ダイオウイカの眼は何を語る。「劇場版 NHKスペシャル 世界初撮影! 深海の超巨大イカ」

NHKスペシャル 世界初撮影! 深海の超巨大イカ [DVD]

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2013年 日本
配給:ソニー“Livespire”
音楽:久石譲
上映時間:71分
*ドキュメンタリー

'13年8月22日、錦糸町TOHOシネマズのレイトショーで見る。
NHKと国立科学博物館などの国際チームによる小笠原諸島におけるダイオウイカ撮影プロジェクトのドキュメント、
13年1月にテレビ放送されて反響を呼んだNHKスペシャルの劇場版。
ですから内容はドキュメンタリーです。

まず映像がとても美しい。ハイビジョンというものの効果なのでしょうか。
科学者たちがいろいろな作戦を練って撮影を試みる部分は
アイディアが生かされていて面白く興味を引く。

そしてついに深海艇のカメラで撮影されたダイオウイカは上面が金色、
下の面がメタリックな銀色に輝く神秘的な生き物でした。
その巨体に似合わず、触手の動きなども俊敏で
神経系統の進化がうかがわれる。

その巨大な眼。カメラが写したその眼は何を語っているのだろうか。
人類が初めて遭遇したのなら、ダイオウイカも初めて人類と遭遇したはずだ。


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ははあ・・・
お前たちが陸のほぼ全てを支配したという、人間という生き物だな。
陸から浅海、浅海から深海に潜ってよくぞ我らの世界まで来たものだ。
その勇気は評価しよう。

我らの種族はここ深海で、このように体を大きくするように進化を遂げ
鯨以外はさしたる敵もなく繁栄している。
お前たちはここの大水圧には耐えられないのだな。
だからそうして安全な殻の中から我らを見ている。
この世界にはない、この巨大な光もお前たちの為したことであろう。
お前たちはこの光がなければこの暗闇に世界では何も見ることが出来ない、そうだろう?

だが我らは違う。
この海で生きているものの中で最も大きな我らの眼は
僅かな光さえあればこの闇の中でも獲物を見据えることが出来る。
お前たちの貧弱な眼は、その大きな光なしに何が見える?

お前たちは陸の上を制したそうだが、
海の底の我らの世界では何と脆弱なことよ・・・。
水圧で木端微塵に潰されないよう、その殻で体を守らなければならない。
大きな光を持たなければ、何も見ることが出来ない。
素の肉体で我らの世界、お前たちが名付けたこの闇のトワイライトゾーンで何が出来る?

そう考えれば依然、この深海は我らの世界であることに相違ないのだ。
おぬし達の存在は鯨の脅威に遠く及ばない。
ならばそれ、陸の征服者とやらよ、ここで短い旅を楽しんでゆくがよい・・・。



ダイオウイカはなぜあんなに巨大に成長するように進化したのだろう。
そしてなぜ深海に住むようになったのだろうか。
インターネットで調べると「天敵から身を守るため」という説が有力らしい。
では食べ物にありつく可能性が少ない深海で、どのようにして巨大に成長するのだろう。
もっと単純に言うと、何を食べたらあんなに大きくなるのだろうか。
まだまだ巨大イカの生態は未知の部分ばかりだ。
今後の窪寺博士の研究発表に期待するばかりだ。

小さい頃から、大きな生物にはとても興味があった。
上野動物園のゾウ、カバ、キリン、ゾウアザラシ・・・。
もっと年を経た後は鴨川シーワールドのシャチ、
大阪海遊館のジンベエザメなどに感動したものだった。
それから太古の恐竜、マンモス。
ネッシーにも夢を膨らませた。
だからこそ、今回の撮影成功には胸躍らせるものがある。

「未知の生物の生態を記録したドキュメンタリー映像を劇場上映する」
いいものだ。
暗闇の深海で金属的光沢をあらわすダイオウイカは大きなスクリーンで見るに値した。
太古の映画のあり方そのものを論ずるような感覚もある。
今回の企画は有料劇場上映というメディアに一石を投じたいい企画だったと思う。
今後もこういう「劇映画じゃない映画」体験をしてみたい。
もちろん今回のダイオウイカのようなそそる企画があればだが。

(2013.0828)

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