映画「王者のためのアリア」データ



原題:ARIA DLA ATLETY
製作年:1979年
製作国:ポーランド
カラー・スタンダード、一時間四十四分
配給:(株)日本企画

●スタッフ
脚本/監督=フィリップ・パヨン
撮影=イェジィ・ジェリンスキ
美術=アンジェイ・コヴァルチク
音楽=ズジスワフ・ショスタック
製作主任=レホスウァフ・シュテンバッハ

●キャスト
グラレヴィッチ=クシシュトフ・マイフシャク
セシリア=ポーラ・ラクサ
ツィクロプ=ボグシュ・ビレフスキ
ジーデルマイヤー=ヴォイチェフ・プショニヤック
メッサリー二=リシャルト・ピエトゥルスキ
ポポフ=ズジスワフ・ヴァルディン

●ストーリー

今は引退したポーランドの英雄的プロレスラー、ウワディスワフ・グラレヴィッチは、
世界チャンピオン時代に収集したアトラス像のコレクションをオペラ座に寄贈する。
取材に訪れた記者の質問に応じながら、グラレヴィッチの想いは「古き良き時代」へとさかのぼっていく・・・・・・。

十九世紀末。幼いころにサーカスの奇怪な世界に魅せられたグラレヴィッチは、
高校を出た後、プロレスラーを志して田舎廻りのサーカスに入団する。
当時のプロレスはサーカスの見世物であり、怪力レスラーは「髭女」や「両性具有者」といった○○(註1)者たちの仲間であった。
プロレスの試合も、当然結果の定められた、賭けのために「仕組まれた」ものである。
「猫喰い」のボルチョや「コイン曲げ」のツィクロプとの友情を深めつつも、
やがてその「仕組まれた」試合に飽きたりなさを感じ始めるグラレヴィッチ。
ある日、ついに彼は、団長ジーデルマイヤーの思惑を無視して先輩レスラーを倒してしまう。
団長は胴元たちに追われ、グラレヴィッチはレスラー仲間のアプス兄弟にリンチを受けて、素裸でサーカスを追い出される。

アプス兄弟への復讐を心に誓い、「ほんものの闘い」を求めて、グラレヴィッチの、果てしない旅が始まる。

まずはベルリン大会での勝利。その時、バルコニーで、オペラ歌手のメッサリー二が突如歌い出したアリアに、
グラレヴィッチは心を奪われる。そして、「レスラーを買う女」セシリアとの出会い。

アプス兄弟との一戦をと誘われれて行ったフランスでは、興業主同士の争いに巻き込まれ、親友ボルチョの裏切りにあい、
そして追い打ちをかけるように、ツィクロプの救済院での惨めな死に立ち会う。
ボルチョも、弱った体を闘牛の角に刺しぬかれて、逃亡先のスペインで死んだ。

やがて世界の覇者を決めるフランスでの選手権に出場。ここでグラレヴィッチは、ついに宿敵の一人、アプスの弟を倒す。
給仕に身をやつしていたジーデルマイヤーは、グラレヴィッチに有り金全部を賭けて大儲けをした。

黄金のベルトを手にし、いまや世界チャンピオンとなったグラレヴィッチ。セシリアを妻とし、高価なアトラス像をコレクションし、
上流階級の仲間入りをした彼に、しかし満たされた思いはない。
そんな彼の行く先々になぜかしばしばメッサリー二が現れ、アリアを歌うのであった。

アメリカに渡ったグラレヴィッチは、アプスの兄の挑発に応じて、正装したままリングに上がり、劣勢を巻き返して彼を倒す。
グラレヴィッチのすべての闘いは終わった。求め続けた「ほんものの闘い」を、彼は果たして手に入れることができたのか。
放心して佇み、夜空にそびえたつオペラ座の灯りを見つめ続けるグラレヴィッチ。アリアが、一段と高らかに響きわたる・・・・・。





映画鑑賞時に購入したパンフレット「KINECA 1984年8月号(第3号)」より転載。
*ストーリーはパンフ発行元の西友文化事業部に転載使用許諾請求済。
(註1)不適当と思われる表現でしたので削除しました。


実像と映像の狭間に戻る
扉に戻る