「妖怪大戦争」これは祭りか戦争か。

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2005(平成17)年角川映画
監督:三池崇史
プロデュースチーム「怪」:水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆき
音楽:遠藤浩二
出演:神木隆之介、近藤正臣、高橋真唯、栗山千明、菅原文太、豊川悦司

<あらすじ>いじめられっ子の稲生タダシは両親が離婚して父・姉と別居し、鳥取の田舎で母と祖父(老人ボケ進行中?)の3人で住んでいる。
そんな彼は神社のお祭りで麒麟に頭を噛まれて今年の「麒麟送子」に選ばれる。
言い伝え通り大天狗の山へ聖剣を取りに行ったタダシは数々の妖怪たちと遭遇し、
やがて日本壊滅を図る魔人・加藤保憲との対決に向けて東京に旅立つ。

1968年大映作品の「妖怪大戦争」のリメイクというが、コンセプトだけ拝借しての完全なオリジナル・ストーリーと見た。
今回は現代劇。68年版ではバビロニアの吸血妖怪ダイモンが相手だったが
今度の日本妖怪の相手は荒俣宏がプロデュースに絡んでるということもあってか
「帝都物語」のスーパーヒール、魔人・加藤保憲。
加藤役は「帝都〜」の嶋田久作の軍服姿がベストであるが、今回の豊川悦司もなかなかクールな迫力。
だが例の五芒星(ドーマンセーマン)が襟の紋章だけでちょっと物足りぬか。
折角手から怪光線で攻撃するのだから手袋の甲にもあったほうが良かったと思うが。

しかし映画は笑えるところが多くて面白い、肩の力が抜ける。
猩猩(近藤正臣)、川太郎(阿部サダヲ)、川姫(高橋真唯)以外の妖怪が折角集まって会議をしているのに
加藤保憲(豊川悦司)に恐れをなして帰っちゃうところなんかすごい脱力。
油すましなどは68年版では日本側の中心的存在であったのだが、
今回の竹中直人はまったく役立たずの脱力キャラ(しかし竹中さんは硬軟使える幅の広い役者さんです)。
お色気部門は「NO LORN」高橋真唯の川姫と「ゴーゴー夕張」栗山千明の鳥刺し・アギで決まり!
「川姫」高橋真唯はコスチュームからしてエロい。左右が切れ上がった服はもも丸出し。手足の先の方だけカッパみたいに緑色。
溺れた幼年時代の雑誌記者・和田あるいはタダシを救って、水辺でももを枕にするシーン、
透き通るように白いもものアップが素敵です、何人の方が「俺も枕して欲しい〜」と思ったことでしょうか!
それから「キル・ビル」の女子高生殺し屋役でハリウッド・スターの仲間入りをした栗山千明ですが、
序盤でヒップがちらり(もちろんパンツはいてますが)、それから何度もお見受けできる胸の谷間に、一瞬ドキッとします。
家族連れでやってきた御父さんも充分楽しめるビジュアル。

加藤側の怪物「機怪」の製造シーン(製造機でアギが捕獲してきた妖怪と壊れた機械を混ぜ合わせて造る)は
「仮面ライダー」のショッカーが怪人を製造、あるいは「ウルトラマンエース」の異次元人ヤプールが超獣を製造するシーンを思い出させる。
「機怪」は立ち姿が、映画「ターミネーター」の殺人アンドロイドが金属の骨格だけになった状況によく似ている。
CGだろうが、動きが昔のダイナメーションを見ているようで楽しい。
お山でアギに捕まってしまった大天狗は、その後お姿をお見受けしませんでしたが機怪にされてしまったのでしょうか?
それとも自力で脱出なされたのでしょうか。アギ如きに捕まったのが恥ずかしくて、お祭りに顔を出せなかったのでしょうか。

和田が飲みまくるビール「一番搾り」はキリンビールのもの。
さすが「麒麟送子」の登場する映画ですな!
最後にちょろっと麒麟も登場する(ジラフの方じゃない麒麟です)。
戦いに勝利(?)したタダシと、川姫ら協力した妖怪の一行との別れのシーンで何か言葉が欲しかった。

川姫と再会した和田のために「真っ白な」嘘をついたタダシは、その時点で子供を卒業したのだろうか。
人のためとはいえ、嘘をついた子供は汚れた大人になってしまうということか。
神社でもらった麒麟送子の手ぬぐいの汚れ、そして遺影になってしまったじっちゃん(菅原文太)が時の流れを示し、
大人に成長したタダシにはもう“すねこすり”の姿は見えない。
何だかノスタルジックな気持ちになったところで終了と思ったら、最後にあの男が。

【もう一人の存在】
河童の川太郎が一反もめんに言うセリフの中で、作品世界での鬼太郎の存在が明らかになる(註1)。
彼も祭りに参加しなかったのか?
彼が戦いに参加すれば戦況はだいぶ違ったものになったであろう(笑)。
それにしても鬼太郎対加藤保憲は夢のカードだ(妖怪大戦争ではなくなってしまうね)。

最後になってしまいましたが、タダシ役の神木君、セリフが自然で本当にいい子役さんですね。
今後の更なる活躍を期待します。


(2005.0821、0827)

註1:ぬらりひょん・忌野清志郎の油すましに対するセリフと同様のアドリブだったのかもしれない(笑)。


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