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製作:ジェネオン エンタテインメント
総監修:実相寺昭雄
原案:佐々木守 実相寺昭雄
音楽:冬木透
出演:ニーナ、渡辺大、嶋田久作、ひし美ゆり子
<あらすじ>大正九年、帝都東京に怪人カリガリ博士(石橋蓮司)の仕業と思われる謎の怪事件が勃発。
エリート軍人本郷(渡辺)は友人の作家平井太郎(=後の江戸川乱歩、水橋研二)と謎を探るうちに
日独混血の謎の美少女ザヒーネ(ニーナ)と知り合うが、
彼女は文豪・森鴎外(伊藤昌一)の娘で、強大な力を持つ「ニーべルンゲンの指環」を所持したシルバー假面の正体だった。
06年12月29日、渋谷のユーロスペースで鑑賞。
DVD作品として発表されるそうだが発売前の先行上映とのこと。
昭和時代・1971年の最初の「シルバー仮面」のリメイクではなく、
舞台設定は大正時代、変身する人物は女性。
だからかシルバー假面のコスチュームも腰の辺りがスカートっぽい。
3話構成になっていて、実相寺氏が監督したのは第壱話の「はなやしき」(これが遺作)。
第壱話は実相寺氏が多用するビジュアルである「仏像」が細かいショットで写る。
ヒロインであるザヒーネ役のモデル出身ニーナ、セリフが堅い。
シルバー假面の対戦相手は宇宙人のように見受けられるが
何故か名前が「蜘蛛男」「蝙蝠ザムザ(註1)」と古くさくショッカーの怪人っぽい。
パンフにあるように「ザムザ星人」でよかったのでは。
第参話に登場する鋼鉄ロボット・マリアはもちろんモノクロサイレントSF映画の「メトロポリス」から。
しかしどうして最初っから女性型のボディなんでしょうか。
魂を移植されるカリガリ博士の手下の「眠り男」チュザーレはどう見ても男性だが。
格闘シーンが突如演劇的な演出になったり、劇中の芝居小屋での舞台と現実が錯綜する構成は幻想的、とも言える。
しっかし第壱話のシルバーと蜘蛛男の格闘シーン、なぜかプロレス技のロメロ・スペシャル(吊り天井)を蜘蛛男が仕掛ける。
この技の本邦初公開は昭和三十一年に柔道の雄・木村政彦のプロレス団体「国際プロレス(註2)」に出場したラウル・ロメロとされているが、
大正九年の蜘蛛男の方が早かったわけだ。
第参話では映画やラジオを利用したカリガリ博士のサブリミナルで民衆が混乱。
宇宙人+プロレス技+サブリミナル効果・・・と考えるとあの映画を思い出した。
そう「ゼイリブ」!(笑)
さて作品は「変身ヒーローもの」のカテゴリーに入るとしても明らかに子供向けではないし
かといって大人が見ても「戦争への道に突き進む日本の未来」が暗い影を落としているラストにあまり爽快感はないと思う。
しかし作中はカリガリ博士&眠り男チュザーレ、森鴎外そして彼の作品である「舞姫」、
前述のロボット・マリア、ニーべルンゲンの指環、
ドイツの谷間で鴎外と謎解き勝負をするルンペルシティルツヒェン(グリム童話に登場する悪魔の名前だそう)、
あるいはハーメルンの笛吹き男の伝説、
ナチスの前身であるトゥーレ協会など、
大人の知的欲求をくすぐるような名詞がちりばめられていて
むしろ作品を見終わってからそれぞれを調べていく行動が楽しいのかも知れない。
あ〜それからアンヌと加藤保憲が並んでるシーンもあるぞ〜(笑)。
(2007.0128)
註1:ザムザはパンフレットにも記載されているがカフカの小説「変身」の主人公で、朝起きたら虫になっていたグレゴール・ザムザに由来する。
註2:言うまでもありませんが、S小林やR木村が在籍した団体とは別物です。
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