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2010年日本
監督:園子温
脚本:園子温、高橋ヨシキ
音楽:原田智英
特殊造形:西村喜廣
*R18指定。
出演:配役
吹越満:社本信行(熱帯魚店店長)
でんでん:村田幸雄(熱帯魚店アマゾン・ゴールド社長)
黒沢あすか:村田愛子(村田幸雄の妻)
神楽坂恵:社本妙子(社本信行の後妻)
梶原ひかり:社本美津子(社本信行の先妻との娘)
渡辺哲:筒井(村田幸雄の顧問弁護士?アドバイザー?)
諏訪太朗:吉田(村田幸雄の顧客)
<あらすじ>静岡で小さな熱帯魚店を営む小市民・後妻持ちの社本信行は
娘が万引きをした連絡を受けスーパーにお詫びに行く。
その場で助けてもらった巨大熱帯魚店アマゾン・ゴールド社長の村田と知り合い、
彼の強引な話術で娘を住み込みでアマゾン・ゴールドで働いてもらうことにする。
その後村田の仕事のパートナーになることを持ちかけられた社本は、
彼が詐欺まがいの行為で熱帯魚売買の契約をした後
相手を毒殺して証拠の死体を隠滅する殺人鬼だと知るが、村田の脅迫により犯罪の片棒を担がされる。
'11年2月11日、新宿テアトルで見る。
雪が降った日だというのに指定席は完売という人気。
映画はでんでんが機関銃のようにしゃべりまくりで押し出しを効かせ
巧みな話術で人の心を捕え、かつ相手の心理を読む技に長けた殺人社長・村田を迫力満点で怪演。
でんでんって昔「お笑いスタ誕」に出てたコメディアンという印象が強いのですが、
近年は性格俳優みたいな活躍してたんですね。
この映画ではものすごいシリアル・キラー(連続殺人鬼)っぷりです。
国内ではビートたけし、「復讐するは我にあり」の緒形拳、「ブラックレイン」の松田優作を超えちゃって
レクター博士、ヒース・レジャーのジョーカーに匹敵するかもしれない出来。
吹越満演じる社本は最初っから村田に圧倒されっ放しで、娘を事実上人質にされ
妻は村田に性癖見抜かれてヤラれちゃって、情けない感じが出てて対照の妙。
吹越満は随分老けた印象。
映画は死体を解体処理する描写がすっごくグロい。果てしなくグロい。
山奥の教会みたいにマリア像がたくさんある小屋の風呂場でそれは行われる。
村田の「死をコントロールする」ような発言からつなげると神への挑戦みたいな状況。
遺体処理の描写はそんなに細かく説明しなくていいと思うんだけど、
それが村田の残虐キャラに箔をつけているっていうのは間違いない。
「風呂場で解体して山にまき散らして捨てる、時計が残る」ってシュツエーションは「ヌードの夜/愛は〜」に似てますが。
ラスト近くにでんでんどんでん返しがあって
遺体処理後村田に愛子とのセックスを強要された社本が突如メタモルフォーゼしてボールペンで反撃、
愛子の首を刺した後村田を刺しまくる。
虫の息の村田が「お父ちゃん、止めて・・・」などとうめくセリフがあり
彼も幼年期の家庭不和あるいはDVによってモンスター化したような描写がわずかながらも見受けられる。
ここで勝手に想像したのが社本の前妻のことで、
死別したように描かれているが社本が殺害したのではないか?
さすれば社本も殺人犯だったことになり今までのオドオドした様子が妻殺害の影響だった、
それが突如フラッシュバックして封印されていた記憶が甦り、社本が妻殺しの頃の殺人鬼に復帰する、
みたいな展開になるのではと思ったんですがまあそういうハナシはなかったようです。
しかしラストは救いのない終わり方で、こんなんでいいのかと思っていますが
監督はインタビューで「僕はもう観客に癒しも慰めも与えなくて、残酷な事実だけを提供します」という宣言をしているので
今後はこういう突き放した作品に進むのでしょう。
村田が社本を恫喝しながらも「自分の脚で立て」と言う部分に
見ている側へ「現実は残酷だがそこで現実を見据えないとどうしようもない」とメッセージを送っている感じはしますが、
過剰な人体損壊、残酷描写が一体何を生むのか、っていう疑問も残ります。
村田の妻・愛子役の黒沢あすかは全く知らなかったのですが演技力といい色っぽさといいすごい。
ショートカットに細い首がエロい。スタイルも手足が長くて抜群。
でもオフィシャルサイトや事務所の写真などを閲覧するとみんな顔が違うように見える(笑)。この映画のメイクの出来がいいのか?
おっぱいは年齢の差もあるか神楽坂恵の方が勝ってると思います(色、大きさなど)。
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熱帯魚の説明の会話でアマゾン産とかいうセリフがありますが
説明してるのはどうやらアマゾンのアロワナより体躯が短い「アジア」アロワナ、っていう不符合があります。
それからラストも社本放置して教会に飛び込む警察。被害者の社本が加害者になるはずがないと考えたか。
これじゃ警察大失態じゃん。
「冷たい熱帯魚」っていうタイトルはWinkの曲「淋しい熱帯魚」を連想させますが、
檀れみの小説で同名の作品があるそうです。
ウィキの1993年に起こった「埼玉愛犬家連続殺人事件」の項目を読むと
経緯、登場人物、「ボディーを透明にする」などのセリフなど、かなりこの事件から持って来ているのがわかる。
(2011.0213)
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