「ゴジラ(1984年版)」試写会は笑いの連発、それでいいのか。

ゴジラ(昭和59年度作品) トールケース版 [DVD]

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1984年
制作:東宝映像美術
監督:橋本幸治
特技監督:中野昭慶
脚本:永原秀一
音楽:小六禮次郎
出演:田中健、沢口靖子、宅麻伸、夏木陽介、小林桂樹

<あらすじ>ゴジラが大黒島沖で復活、日本に上陸。
日本政府は核使用を行わずスーパー](首都防衛移動要塞)のカドミウム弾と
鳥の帰巣本能を利用した音波でゴジラ迎撃に備える。

1984年のこと、試写会のチケットが手に入ったので学校の同級生と共に見に行く。
新橋のヤクルトホールだったと記憶している。
試写会の前に舞台でイベントがあって、所ジョージが司会。
出演の沢口靖子も壇上へ。
舞台上ではゴジラとなぜかラクダのぬいぐるみが登場して競争などのゲームが行なわれた。
所は当時日本テレビの深夜番組で司会しており、確か「進め面白バホバホ隊」というタイトルだったと記憶しているが
舞台上で「次回の放送の初めに『メンタンピン、ツモ』って言うから」と確約してました。
で後日その番組を見たらオープニングでスモークの中から現れた所は確かに「メンタンピン、ツモ〜」と叫んでおりました(笑)。

その後試写が始まる。
設定は少しだけリアル。でもそもそもゴジラという存在からしてアンリアルな存在なんだから
そこに「磁性体を利用して鳥の声で誘導して退治する」などという地味な撃退法を採用してどうなるんだ?と思いました。
最初の遭難船の部分はスリラー的な出来であるが、巨大吸血船虫(ショッキラス)に吸血されミイラ化した船員の造型がかなーりおざなり。
またゴジラ久しぶりの復活なのだからもっと派手にドンチャンしてもらいたかったが、
バトルシーンも対戦相手が「スーパー]」だけではいかにも地味。
まあ復活のっけから対戦怪獣登場っていうのもどうかとは確かに思うけど。
沢口靖子の演技はマネキンのように固く、この東宝シンデレラが将来花開くのか不安も感じさせたが
十数年後大阪出身の彼女は「タンスにゴン」のCMで根っこの関西人たる部分を見事開花させた。

石坂浩二(警備員)、武田鉄矢(浮浪者?)、かまやつひろし(電車の中の神父風)らカメオ出演がやたら多く
おのおのの立ち位置がそれぞれ中途半端で何だかパロディ映画風でもあった。
リアル感を醸し出す設定・脚本を持ってきたのにちょろっとかまやつが映るだけで試写会の席は笑いが出るし、
構成・カメオ出演とのギャップがありすぎ。
特に武田鉄矢は出番も多いし説教じみたセリフも興醒めだし、「いいとも」ってセリフも含めて
この映画を中途半端なギャグ映画にするために努力しているとしか思えず絶対要らない。

試写会は若い人が多かったのか、首相役の小林圭樹が良くない報告にいちいち顔をひくひくさせるシーンとか
ゴジラが復活してスーパー]と対戦して
ゴジラの熱線でビルにぽっかり穴があくシーン、とかで客席から笑いが起こり
若い世代との体温差を如実に感じてしまった次第。
せっかくの復活なのに客席から笑いが出るようじゃ「メガロ」の時と変わらないじゃん、ってかえって悲しくなってしまった。

それから、見終わって「何か物足りないなあ」と感じたんだけど
それが「伊福部昭のゴジラのライトモチーフ」が使用されていなかったせいだと気づいたのは相当後の話です。
正直申しましてこの時点でまだ伊福部音楽の重要さに気づいておりませんでした。

(08.0810)



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