「Dr.パルナサスの鏡」最後のヒース・レジャー。

Dr.パルナサスの鏡 [DVD]

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<あらすじ>悪魔ニックとの賭けに勝利したパルナサス博士は永遠の命をもらい1,000歳生きる。
だが契約には娘が16歳になったら悪魔がもらいうけることになっていた。
娘を助けるために新たな賭けをするパルナサス博士。
タロットカードをめくると「吊られた男」のカードが出る。
直後娘のヴァレンティナと座員たちは橋で首を吊っている男、トニーの命を助ける。

'10年6月13日、浅草で見る。その日の最終上映だったせいか客は10人、いたかな?
テリー・ギリアム監督のファンタジーワールドが全開。
鏡の中の世界では天にも上るはしご、それを竹馬にして歩くなどなど
「バンデットQ」「バロン」的な絵が見られる。
昨今のCGの進化は監督には向かい風になるのではないか。

ヒース・レジャー演ずるトニーは命を助けてもらったお礼に一座で働く。
一座「幻想館」の舞台ではパルナサス博士が鏡の部屋で幻想を見せる。
トニーは掴みの弱い一座にたちまち客を連れてきて、入場料を得る。
このあたりの、ヒース・レジャーの話術は見どころ。「ダークナイト」のジョーカーに通じる雰囲気。


トニーが鏡の中に入っていきなりジョニー・デップらになっちゃたりするシーンは
服装が統一されているせいかさほど違和感ない。
豪華なメンバーの「死亡遊戯」って感じ。

悪魔ニック(歌手のトム・ウェイツ)はパルナサス博士に契約やら賭けやらをふっかけて
不死となった博士を延々とかまい続ける。
結局博士は、博士以上に死ねない悪魔ニックの、永遠の暇潰しのためのおもちゃでしかないのではないか。
だからニックはわざと博士との勝負に負ける。勝つと博士は死を希望するから。
しかし「先に5人集めた方が勝ち」という勝負ではニック側の最後の5人目が
博士の娘であるヴァレンティナになっちゃったため、ニックが勝利してしまう。

博士はニックにそそのかされ、トニーを殺す道を選択する。
トニーはどうやら詐欺師かそれに類する人種で
「子供のための慈善事業」の団体を立ち上げたが
金持って逃げたらしく、ロシアのマフィアに追われる。
小さな笛みたいなパイプを携帯していて、
それを飲み込めば気道が確保されるのか絞首刑をされても生きながらえる。
最初に発見された橋の下での首吊りでもそれを飲みこんでいたので蘇生する。
座員のアントンにそれを奪われてからかわれると怒る。

トニーにとっては偽装死のための小道具だったが
博士にニセモノを掴まされて民衆から絞首刑にされる。
ここでトニーの出番は終わる。

博士は娘を求めて長い旅に出るが、最後は物乞いと化す。
しかし結婚して子供までいるヴァレンティナを見つけて安心し、
再び小規模ながら小さい人パーシー
(彼も年を取らないようだが、人間ではないのか?)とともに幻想館を始める。
それを傍らで見つめるニック。博士と悪魔の戦い?は永遠に続く。

作品としては中ヒット。
鏡の中の世界も非現実すぎてスケール感乏しいと思う。
だがヒース・レジャーの最後の演技を観ることができるということでこの映画は貴重だ。
アクターとしての彼はやはり素晴らしい。死去は映画界の大いなる損失だ。
時々は本作品、あるいは「ダークナイト」などの出演作品を見て彼を偲ぼう。
ヒース・レジャーはブルース・リー、松田優作らと比肩する伝説だ。

2009年イギリス、カナダ
原題:The Imaginarium of Doctor Parnassus
監督:テリー・ギリアム
脚本:テリー・ギリアム、チャールズ・マッケオン
音楽:マイケル・ダナ、ジェフ・ダナ

出演:配役
ヒース・レジャー:トニー(実在)
ジョニー・デップ:鏡世界のトニー#1
ジュード・ロウ:鏡世界のトニー#2
コリン・ファレル:鏡世界のトニー#3
クリストファー・プラマー:パルナサス博士
トム・ウェイツ:ニック(悪魔)
リリー・コール:ヴァレンティナ(パルナサス博士の娘)
アンドリュー・ガーフィールド:アントン(幻想館の座員)
ヴァーン・J・トロイヤー:パーシー (幻想館の座員の小さい人)

('10.0616)

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