「イングロリアス・バスターズ」
ナチスは全員ぶっ殺せ!
タランティーノのバイオレンス・アクション。

イングロリアス・バスターズ [DVD]

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<あらすじ>1940年代、ナチス占領下のフランス。ユダヤ人一家をかくまっていた酪農家のもとに
"ユダヤ・ハンター"の異名をとる冷血のドイツ将校・ランダ大佐がやってくる。
ランダ大佐は巧みな話術で酪農家を屈服させ、床下にかくまっていたユダヤ人一家を射殺する。
しかし娘のショシャナは辛くも脱出する。
一方、アメリカはナチス殺しのチームとしてレイン中尉をリーダーとする特殊部隊"イングロリアス・バスターズ"を結成、ナチ狩りを遂行させる。

3年が経ち、ショシャナはパリで映画館を経営していた。
そこでナチのプロパガンダ映画のプレミア上映会が行われることとなり、
ショシャナはそこに出席する関係者を、ナチスへの復讐のため映画館もろとも焼き殺す計画を立案する。
"バスターズ"もその会場で作戦を遂行することになる。
しかし"バスターズ"の作戦は会場の警護を担当するランダ大佐に読まれてしまっていた・・・。


'10年4月29日、浅草で見る。
相変わらずタランティーノが好き放題作ってる、って感じです。
一応第1〜5章まであって、
1章 ランダ大佐がユダヤ人一家を殺害し、若かったショシャナが脱出するまで
2章 "イングロリアス・バスターズ"結成と彼らのパフォーマンス
3章 ショシャナが映画館を経営、ランダ大佐と再会(バレない)、計画の立案
4章 "バスターズ"が二重スパイの女優ブリジットと地下のバーで密会、その場にたまたま来ていたドイツ軍との銃撃戦
5章 クライマックスの劇場のシーンからラストまで
ってな展開。

2章、"バスターズ"登場ではレイン中尉の先祖の中に新大陸先住民がいたそうで、
殺したナチスの頭の皮を剥ぐ描写が。これはすごく残酷。ちゃちくないのでげっ、て来そうな感じ。
んでドイツ人なのに隊員になってる一人の紹介にドでかくロゴが出たり、
「ユダヤの熊」って異名の、バットでナチスの頭ぶん殴って殺す隊員がトンネルの奥から登場するシーンでは
ものすごく勿体つけて、どんなモンスターやらフリークスやらが登場するのかと思っていたら
ちょっと眉毛の濃い、ランニング姿の気が荒い若いの、ってだけ。
でも思いっきりバットでナチスの将校の頭を殴って撲殺。
生き残りを選んで先のナチスの部隊の位置、装備などをバラした兵隊もタダでは返さず
額に鉤十字(ハーケンクロイツ)をナイフで彫りこむ。一生ナチスから離れられない苦痛を味あわせるために。
この生き残りの報告を聞いたドイツ総統は怒り狂う。

ショシャナ(エマニュエルに名を変えている)はパリで映画館を経営。
その周辺を映画好きのナチ、フレデリック一等兵がうろつく。
彼は山の基地の上の射撃所からたった一人で撃ち続けて、3日で百何人も敵を殺したそうで、面会する人が絶えない。
んで彼がナチスの宣伝の責任者・ゲッペルスに進言して、彼が主演しているナチスのプロパガンダ映画のプレミア上映会を
彼女の映画館で上映することが具体的になってくる。
その時、ショシャナは食事の席であの親の仇、ランダ大佐と遭遇する。
ランダ大佐は彼女が3年前取り逃がしたユダヤの少女だということに気付かず、ショシャナはまんまと映画館へ戻る。

そして上映会の当日、会場を密封して大量のフィルムを焼き(当時のフィルムは可燃性で紙の3倍速く燃える、との説明が)
ナチスを焼き殺す計画を立てる。ここまでが3章。

一方、"バスターズ"もレイン中尉が二重スパイの女優ブリジットと会って情報を仕入れることになっていたが、
会合場所に指定された地下のバーは、いつもはドイツ兵が来ないはずなのにその日に限って一団がやってきて、
初めて父になったドイツ兵を祝福し、酔っ払いながら長々とカードゲームをやっていた。
カードゲームは、著名人の名前が書いたカードを額に貼り付け(つまり本人は自分の額のカードが見えない)、
本人がそれに対して質問を周囲にし、
周囲は「正しい」とか「違う」で答える。その答えを聞いてる間に自分(のカード)が誰か、探るゲーム。

んでだんだんとドイツ兵側がワルノリして"バスターズ"の席に入ってくる。
それで"バスターズ"らの(ドイツ語の)発音がおかしい、とか指で「3」を示した時の仕方がおかしい、とか因縁をつける。
下士官は何とか追い返した"バスターズ"らだったが、陰から将校が出てきてテーブルに着く。
最後は見破られて撃ち合い。女優しか生き残れない。
現場に駆け付けたランダ大佐は靴やサイン入りのハンカチから女優を割り出す。

獣医院に逃げたレイン中尉、女優、その他の隊員。
レイン中尉は女優の足に残った弾丸の孔に指を入れてかきまわし尋問する。女優がベッドの上でもがいてものすごく痛がる。
赤い穴に指入れて女に叫び声出させるって、ある意味すごいエロティックなんだけど
内面にそういう「性的な拷問」のような意味を持たせているのだろうか。
ともかくレイン中尉は女優の足にモルヒネを打ち、ギブスをさせてプレミア上映会に潜り込むことを決める。

これが第4章なんだけど、ここ不必要に長いような気がする・・・。

んで、第5章クライマックスのプレミア上映会の映画館。
ショシャナは化粧をして戦闘モード。総統やゲッペルスもやってくる。
ランダ大佐はギブスの女優を個室に誘い込んで、現場で見つけた靴をはかせる。「ピッタリ」。
そして女優を絞め殺す。レイン中尉と「ユダヤの熊」を拘束してアジトへ連れてゆく。

ショシャナは自分で映写して最後のフィルムを映す、と映写室にフレデリックが入ってくる。
フレデリックが邪魔なショシャナはフレデリックを射殺するが、油断から逆襲され自分も銃弾を受けて倒れる。
スクリーンには差し替えられたフィルムのショシャナの顔が映り、ナチスに死のメッセージが告げられる。
同時にスクリーン裏に待機していたマルセルが、山積みにされたフィルムに向かって、火のついた煙草を放る・・・。
そして残った二人の"バスターズ"も行動を開始し、時限爆弾を作動させるわマシンガン撃ちまくるわでナチスを殺しまくる。

ランダ大佐は手錠をかけられたレイン中尉、「ユダヤの熊」と面会。
そこで驚愕の提案を持ちかける。
大戦が連合国側の勝利で終結するだろうと読んだランダ大佐は
レイン中尉に対し投降する、と話す
その代わり自分も実はスパイだったということにして
実はレイン中尉の協力者だったということで恩賞を要求する
つまりは保身に走ったワケ
ランダ大佐はレイン中尉に「直接無線で話すから上司を出せ」と言う
んでランダ大佐はアメリカの将軍と直接交渉しかし将軍の方が上手だった
将軍は「投降したらすぐ拘束しろ」とランダ大佐の提案には取り合わない旨をレイン中尉に指示
それを知らないランダ大佐は約束の地点で「投降」し武器をレイン中尉に預けたところで
レイン中尉逆襲ランダ大佐を手錠で拘束する
「そこまでやる必要ないだろ」と少し動揺するランダ大佐に「なあに、形式的なものだ」と答えるレイン中尉
直後レイン中尉がランダ大佐についてきたドイツの無線係を射殺する驚くランダ大佐
そしてレイン中尉がランダ大佐にのしかかりナイフでその額にハーケンクロイツを刻んでやったところで幕
まあランダ大佐、仮に生きてアメリカに行ったとしても軍法会議でユダヤ人を大量に殺した罪でそう長くは生きられないと思うんだけど。

でも本当はラストは、ショシャナが燃え上がる映画館の中でランダ大佐を見つけ
「あたしがあの時の娘、ショシャナよ!」
って名乗って正体を明かした上でランダ大佐に復讐の銃弾を浴びせて蜂の巣、って感じがいいと思うけどなあ。
これならすごく燃えると思うんですけど。
"バスターズ"も最後のランダ大佐の行動がなければどうなっていたか?

あの状況じゃ映画館でヒトラーもゲッペルスも死んじゃうはずから、歴史が変わるはずなんだけど、
まあそういう説明はなされなかったなあ。

字幕がたくさん出てくるが、フランス人はフランス語、ドイツ人はドイツ語を多用するから。
レイン中尉は上映会には「イタリアの金持ち」って肩書で来場するのでイタリア語も出てくる。

カードゲームの「著名人」で出てくるのが「キング・コング」。
さすが戦前の映画です。ナチスもあの映画で驚いたのだろうか。

音楽は「パルプ・フィクション」と同じように既成曲のタランティーノ・セレクション。
マカロニ・ウエスタンの曲が多いように感じたが、D.ボウイの曲もかかった。

また2女優が美の競演をしてまして、目の保養が出来ました。
ダイアン・クルーガーのスパイの女優はこってりとした化粧のアクの強さが毒々しい花のよう。
ショシャナ役のメラニー・ロランの、内に秘めた復讐の炎ももちろん心に来ます。

2009年アメリカ
原題:Inglourious Basterds
監督:クエンティン・タランティーノ
製作総指揮:ロイド・フィリップス、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン、エリカ・スタインバーグ
製作:ローレンス・ベンダー
脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:配役
ブラッド・ピット:アルド・レイン中尉(バスターズ隊長)
イーライ・ロス:ドニー・ドノウィッツ(バスターズの「ユダヤの熊」)
メラニー・ロラン:ショシャナ・ドレフュス(映画館経営者)
ジャッキー・イド:マルセル(映画館の映写係の黒人)
ダイアン・クルーガー:ブリジット・フォン・ハマーシュマルク(女優=二重スパイ)
クリストフ・ヴァルツ:ハンス・ランダ親衛隊大佐(ユダヤ・ハンターと呼ばれるドイツ大佐)
ダニエル・ブリュール:フレデリック・ツォラー親衛隊一等兵(殊勲を挙げて主演映画にも出演したドイツ兵)
シルヴェスター・グロート:ヨーゼフ・ゲッベルス
マルティン・ヴトケ:アドルフ・ヒトラー

('10.0505)

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