「ジョン・カーター」21世紀、百年の月日を経て伝説の英雄譚が実写化。

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火星のプリンセス―合本版・火星シリーズ〈第1集〉 (創元SF文庫)

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小学生の頃、創元推理文庫の「火星のプリンセス」を入手して読んだ。
あまりの面白さに次々と読んで、11巻全部読んでしまった。
挿絵の美しさにも魅了された(注:故・武部本一郎氏による)。
英雄ジョン・カーターの冒険物語、魅惑的なバルスーム(火星)、モンスターの数々・・・。
月日は経ち、数々のスペース・オペラが実写として映画となった。
いろいろな宇宙の映画の予告編を見るたびに「あの小説」の映画化は行われないのか、と考えていた。
さらに月日は流れ、テクノロジーの進化によりCGによる映画製作が行われるようになった。
そして記憶の彼方に置いてきた「あの小説」がディズニーにより実写版映画化することを知った。

'12年4月30日、渋谷で見る。
まあ実写化のニュースを聞いた時には驚きました。
遂に映画化されるんだ・・・。期待も膨らみました。
だけどインターネットの広告でのタルス・タルカスら緑色人のデザインを見て驚いてしまいました。
創元推理文庫の挿絵の頭部に鎧を被った、人体と昆虫が混ざったようなしかも肩幅が広い絵柄とは程遠い
撫で肩で縦に長い体型で頭が大きい(長い)、しかもいかにもディズニーっぽい擬人化された表情。
うーん、これは全然違うぞー、ちょっと不安になりました。

ところが映画が始まると・・・。
「ジョン・カーター」が動いてる!それで充分って感じになりまして、
細かなデザインの違いはまあ、それでもいいかな、っていう気持ちになりました。
バルスームの犬、キャロットのウーラも犬というよりはカエルみたいなデザインだものなあ・・・
(あの短い脚でなんであんなに速く走れるのか?)。
それから原作だと足の多い火星の馬とか象も登場するんだけど
乗り物動物は名前不明の6本足の牛みたいのが一括で受け持ってる。
クリーチャーの種類が少ない・・・。

おいら一番押しの見どころはサーク族と対立する緑色人の大群を、
デジャー・ソリスを逃がすためにカーターがたった一人で受け持つシーンですね。
自分より大きい緑色人が雲霞の如く向かってくるのを次つぎにやっつけるシーン。

それと・・・闘技場のシーンですね!原作にもあった闘技場のシーン、出てくるんですよ。
いやー、牢屋に入れられていたカーターとタルカスが運ばれて広い闘技場に登場したときは
「!闘技場のシーンやるんだ!」と興奮しましたね。前座の火星猛獣決戦はなかったけど。
カーターの相手は4本腕の大白猿!ここでもカーターは怪力と跳躍力で大奮戦!
そして親友タルス・タルカスを皇帝の座から追放した敵、タル・ハジュスに宣戦を布告し、これを破る。
この後サーク族蜂起へ向けての演説をするのだけど、ここがもうカーターのカリスマっぷりが爆発します。

カーター役のテイラー・キッチュは同時期日本公開された「バトルシップ」でのちょっと間抜けだけどアツい米海軍士官より
こっちの「カーター役」の方が圧倒的にいいと思いますね、ロン毛、無精髭が似合うし。
王妃デジャー・ソリス役のリン・コリンズは、この人が最適って感じでもないのですが、
それでも雰囲気は出てると思います。黒髪に強烈なブルーの瞳(カラーコンタクトか?)が神秘的。
顔や体に入れ墨みたいな模様があるのはどうかと思いますが。
それとこの映画のデジャーは剣持って戦うんですよね。入れ墨?模様が戦闘的な雰囲気を強調します。

原作ではカーターは「一瞬にして」火星に飛ぶんですが、映画では飛ぶための設定がされています。
これは独特ですがストーリーにも大きく関与していていいと思います。

映画は3部作構成で今回が第1弾だそうですがなので「2」「3」まで観れそうです。
どうせなら原作全部映像化してもらいたぐらいです。
火星の大蜂、植物人間らのクリーチャー、人間チェス・ジェッタン、頭と体が別々の生き物のクモ人間、合成人間、
巨人ジョーグ・・・。

映画館出たら、次の入場者の若い連中が口々に「ジョン・カーター」と話しているのが耳に入ってきて
何だかうれしくなりましたよ。
というわけでまあいろいろ不満もありますが
今回は長年夢観ていた実写版が実現したということでよしとします。
それから3Dで観ましたがその効果は「まあまあ」だと思います。

<あらすじ>1881年ニューヨーク、
大富豪ジョン・カーターからの電報を受け取った甥のエドガー・ライス・バローズは
急ぎ彼の元へ向かったが、カーターは数日前に死亡していた。
カーターの遺産を25年後相続することになったバローズは、カーターの日記を読む。
そこにはカーターが火星に謎の力で瞬間に移動し、火星の国家間の戦争に介入して大活躍するという信じ難い話が書かれていた。

2012年アメリカ
監督:アンドリュー・スタントン
脚本:アンドリュー・スタントン、マーク・アンドリュース、マイケル・シェイボン
原作:エドガー・ライス・バローズ『火星のプリンセス』(1917年単行本発売)
製作:ジム・モリス、コリン・ウィルソン、リンジー・コリンズ
音楽:マイケル・ジアッキーノ

出演:配役
テイラー・キッチュ:ジョン・カーター(地球人、大富豪。元バージニア州南軍大尉)
リン・コリンズ:デジャー・ソリス(火星の赤色人。火星の国「ヘリウム」の王妃)
ウィリアム・デフォー:タルス・タルカス(火星の緑色人。「サーク族」の皇帝)
サマンサ・モートン :ソラ(火星の緑色人(女)。カーターの世話係)
マーク・ストロング :マタイ・シャン(宇宙を支配するべく暗躍する謎の存在)
ドミニク・ウェスト:サブ・サン(火星の赤色人。ヘリウムと敵対する「ゾダンガ」国の皇帝)
ダリル・サバラ:エドガー・ライス・バローズ(地球人。カーターの甥、遺産相続権利者)

(12.0430‐0505)


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