No.353
「猪木‐アリ戦」は生放送ではなかった〜テレビ中継録音テープから検証

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SAMEDASU掲示板において「擬似生中継」の話題が出た時
まさる氏がふと振った話題。

「疑似生中継といえば、猪木vsアリ戦がそうでしたね」。

以下、まさる氏の実体験に基づく書き込み。
「当時高校生だった自分は、当日学校を休んで朝からテレビに釘付けでした。
試合の途中、プロレス好きの叔父から電話があり、
『今、○ラウンド終わった、イーブンらしい』との報告がありました。
テレビでは、まだそこまで行ってないので『え?まだ○ラウンドちゃうん?』と言うと
『大阪スポーツ新聞に電話して聞いてる』と言うのです。
そしてその後、テレビでまだ試合をやっているのにもかかわらず、
叔父から『終わった、引き分けや』との電話。
テレビで結果がわかる前に知ってしまったのです。
あの試合は、世界向けのクローズドサーキットのためそれに合わせて、
日本の放送時間より早い時間に始まっていたのです。
当の日本人には、あまり知られてないですけどね」

資料は新聞、専門誌などで「試合開始 午前11時50分」と記してあるのが殆ど。 
自分(切鮫)は前座のタッグマッチ、空手、コシティの演武などがあってそこからのスタートが
「午前11時50分」と考えていた。
なので試合は生中継だと考えていた(後述するが多少の疑問点は持っていた)。
猪木‐アリ戦の試合開始のゴングが何時鳴ったか正確なところはわからないが、
仮に本当に「午前11時50分」に試合が始まったとしたら
試合時間は1R3分の15回戦、インターバル1分だから(3分x15)+(1分x14)=59分。
NET(現テレビ朝日)の試合放送が始まったのが13時だから放送が始まったときすでに試合は終了していたという計算になる。
まさる氏の実体験では放送中に実際の試合はラウンドが消化されながら進んでいたようだから
やはり「午前11時50分」は大会のスタートの時間なのではないだろうか。
どんな試合の報道も発表している「試合開始時間」はメインが開始された時間ではなく
その日一番最初の試合が開始された時間だと思うからだ。

さて、当時の自分はプロレスその他の格闘技のテレビ中継の実況をテープに録音して、
後で再生して(音だけだが)楽しんでいた。
まだ家庭用ビデオは家にはなかったので、音だけ。
猪木‐アリ戦のテープは・・・見つかった。
ン10年ぶりにテープを聴き、音だけでも再検証してみた。

1.最終15ラウンド終了後、判定の読み上げになる部分までの間が短くまた音声からつなぎが感じられ
明らかに編集していると感じる。
2.倍賞リングアナによる判定の集計結果の発表、これはテープを元に再現。

実況席の舟橋アナ「・・・ジン・ラーベル、71対71」
倍賞リングアナ「ジャッジ、遠山甲、60・・・モハメッド・アリ68、アントニオ猪木72、(歓声が上がる)
ジャッジ、遠藤幸吉、モハメッド・アリ74対・・・」
ここで唐突に音楽が流れ遠藤氏の判定の読み上げが途切れる、編集ミスか?
倍賞リングアナ「・・・で、引き分けでございます」
実況席の舟橋アナ「さあ判定の結果が出ました。レフェリーのジン・ラーベルが71対71、
そして遠山甲さん、遠山甲さんが、アリが68、アントニオ猪木が72、
遠藤幸吉さんが、モハメッド・アリが74、アントニオ猪木が72という結果で、
えー、1対1、2対2の引き分け、引き分けということでこれは、あー、両者引き分けということになりました」


誰も?予想しなかったフルラウンド判定引き分けという結末に最後は舟橋アナも混乱、困惑している様子。
それはともかく、この音楽の乱入は放送時すでに気づいていたがその時は憶えていただけで何の疑問にも感じなかった。
1.は明らかに編集と判る。
2.は百歩譲って生放送中の放送事故とも考えられるが、やはり編集での問題なのではないかと考える。
あと試合前の両選手の入場シーンでも編集と思われる場面を記憶していたが、今回の音声のみの検証ではどの場面か判別できなかった。

結論。まさる氏の叔父の証言、テープ再生の検証からこの試合はやはり録画放送であり、
おそらくは昨今の格闘技中継でよく使用される擬似生中継の最初だったのではないか?
さすればこの試合は実現意義、試合内容と合わせて放送スタイルという点でも現在の総合格闘技の元祖的存在ということが言えるだろう。

まあ話は違いますが、判定の結果については暴露本でのちジャパンプロを興す大塚氏が
総合スコアでアリの判定負けになるのを阻止するために独断でスコアカードを引き分けに書き変えたという話も読みましたが。
不可解な音楽が猪木の方を負けにしたという遠藤さんのジャッジ発表の時にかぶるというところが何か作為的な編集という感じもします(笑)。

あとレスラー側の人間なのに猪木に負けのジャッジをした遠藤さんが新日本の選手に殴られた、っていう話もどこかで読みました(出所不明)。
まあもしそれが本当なら遠藤さんは世界のアリを負けさせないための人柱にされた、というわけで
確かに今考えたらあの試合は白黒(遠藤さん的には「オスメス」)つけないでよかったのかも知れませんが
殴られた本人は後年蔵前国技館の控室で慣れないレポーターやって
シンと上田にぶん殴られて、ずってーん!って漫画みたいにひっくり返った時ぐらい
「何で俺が殴られるんだ」感が高かったのではないかと推測します。

(08.0621)

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