卵が先か、ニワトリが先か。
「ゴジラxメカゴジラ」

ゴジラ×メカゴジラ [DVD]

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2002年東宝映画
監督:手塚昌明
音楽:大島ミチル
出演:釈由美子、宅麻伸、高杉亘

<あらすじ>1999年千葉・房総の海底から、
1954年に東京湾で死滅した初代ゴジラの骨が発見され極秘裏にある施設に搬送された。
その直後に2頭目のゴジラが出現、日本を再び恐怖に陥れる。
政府は日本中の科学者を集め、初代ゴジラの骨をベースにして対G用生体マシン「3式機龍」を完成させゴジラを倒そうとする。


人間が初代ゴジラの骨をサルベージしなければ、2頭目のゴジラの日本襲撃もなかったのではないか、という映画。
でもそう書いてしまってはこの映画の動機を否定してしまうことになるので、「続行!」。

【オープニング】
迫力。
台風接近の暴風雨のさなかの海からゴジラが上陸。特性自衛隊の出動となる。
自分の店先でひっくり返ったゴミかごのゴミをかごに戻そうとする村田雄浩。その前の道路を戦車が進む。
そしてそのあと村田の低い視点が捕らえたのは、
戦車のあとから姿を現わすメーサー殺獣光線車砲、それも初登場の「サンダ対ガイラ」と同様の牽引式!
仰角で見るメーサー砲のかっこいいことかっこいいこと、震えが来そうでした。
バックにかかる管楽器の音色も高らかな大島版メーサーの曲も素晴しい出来。
欲を言えば砲頭がリフトアップされた時にそれに連れてパラボラ状の部分が鎌首を持ち上げるように別の動きをする、
「サンダ対ガイラ」の時と同じ動きをしたら最高でしたね。
長い尾でメーサーのパラボラ部分を、まるで首を横から掻っ切るように吹っ飛ばしたあと、青い稲妻がゴジラの背ビレを照らす!
天に向かって咆哮するゴジラ、画面外からタイトルの文字が踊りこんでくる。

【家城茜】
主人公家城茜(やしろ あかね)はさかんに「自分は歓迎されるべき存在ではない」ことを強調して機龍と意識上の同化を試みるが、
その理由がなぜなのか作品内では全く明らかにされていない。
科学者湯原を演じる宅麻伸の側が娘や回想の中の妻(北原佐和子の白を基調にしたシーンは美しかった)など、
ファミリーの愛を描いているのとは対照的である。
考えられるのは家城が「不幸な幼少期を送った」ということであろうが、果たしてそうだろうか。
彼女には家族という存在は初めからなかったのではないか。
そう・・・家城は人工授精で誕生した試験管ベビー、あるいはクローン人間
(物語冒頭で初代ゴジラの骨を目の当たりにした湯原博士の「ゴジラのクローンでも作るつもりですか」という台詞もある)・・・。
実験施設で生まれた戦闘マシン・・・。
だからこそ彼女は湯原ファミリーとの対比が強調され、機龍を同じような境遇の仲間として認めようとする・・・。
まあ深読みもいいところです。

特撮部分はコマとコマのつなぎがやや不自然で、
海から八景島に上陸したゴジラの場面(濡れ方)や
夜のゴジラと機龍の決戦の場面で、吹っ飛んだゴジラ(または機龍)がビルに突っ込んだり
地面に落ちたりするシーンで、吹っ飛び方と落ち方が合わないように見える。
八景島でゴジラ撤退後暴走する機龍のシーン、
ビルをぶち破って通過した後エネルギー切れで停止する機龍、夕焼けとあいまって物悲しさを感じる。
機龍のブース内でエネルギー補給中に家城が機龍に語りかけるシーンは、バックの音楽がだんだん力強くなっていく効果によって、燃えます。
その後の家城の「機龍ー!私に力をー!」の絶叫も。
ラスト、熱戦とアブソリュート・ゼロの相打ち状態で海に突っ込むゴジラと機龍。直後に巨大な氷柱が海上に立ち上がる。
絶対零度砲、アブソリュート・ゼロが放たれたのだ。
氷柱と海面の氷を割って黒い巨体を見せたのは、ゴジラ。
しかし左目が潰れたようにふさがり、その姿は痛々しい、咆哮も力ない。
ほどなく方向を変えて外海の方に去ってゆく。
その後姿を見送るように、浮上する機龍の威容。
こちらも胸部のアブソリュート・ゼロは大破、ゴジラの熱戦をふさぎこんだ右腕も損傷。
壮絶なる引き分けである。
防衛本部は安堵の顔、顔だがここはゴジラを倒せなくとも撤退させたのだ(五十嵐総理=中尾彬もそういう認識の発言をしている)から
「ゴジラxメガギラス」の時のような「やったー!」っていう喜びがほとばしるシーンが欲しかった。
それとも特性自衛隊ではそういう命令外の感情表現はしちゃいけないのかどうか。

(2005.0103)

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