「レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ」
ロック界のモンスターたちが繰り広げる音と映像の氾濫。

レッド・ツェッペリン 狂熱のライヴ スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

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1976年アメリカ
原題:Led Zeppelin The Song Remains the Same
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:ピーター・クリフトン、ジョー・マソット
製作総指揮:ピーター・グラント
録音:ジミー・ペイジ
出演:(セミドキュメンタリー)ジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナム、ピーター・グラント、ピーター・コール

いちおう映画という形態をとっているので。
2003年に未公開映像による公式DVDが発売されるまではバンドのほぼ唯一といえる公式ライブ映像だったはず。
ただ、純粋にライブだけを追うフィルムではなくメンバー4人とマネジャーのP.グラント各々のパートによる演技やプライベートの映像も見られる。
それから最近の研究ではライヴの場面で後にスタジオで取り足したシーンも挿入されているそう。

冒頭はP.グラント。ギャングの親分が対立勢力?のいる館に殴り込みをかけてマシンガン乱射でみな殺し。
相手側は狼男とかモンスターがいて、音楽業界の比喩ともとれるが
バンドのメンバーも殆どモンスターみたいな方たちばかりだから、そういうモンスターさえ俺様グラントは支配しているんだという意味も感じる。

メンバーが各自家族とオフを楽しんでると、グラントからの召集令状が届く。ツアーのスタートだ。
「Tomorrow!」驚くジョンジー。リハーサルもしてないのにツアースタートなんてあり得ません(笑)。
ペイジだけ湖のほとりで楽器を奏でていて、近づいたカメラに向かって振り向くと
逆光で顔がよく見えず眼が光る!(笑)光線でも発射するのかと思った。

曲はスタジオ発表版とはアレンジが大幅に変わっている曲が多く、
しかしながらライブならではのダイナミックさ。

ジョン・ポールのパートは「ノー・クォーター」が演奏される場面で
夜な夜な現れる仮面をつけた幽霊のような騎馬の男を演じている。
しかし家に帰れば仮面を外して一家の父となる。
仮面をつけたツェッペリンという仕事と、家庭内でのよき父という二面性の表現。

R.プラントのパートは「ソング・リメイン・ザ・セイム」の場面で中世の騎士物語風。
船に乗って剣を授かり王女?を救いに行くストーリー。
しかし助けたと思った彼女は突如虚空に消えてしまう。

ペイジのパートはツェッペリン4枚目のアルバムのジャケットの裏の絵を映像化したもの。曲は「幻惑されて 」デイズド・アンド・コンヒュースド。
ペイジが崖をよじ登ると上にはタロットカードの隠者が立っている。
その顔はペイジと同じでしかも徐々に老人から若者に、またその逆にと変化してゆく。

ドラムのJ.ボーナムの映像は演技が一切なく、彼のプライベートな映像で構成されている。曲はもちろんドラム・ソロ「モビー・ディック」。
ビリヤードをやったりカーレースをやったり、息子のジェイソン・ボーナムがドラムを叩く貴重映像も。

それからこの興行の収益金が金庫から忽然と盗まれたというニュース映像(実話)。
リアルなライヴ(実は先も書いたように後からスタジオで同じ衣装を着て撮り足してる部分があるそう)、
演じている場面などありとあらゆる映像と楽曲が混然一体となり
バンドのダイナミズムと音楽ビジネスの影の部分が見え隠れする出来になっている、とは深読みしすぎか。
80年代から爆発的に流行したMTVの先駆?としても位置づけられると思う。
何しろライヴ映像は圧巻。サウンドトラック盤は収録曲が若干違う(2曲目が「セレブレイション・デイ」)というのも付け加えておく。

(演奏曲)
1.ロックン・ロール
2.ブラック・ドッグ(イントロは「ブリング・イット・オン・ホーム」)
3.貴方を愛しつづけて
4.ノー・クォーター
5.永遠の詩
6.レイン・ソング
7.幻惑されて
8.天国への階段
9.モビー・ディック
10.ハートブレイカー
11.胸いっぱいの愛を

(08.0614)



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