あえて握手はしません。
ずるい話かも知れませんけど、今日は終止符を打つつもりでしたが、打つ事ができなくなりました。
三沢光晴はいつも俺のもう一つ上の先輩の力を持っていることを続けてください」
以上が川田のコメント。三沢は入場して来た花道を逆行して帰ってゆく。

総合格闘技の台頭、WWEの日本侵攻・・・それが何だというのか。
この日の東京ドームには、確実に顧客を満足させるプロレスがあった。
格闘技と交わることなく、純化するプロレスがあった。
来場をそそるマッチメイクがあった。
生で観たいと思わせるライブがあった。
選手が肉体で語る、熱い試合があった。
それを見つめる、観客の熱気があった。
熱気に支配された、巨大空間があった。
一つの完成形にたどりつつある方舟のライブ
(註1)、
この日の東京ドームには間違いなくそれがあった。

(2005.0721)
註1:主力ヘビー級選手勢の代替わりなど諸問題はあるが。

プロレスリング・ノア 「DESTINY2005」
2005(平成17)年7月18日 東京ドーム
観衆6万2000人(超満員)

1.30分1本勝負
○SUWA、杉浦 貴、青柳政司(体固め、9:32)百田光雄、中嶋勝彦、菊地 毅●
*ぺティグリー。

2.30分1本勝負
○モハメド・ヨネ、森嶋 猛(片エビ固め、8:26)本田多聞、潮ア 豪●
*キン肉バスター。

3.30分1本勝負
○井上雅央、斎藤彰俊、越中詩郎、川畑輝鎮(首固め、11:56)田上 明、佐野巧真、永源 遙、泉田 純●

4.30分1本勝負
○ムシキング・テリー(ミストクラッシュ変形原爆固め、7:59)ブラックマスク●

5.GHCジュニアヘビー級選手権試合60分1本勝負
○KENTA(エビ固め、20:31) 金丸義信●
*飛び膝蹴り、KENTAが王座奪取。


↑敗北した金丸(オーロラヴィジョンより)

6.GHCタッグ選手権60分1本勝負
○丸藤正道、鈴木みのる(片エビ固め、24:55)秋山 準、橋 誠●
*雪崩式不知火、王者組が初防衛に成功。

7.GHCヘビー級選手権試合60分1本勝負
○力皇猛(片エビ固め、17:11)棚橋弘至●
*無双、力皇2度目の防衛に成功。

8.時間無制限1本勝負
○天龍源一郎(体固め、10:27)小川良成●
*ラリアット。

9.時間無制限1本勝負
○小橋建太(体固め、23:38)佐々木健介●
*横殴りラリアット。

10.時間無制限1本勝負
○三沢光晴(片エビ固め、27:04)川田利明●
*エルボーバット。

生観戦記2005に戻る
SAMEDASU扉に戻る

web拍手 by FC2