「愛と誠」(2012年版) 昭和歌謡ミュージカル。

映画 愛と誠 オリジナル・サウンドトラック

新品価格
¥2,800から
(2012/7/8 21:23時点)


2012年「愛と誠」製作委員会
監督:三池崇史
脚本:宅間孝行
音楽:小林武史
原作:梶原一騎

出演:配役
妻夫木聡:太賀誠
武井咲:早乙女愛
斎藤工:岩清水弘
大野いと:高原由紀
安藤サクラ:ガムコ
前田健:青田先生
加藤清史郎:太賀誠(子供時代)
余貴美子:太賀トヨ(誠の母親)
伊原剛志:座王権太
市村正親:早乙女将吾(愛の父親)
一青窈(特別出演):早乙女美也子(愛の母親)

<あらすじ>1973年、名門・青葉台学院に通学するブルジョア家庭の美少女・早乙女愛は
新宿で大勢を相手に喧嘩をする不良少年・大賀誠と遭遇する。
誠は愛が子供だった頃、スキー中に「魔のスロープ」に捕まった愛を救い、
自らの額に大きな傷を負った少年の成長した姿だった。
愛は誠が不良になったのは自分のためだと思い、贖罪のため誠を支援するが・・・。

「愛と誠」は少年マガジン連載時にリアルタイムで毎週読んでいた。
成績優秀・スポーツ万能の美少女・早乙女愛の献身的な愛情。
大賀誠のワイルドなカッコよさ、
各所に山場を持つストーリー展開に子供ながら毎回魅了されていた。
特に美しくも悲しいラストは強烈でした。

また作画担当のながやす巧の絵も非常に繊細でキャラクターにマッチしていて
特に早乙女愛の美少女っぷりはこの作品の魅力の大きな要素の一つになっていまして
ある同級生は「早乙女愛大好き」と公言していて
薄い紙に自分でトレースした早乙女愛のポートレートを見せてくれたものです。

コミック作品はそういう思い出がある作品です。
さて、映画ですが、何とミュージカルなんですね。
妻夫木の太賀誠が不良軍団と喧嘩しながら「激しい恋」を歌う。
斎藤工の岩清水が教室の中キレた振り付けで「空に太陽がある限り」を歌う。
武井咲の早乙女愛がぽわ〜んとしたかわいこぶりっこの振り付けで「あのすばらしい愛をもう一度」を歌う。
ガムコが「普通の女の子に戻ります」の名セリフの後「また逢う日まで」を歌う。
余貴美子演じる誠の母親が「酒と泪と男と女」を歌う。

ってな感じでキャラクターがその時の心情を表現して歌い、踊る。
原作のハードさ、ストイックさが消えお笑いに徹したその出来にはむしろ清々しささえ覚えます。
たくさんお金を使ってお客さんに喜んでもらおうというサービス精神を感じます。
「今更シリアスにやったってしょうがない、だから思いっきり崩して笑ってもらおう」みたいなコンセプトを感じます。
「くだらない」と一言で片づけられない不思議な魅力がこの映画にはあります。怪作の部類に入るのかもしれません。

早乙女愛は原作では贖罪からくる純愛を貫き通す心の強い女性(でもまだ高校生)でしたが
この映画では「何か勘違いしてる女」っていう感じを出してます、特に後半。
またオープニングの誠と新宿で出会うシーンはとてもお嬢様っていうスタンスではない感じです。ここちょっと失敗?

妻夫木の太賀誠は思ったほど弱そうではありませんでした。ってか妻夫木の雰囲気が消えてる。これは監督のマジックなんでしょうか。
大野いとの高原由紀は何だか存在が薄かったです。
原作では早乙女家が愛のボディガード代わりに花園に派遣させた体育教師がナイフ投げの前座噛ませ犬にされ、
誠対由紀の決闘で誠が由紀のナイフ投げに対して秘策のディフェンス(鎖帷子着用)で勝利するという大きな盛り上がりになるのですが、
ここではあっさりしたものです。
女子トイレの中で「夢は夜開く」を歌いながらチークダンスしてなぜかトイレでミラーボール、
踊ってたら便器にじゃばっ、と足突っ込んじゃうなどそっちの方が重視されているみたいです。
あと「高原由紀出生の秘密」の劇中劇。挿入のタイミング、出来といい
タランティーノの「キル・ビル」のルーシー・リュー演じる女大親分・オーレン石井の幼年時代のパートを思い出させる。
出来はアニメーションではなくチープな学芸会的ではありましたが。

【武井咲】
それから愛役の武井咲が喫茶店でバイトしてウエイトレスするんですが、
そのコスチュームが今風のオレンジ色ピンクのメイド服にニーハイソックス(黒)っていうのも、
コスプレ好きな人にはたまんないかも知れません。
まあ70年代の喫茶店ではあのコスはないはず(笑)。しかも喫茶店と言うよりは風俗店みたいな空気だし(笑)。

武井咲って名前は字が読めませんでしたが、若いのに目力(めぢから)が強い。眉毛がつり上がっているせいもありますが。
でもまあ動いていると色々な表情が出来て、可愛らしい表情もできるようです。
それでもあのめぢからは肉食系女子って感じがします。今後どう展開していくでしょうか。

【あと気付いたこと、思ったこと】
誠の子ども時代を演ずる、いつもにこやかな子ども店長がむずかしい顔してるってのも貴重です。
早乙女愛は青葉台学院在籍時はソックスが黒でした。原作では最初から最後まで「白派」だったはず。綾波レイ以降、黒も流行ってますからね。
花園実業に転向するととたんに白を履く。清純の強調ですかね。
誠が額の傷を「月光仮面」と馬鹿にされると
スイッチが入って強くなるってのはどうかなあ。ってこれもお笑いの要素でしょうか。
ラストは一回こっきりならあの終わり方でもいいと思いますが、地球と月って何でしょうか。

あとビジュアル的にですが、岩清水の方が誠より背が高いっていうのはちょっと削げました。

(12.0716)



偏食ムービーに戻る
目次に戻る
SAMEDASU扉に戻る

web拍手 by FC2