No.284
技:ジダンの胸ヘッドバットを見て思い出した
全日本プロ空手の「地獄頭突き」



2006FIFAワールドカップの決勝戦で延長5分頃、フランスの英雄ジダンが
イタリア側のマテラッツイ選手の胸にヘッドバットをかまして一発退場。
暴行の是非はともかく、あの「胸へのヘッドバット」を見て「どこかで見たなあ・・・」という気が。
そう・・・昭和50年前後にフジテレビで放送されていた「プロ空手」。
番組名は「エキサイティングプロスポーツ ザ・空手」。
ベニー・ユキーデらの「全米プロ空手(マーシャルアーツ)」とは全く別のプロ格闘技である。
今思えば番組のオープニングにかかっていた曲は「移民の歌」のインストゥルメンタル・バージョンだったような記憶も。
小島貞二氏の著作「ザ・格闘技」から引用する。
「このすごい空手の迫力を、プロの格闘技に持って行ったグループがある。
九州に生まれた『全日本プロ空手協会』(協会長大塚剛)の、九州各地での試合の録画が、東京ではフジテレビで放映されている。
選手はウエートにより三クラス(重量級、中量級、軽量級)に分かれ、
試合はリングの上で三分間戦って一分間休憩して三ラウンド制をとり、
主審(一人)、副審(二人)で十点法で採点する。
反則を二回注意されると減点一、ダウン一回で減点一となるが、そうした判定より前にKOで勝負が決まることもある。
その反則わざは四つある。1.貫手(二本指で目をつくこと)。2.顔面への正拳および貫手攻撃。3.故意に股間を蹴る。4.転倒またはダウンしたものに対する攻撃」

フジテレビの放送を何度も見たが、色とりどりのカラフルな道着を着た選手がグローブなしの素手、防具なしでリングで闘う。
中には覆面した選手もいた。
その中で黄色の道着を着たヒールっぽい選手・嵐五郎。
この選手が決めた頭突き攻撃こそジダンの胸ヘッドバットと酷似したムーブ。
実況アナウンサーは「地獄頭突き」と呼んだ。
相手の道着の襟を両手でつかんだ嵐五郎は振りかぶって相手の胸めがけて強烈なヘッドバット!
対戦相手は悶絶、10カウントを聞いた。
肺を直撃したとすれば一瞬息が詰まって確かに「地獄」の苦しみかも。
球技であるサッカーでは相手に対してヘディングすれば反則だしジダンは事実レッドカードをもらって選手生活に寂しいピリオドを打った。
現在の打撃系格闘技でも頭部を使った攻撃はほとんど禁止だが初期の日本系キック(TBS、沢村系)とこのプロ空手はオッケーだった。
プロレスでも見たことのない胸へのヘッドバットは昭和50(1975)年のプロ空手中継から30年以上を経た2006年のサッカーワールドカップでも衝撃的だった。

追記:東京スポーツ7月12日(水)付け(11日発行)9面によるとジダンは本当に柔道黒帯だそう。
なら投げだろう、って感じもするが。

(2006.0711)

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