絵を描くシーンの緊張感が素晴らしい。
「美しき諍い女(うつくしきいさかいめ)」

美しき諍い女 デジタル・リマスター版(2枚組) [DVD]

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原題:La Belle Noiseuse
監督:ジャック・リヴェット
出演:ミシェル・ピコリ、ジェーン・バーキン、エマニュエル・ベアール
1991年フランス

<あらすじ>画家(ミシェル・ピコリ)は若い画家の恋人(べアール)をモデルとして
長い間手付かずにしていた構想「美しき諍い女」の製作に着手する。
娘は最初はためらうがモデルになることを承諾する。
絵が完成すると娘の内面に変化が現れる。

若きエマニュエル・ベアールのヌードが拝める。
西洋人特有の、紡錘形と言うか釣鐘状の乳。
画家は絵のモデルになったベアールを椅子に固定したり
板の上で両手を広げて突っ張らせた姿勢をとらせたり
「君を解体する」と宣言して苦しい姿勢を要求する。

そして初めはノートに水彩ペンでデッサンを始めるが
次第に大きな白いボードに木炭でガリガリガリガリとデッサンを始める。
このあたり映像から相当の緊張感が伝わってくる。
モデルを見ながら絵を描くシーンは長い時間ながら飽きさせず
強烈な緊張感は映像からえも知れぬエネルギーを放射し若いおいらを食い入るように画面を凝視させた。
若いベアールの裸と、このデッサンシーンの緊張感が本作品の見どころといってもいいのでは。

しかし次第に画家=俳優が立っているシーンと
木炭デッサンが描かれているシーンでの粗に気づいてしまう。

すなわち描いているシーンでは画家は手首から袖までしか画面に出ず、
俳優(ミシェル・ピコリ)が描いているシーンが出てこない。
つまり描いているシーンは吹き替えで、もっというと画家役の俳優は絵が描けない?
この辺惜しい。少しでも画家=俳優がボードに向かって木炭でガリガリ描いているシーンがあれば、
粗はそんなに目立たなかったのでは?
そんな風に思うのは多少なりとも絵を描く経験をしていたおいらだけか?

画家は大きなテーマに何度か挫折しそうになるが、
モデルの励ましもあって遂に大きな絵を完成させる。
しかし画家は何を思ったのか絵をアトリエの壁に埋め込んでしまう。
その作業のシーンでちょっとだけ絵がめくれて見えるが下の方が少し赤く見えるだけで、
結局何が描いてあるのかわからない。
そして画家は速攻で代わり?の絵を仕上げて
白昼のお披露目会で見せるとそれは白い背中とお尻が辛うじて人体のシルエットを表現している
エロスの香りも何処へやらといった感じの抽象画でしたとさ

そして娘は恋人の画家にそっけなくなり、何やら彼らの「青の時代」が娘の内面の変化により終末を迎えたかのように映画は終わる。
最後は映画的見せ場が足りないのでは。やっぱり文芸作品のラストって難しいと思いました。

4時間近くある長い映画で、劇場公開の時は途中で「休憩」があった。

(08.0517)



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