ドジな県警と現場の混乱。「突入せよ! あさま山荘事件 The Choice of Hercules」

突入せよ!「あさま山荘」事件 [DVD]

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2002年:あさま山荘事件製作委員会
監督:原田眞人
製作総指揮:原正人
原作:佐々淳行『連合赤軍「あさま山荘」事件』(文藝春秋刊)
製作:佐藤雅夫
脚本:原田眞人
音楽:村松崇継
出演:役所広司、宇崎竜童、天海祐希、伊武雅刀、藤田まこと、蛍雪次朗、豊原功補

2010年2月22日、テレビ放送で見る。
1972年、実際に起こった連合赤軍による河合楽器の別荘「浅間山荘」立て篭もり事件の映画化。
2月のこのころっていうのはちょうど72年に事件が起きた時期であり、
また何の因果かこの日の放送のすぐ前に亡くなった藤田まことが後藤田警察庁長官役で出演している。

子供の頃、このあさま山荘事件のテレビ生中継を見たのを記憶している。
犯人が立てこもっている山荘を毎日毎日延々と生中継し、
遂に鉄球と放水による攻撃が敢行され、人質は救出され犯人グループは全員逮捕された。
事件がライブでテレビ中継されている、っていうのが衝撃的で
雪のある山荘が動きのないままずーっと画面に映されていたのを思い出す。

「The Choice of Hercules」はヘラクレスの選択、という意味。
常に困難な選択を強いられる運命の、主人公・佐々淳行(役所)の比喩。

しかし映画は長野県警と警視庁の主導権争い、
長野県警の無脳っぷり、
様々な要因による指令伝達のズレなどからくる現場の混乱ぶり、などが描かれ
犯人側からの視点の描写はまったくない。
音楽も明るめで全体に陽性のノンフィクションといった出来。赤軍側の陰惨さなどは微塵も出てこない。
主題はまさに佐々の「ヘラクレスの選択」苦難な状況に立ち向かう姿そのもの。

長野県警は初めは威勢がよかったんだけど、
命令してないのに独断で山荘に近づいた警官が狙撃されたりして次第に主導権は警視庁に移ってゆく。
無脳っぷり、はこのような過激派への対処の経験値の少なさが問題だったのだが、
佐々の「クレーン車の邪魔にならない様に、電線を切れ」という指示に
実際の電線を切断するんじゃなくって電気の流れを遮断するって受け止めて
作戦当日に電線が切断されてない、ってのは子供の使い以下のレベル。
また作戦本部車両内で長野県警本部長(伊武)が便意を催して車を脱出するのもお笑い。
佐々が「朝しておかなかったんですか!」と声を張り上げる(笑)。
まあ出るものは仕方ないが。
県警本部長、よたよたと車出たら報道陣に「作戦決行ですか!」と追いかけられる始末。
原作は読んでないのですが、ホントにこんなことがあったんですかね。

アクション的な見せ場は鉄球による攻撃のシーンと
クライマックスの突入。
鉄球のシーンは史実と同様にトラブルでクレーン車が動かなくなりあまり効果を得られず、
映画の中の人たちも「ぽかん」とした感じが出ている。

名作「八甲田山」も命令系統の不統一から歩兵隊が遭難する映画だったが
寒さによる消耗・疲労って人間の精神面に相当な影響を与えるのかな、とも考えてしまいました。

(2010.0227)


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