「レッドクリフPt.1&2」
トニー・レオンの団子一気食い。

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<あらすじ>三国時代の中国、皇帝の命を受けた曹操軍が南下して劉備軍を攻撃。
劉備軍は孫権軍と同盟を結び、「赤壁」を決戦の場とし曹操軍と同盟軍は対峙する。
80万の兵士と大船団の曹操軍に対し同盟軍は5万、
絶体絶命の戦いに奇跡は起こるのか。

09年4月、テレビ朝日が放送したPt.1を見て面白かったので劇場でPt.2を見る。
何しろ圧倒的な人馬の量、セットの壮観さ。そして適度なCG。
ものすごく金がかかってる映画だということがわかる。

ただ、史実に基づいたストーリーではなくて、
あくまでも「三国志」を基にしたジョン・ウー監督のスペクタクル映画と認識するべき。
Pt.1の序盤では曹操軍に攻められ劉備夫人とその赤子が奪われそうになるところを趙雲が大奮戦で救出劇に挑む。
ここの趙雲のこれでもか、って活躍はPt.1前半の白眉。
Pt.1前半では別に関羽が大暴れ。人間離れしてます。
張飛もそうですが100対1でも勝ちそうな豪傑の大立ち回りが映像でバッチリ。
殺陣はややリアル感ない部分もありますがそれはそれ映画ってことで。
よく練れた殺陣です、そして馬倒しの技術も(これはハリウッドから持ってきたか?)。
Pt.1後半は連合軍が「八卦の陣」で攻撃。
鉄の盾をうまく使って敵側を迷路のように追い込んで攻撃。

Pt.2はいよいよ「赤壁の戦い」。
実は曹操は同盟軍制圧とともに天下一の美女と名高い周瑜の妻・小喬をも狙っていた。
しかし曹操軍は不慣れな土地での戦闘生活で疫病が流行し死者が後を絶たずの状態。
一計を思いついた曹操はその死体を舟で連合軍側に流し、同盟軍にも疫病を流行らせる。
史上初の生物兵器、か。
疫病患者が増えた劉備軍は撤退の意思を表し、ここに同盟軍は分裂する。
劉備軍から一人残った諸葛孔明は「十日で十万本の矢を用意すること」と周瑜に難題を突きつけられるが見事に三日でクリア。
この「十万本の矢を用意する」場面は結構痛快であり、
周瑜の策略もあり曹操軍の水軍司令官は裏切り者の罪を着せられ斬首。
他の将軍が曹操に「彼らがいなくなったら、船をどう動かすんです」と言った時にはもう遅い。
曹操、敵の策略にはまりっ放しです。

両軍とも火攻めを考える。
諸葛孔明は風向きを読み攻撃のタイミングを計る。
孫権軍は魚の切り身を茹でて油を集め、それを卵の殻に詰め、さらにそれを陶器の壷に入れて縄で巻き
火をつけて投げれば陶器と卵が割れて燃え上がる史上初?の手榴弾を作る。
でも魚の油ってそんなにボワッて燃えるんでしょうか。
孫権軍は風下のため火攻めを行うと自軍が燃えてしまう危機。
しかし天候を読む孔明は風向きがいずれ変わることを示唆。
この孔明が空を眺めるシーンの、ハイスピードで空を走る雲が迫力。
天を飛ぶ龍が如し。龍は見えませんが龍そのものです。

一方、周瑜の妻小喬は独断で曹操の元に出向き、風向きが変わるまで曹操の相手をし決死の時間稼ぎを敢行。
女も静かなる戦いに参戦。

小喬に去られ心穏やかでない周瑜。
孫権軍が整列する中、曹操軍にスパイで潜入していて脱出していた孫権の妹の尚香が「冬至の団子」を兵士に配る。
白い団子が小皿に2〜3個入って小さじがついた物だが、これをこの時期一家団欒で食するという。
寂しそうな周瑜の前に甘興が出でて、自分の小皿から一つ、団子を周瑜の小皿に分け与える。
周瑜は黙って静かにうなずく。
すると次々と将軍、兵士が周瑜の小皿に一つずつ団子を分け与え、周瑜の小皿はいつしか団子が大盛り。
セリフがぜんぜんないシーンなんだけど、「小喬は必ず帰ってくる、我々は一体だ」と言わんばかりの表現が泣かせる。
周瑜の表情がだんだん力強くなり、さじを使わず大盛りの団子をぐいっとばかりに一気食い!
そしてもぐもぐしながら軍配を振る!トニー・レオン、カッコいい。
兵士達もそれをまねて続々一気食い!
さじは!?中村獅童の甘興だけがさじで団子を一つすくってペロリン。育ちがいいなあ。

小喬が曹操に延々と茶の薀蓄を説き時間を稼ぐ間に、
遂に諸葛孔明が呼び寄せたかの如く、風向きが変わった!
金城武が軍配を振るや否や突風が巻き起こるシーンは圧巻。
号令のもと、同盟軍の決死の戦いが始まった。


2008-2009年アメリカ・中国・日本・台湾・韓国/東宝東和、エイベックス・エンタテインメント
監督:呉宇森(ジョン・ウー)
音楽:岩代太郎
主題歌:阿蘭(alan)

出演:配役
梁朝偉(トニー・レオン):周瑜(孫権軍の大都督=軍司令官)
金城武:諸葛亮孔明(劉備軍の軍師)
張豊毅(チャン・フォンイー):曹操(後漢の丞相、後の魏の創始者)
張震(チャン・チェン):孫権(後の呉皇帝)
趙薇(ヴィッキー・チャオ):孫尚香(孫権の妹)
胡軍(フー・ジュン):趙雲(劉備軍の将軍)
中村獅童:甘興(孫権軍)
林志玲(リン・チーリン):小喬(周瑜の妻)
尤勇(ヨウ・ヨン):劉備(後の蜀皇帝)
巴森扎布(バーサンジャブ):関羽(劉備と義兄弟の将軍)
臧金生(ザン・ジンシェン):張飛(劉備と義兄弟の将軍)


エンディングにかかる主題歌もしみじみとしてよかったです。
これだけ映像的に戦闘シーンを見せてくれればもう圧倒されてしまい満足。
火力もすごいです。後ろの方はCGでしょうが。
CGといえば、1のラスト、2のオープニングで白い伝書鳩が同盟軍の陣の窓から飛び立って、
曹操軍へまっしぐら、というシーンでの船団のCGも圧巻。
ピンクフロイドのアルバム「鬱」のジャケットの写真「砂浜に延々と並ぶベッド」を連想してしまいました。
もっともピンクフロイドはCGではなくて、本当にベッド並べたようですが。

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曹操軍陣内では「体を鍛える」と称して蹴鞠(殆どサッカー)をやっているんだが
その蹴鞠の試合で活躍して隊長に選ばれたちょっと頭の弱い兵士に、
スパイで敵陣に潜入した孫権の妹の尚香が淡い恋心を抱くパートもなかなか。
あと脱出に成功して帰ってきた尚香が敵陣の兵士として「でぶ」に変装するために腹に巻いていた布
(実はスパイ活動中に曹操軍の陣形を書きしたためていた)を
くるくる回転してほどく際のダンス?も
「おおっ」とばかりの隠れた見どころであります。


(09.0427)

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