No.14
ズビスコ出演映画「街の野獣」




スタニスラウス・ズビスコについて調査しているうちに彼が出演している劇映画の存在を知った。
邦題「街の野獣」(原題はNight and the City)、1950年製作のアメリカ映画。
ズビスコの役は老レスラー、グレゴリオス。
ギャングによる八百長が横行する現状を憂い真の戦いを見せるために立ち上がる。
かくてレスリングの試合のシーンとなるわけだが、対戦相手「ストラングラー」の役は
力道山時代にレフェリーとして来日経験もある(昭和31年シャープ兄弟再来日時)マイク・マズルキ。
グレコローマンスタイル風の試合はグレゴリオス役ズビスコがベアハッグで相手を締め落として勝利するが、
その直後に老レスラーは心臓麻痺で天に召される。真の戦いを見せるためにレスリングに殉職したわけだ。
この役柄は彼の師匠筋に当たる同じポーランド出身のレスラー、
ララディスラウス・ウォルター・ピトラシンスキーがモデルだそうである。
1856(安政3=徳川幕府時代!)年バルト海沿岸に生まれたピトラシンスキーの全盛時は1880年前後というから 日本では明治13年ごろ。
当時のヨーロッパの主要トーナメントで活躍したそうである。
詳細は不明だが映画のようにマット上での大往生を遂げたらしい。

また映画「街の野獣」はずっと後ロバート・デ・ニーロ主演でリメイクされている。
リメイク版はレスリングではなくボクシングに置き換えられているそう。
「レイジング・ブル」では伝説のボクサー、ジェイク・ラモッタを演じた名優デ・ニーロに
これまた伝説のレスラーたるズビスコを演じてほしかったと考えるのは筆者だけであろうか。




(2004・0103)

*なお上記の日付まで筆者はズビスコ出演版「街の野獣」は残念ながら未見。
ソフトも発売されていないようで、観賞のための情報がありましたら御一報願います。

その後見ました。

参考:
「プロレスオール強豪名鑑世界編」田鶴浜弘著・有峰書店新社 昭和61年
「日本プロレス52年史」日本スポーツ出版社 2003年7月
キネマ旬報全映画データベース
写真2点はいずれも映画「街の野獣」より。画像提供さぼてんさん。

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