ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS スペシャル・エディション [DVD] 新品価格 |
<あらすじ>1961年のインファント島調査団に加わった言語学者・中條博士の元に小美人が現れる。
小美人は機龍製造に使われたゴジラの骨を戦いの道具にしたのは人類の大きな過ちだ、
ゴジラの骨を海に還すべきだ、と告げる。
中條博士の甥で機龍の整備士の義人は
日本をゴジラの脅威から守るためには機龍が必要だと反発。
小美人は機龍の代わりにモスラがゴジラと戦うと言う。
そしてゴジラが再度日本に上陸した。
ゴジラ、モスラ&小美人、機龍(メカゴジラ)、そして人類。
それぞれの思いが複雑に絡まり合い最後の戦いが始まる。
それぞれが、それぞれのことを思いながらも
それぞれの理解が深まらない、
あるいは思いが交わらないために
限りなき戦いが続く映画。
1.ゴジラは機龍に内蔵されている
初代ゴジラの骨を返してもらいたいかの如く
再度日本に上陸する。
前作でも「初代ゴジラの骨」が人類に回収された直後にゴジラが出現しているところから
ゴジラ族は意外と高知能で、この個体は先祖、あるいは親かも知れない「初代ゴジラの骨」を守護していたのかも知れない。
2.小美人は「人間がゴジラの骨から戦いの道具を造ったのは大きなあやまちだ」
と告げ機龍の放棄を中條博士に依頼するが、
それでもゴジラが日本に上陸したら機龍の代わりにモスラがゴジラと戦う、と人類を見捨てない。
ゴジラとモスラが手を組んで機龍を人類から奪回する、というプランもありそうだが、
モスラと小美人は、人類を敵に回すことはしなかった。
43年前にインファント島が原水爆実験場にされていたのにもかかわらず、だ。
それはインファント島にも同じ人が住んでいるからか(ただし今作には登場しない)。
それとも43年前に文明人と和解しているからなのか。
3.中條義人は如月梓と同期だった時代があるのに人間より機械いじりが好きな変わった人。
機械と話せるような言動、如月の説明もあり機龍に対して愛情ともとれる思いを持っている。
4.五十嵐総理は機龍なくしてゴジラの脅威から国民を守ることはできないと考える。
そして捨て身でゴジラの進路を止めるモスラを見て
「我々は腰抜けではない」と機龍の出撃命令を発する。
オープニングのモスラと空自のドッグファイトはなかなか見せる。
大島ミチル氏によるモスラのライトモチーフも、モスラの神秘性を感じさせるいい出来。
中條博士の孫、瞬がモスラを呼ぶシーンは圧巻。
無人の校庭に学校の机を並べる瞬。
早く非難するように促す中條博士。
瞬が「出来た!」と言うとそこにはあの「十字に逆光」のモスラのマークが並べた机によって描かれていた。
('88年愉快犯による「校庭に机を並べて9.の文字」事件を思い出させる)
そして偶然、校庭に児童の下校を知らせる鐘の音が鳴る。
すると・・・夕焼けの校舎の上にモスラが現れる。
'61年の「モスラ」をもう一度見るまで鐘の音の意味がわからなかったんですが、
ちゃんと'61年のラストでモスラを呼び寄せるシーンが再現された。
十数年前にちょっと新聞をにぎわせた9.の字机事件のエッセンスを加えて。
機龍はゴジラの攻撃を受けて機動不能になる。
しかし義人が機龍に直接乗り込み整備を行う。
その時、小美人が機龍への道案内をする。
この時ばかりは小美人もモスラだけではゴジラを止められない、と考えたのか。
成虫モスラは倒されたが、日本近海の島で産み付けられた卵から双子の幼虫モスラが誕生する。
二匹の幼虫モスラの糸攻撃と、再起動した機龍の攻撃で次第にゴジラは追い詰められてゆく。
機龍は再起動したが、ゴジラの熱線が脱出口のドアを溶接してしまったため
義人は脱出不能になっってしまう。
しかし作戦に支障があってはならないと考え(あるいは機龍への愛情からか)
脱出完了の報告をする。
機龍の腕のドリルで腹を突かれ倒れたゴジラは、モスラの糸で自由を奪われながら咆哮。
それは機龍を伝わって義人の脳内にも「機龍はそもそもゴジラだった」というイメージを送り
義人に「俺はお前(機龍)のことを何も知らなかった」と言わせる。
五十嵐総理は決戦後に機龍を放棄する、と宣言したが、
身動きができなくなったゴジラにトドメを刺すように指示。
しかし!
昇る朝日を背景にした機龍は操縦不能に陥る。
前作の暴走が夕日をバックに停止したのと対照的な朝焼け。
この大事なシーンで暴走、血の涙を光らせる機龍!
そして機龍は驚愕の行動に出る。
モスラの糸に包まれたゴジラを愛おしそうに抱きかかえる!
自我を持った機龍は「ジャイアントロボ」の最終回を想起させるような想像を絶する行動に出る。
生命の神秘か、科学の暴走か。機龍はゴジラを抱きかかえたまま海へと飛び去る。
機龍の内部に閉じ込められた義人は…
如月、秋葉の決死の行動で救出される。
脱出直前、義人が機龍内部のモニターで見たメッセージは…。
それは機龍のコンピュータ?初代ゴジラ?どちらからのメッセージだったのか。
5.小美人は機龍とゴジラが小笠原海溝で眠りについたことを確認し、
モスラとともに帰路につく。
しかしエンディングの後(エンディングの後のもういっちょは手塚作品の顕著な特徴だ)、
愚かな人間は機龍(の初代ゴジラの骨)は放棄しても
ゴジラのDNAを特性自衛隊の施設に保存している映像が映る。
そして一五〇〇から新たな実験が始まる、というアナウンスが聞こえる。
明らかに人間を守ってゴジラと戦ったモスラ&小美人を欺く愚挙であり、
「人間とは科学の進歩に名を借りて神の領域を汚す愚かなる生き物である」
と文明に寄りかかる人類の有り方を問うように映画は終わる。
最終勝利者は誰なのか?
結果的に初代ゴジラの骨を奪回したゴジラか。ゴジラとともに安住の地へと旅立った機龍(初代ゴジラの骨)か。
成虫は失ったが、ゴジラも人類も生き永らえさせることが出来た小美人&モスラか。
ただしゴジラは機龍のドリル攻撃で虫の息、その後の生死は不明。
・・・それとも悪魔の研究を続けることのできるゴジラDNAを獲得した人類(というか日本人)なのか。
見る者に様々な想像の種を投げ掛ける映画だ。
「xメガギラス」と共に低評価が納得できない作品。
【その他】
【長澤まさみがあの曲で!】
長澤まさみが大塚ちひろとともに小美人を演じるが、
モスラの卵の前であの「モスラの歌」を歌う。
DVDの宣伝用特典映像では、「モスラの歌」で踊る長澤と大塚!
曲の合いの手に「ピコッ、ピコッ」っとユーモラスな効果音も入ってて笑える笑える。
【美穂、カメーバ知ってる!】
千葉の九十九里海岸に打ち上げられた亀型の巨大生物を調査するため機龍隊が集結。
「17年来、確認されていなかった生物です」と説明があると
即座に「カメーバですね」と返す吉岡美穂の如月(笑)。
女怪獣博士?
最近は歴史に詳しい「歴女」ってのが存在するらしいから、この場合は、怪女?
「よく知ってるね」と突っ込まれたり「もう少しましな命名の仕方はなかったのか」とか言われるし。
大体カメーバやら「決戦!南海の大怪獣」やら
東宝特撮でもかなーりマイナーな名詞を知ってるだけでもうすっかりあなたも怪獣博士。
「知ってて何が悪いのよ」「別にあたしが名前つけたわけじゃないもん」
ってセリフが出そうな吉岡ミポリンIZAMUに連れられて行っちゃった〜。
劇中で、メカの声が聞こえる?義人と女怪獣博士の如月がうまくいくわけがない・・・と考えるのはおいらだけか?
2003年東宝映画
監督:手塚昌明
音楽:大島ミチル
出演:配役
金子昇:中條義人(機龍整備士)
吉岡美穂:如月梓(機龍隊パイロット)
虎牙光揮:秋葉恭介(機龍隊パイロット)
大塚ちひろ:小美人・ヒオ
長澤まさみ:小美人・マナ
大森樹:中條瞬
水野純一:関根健二 (機龍隊)
友井雄亮:葉山進(機龍隊)
益岡徹:神崎(義人の上司)
高杉亘:富樫(機龍隊隊長)
清水紘治:秋葉功(防衛庁上層部関係者)
釈由美子:家城茜(機龍隊)
中尾彬:五十嵐隼人(内閣総理大臣)
小泉博:中條信一(言語学者)
(2010.0125)
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