「隠し砦の三悪人(1958年黒澤明監督作品)」上原美佐、奇跡のヒロイン。

隠し砦の三悪人<普及版> [DVD]

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<あらすじ>滅亡の危機の秋月家、雪姫(上原)と御家再興の資金の黄金に国境越えをさせるため
秋月の侍大将・真壁六郎太(三船)は百姓上がりでいくさに参加していた強欲な二人・
太平(千秋)と又七(藤原)を強引に仲間に引き込む。

数々の犠牲の上に立ってお家再興を目指さなければならない雪姫の悲劇性、
強欲さで分け前をめぐってすぐ喧嘩する太平と又七のユーモラスな掛け合い、
勇壮な真壁六郎太と田所兵衛、と徹底して娯楽性を追及して作られている、
もう娯楽映画の一つの到達点、と言っても過言ではない名作。

黒澤映画初のワイドスクリーン。
三船と藤田の槍での対決シーンに効果的。
槍を相手に向けて構えると両者が横長になるから、横に細長いワイドスクリーンにうまくおさまって見栄えがいい。
それから雪姫が横になって眠っているいるシーンでも
顔から足までが全部入り、大胆な太腿がエロティック。

【上原美佐(雪姫)】
何度も見てるんですが、今回はより雪姫の心情について見ることが出来ました。
自分の見代わりになって死んだ真壁の妹への涙。
男勝りに育てられたための気丈ぶり。
人買いに連れられていた自分の領地の娘を、いくさに負けた責任感から馬を売った金で買い戻す。
捕えられた後、火祭りが楽しかったと旅の思い出を語り、
朗々と火祭りの歌を歌い覚悟を決めるシーン(泣かせます)。
ビジュアル的にも先に述べた眠りのシーン、
宿場での立ち姿の気品あるたたずまい、と荒々しさの中に見られるエロティシズムを感じさせます。
上原美佐さんは突如スカウトされて大抜擢でヒロインの座を射止め、短期間で引退してしまったそうで、
これ以外の出演作品もあるんですが、これ以外でお見受けしたことがございませんですが、
この映画での出来は素晴らしいものがあります。奇跡のヒロインと言ってもいいかも知れません。

【藤田進(田所兵衛)】
後半、非常に重要な役柄です。
ライバルの真壁との槍勝負、
そしてラスト近くの爽快な脱出劇。
このシーンは「火祭りの歌」のアカペラ、
例の決めゼリフとおいしいところ総取り。

【加藤武(落武者)】
オープニング、千秋実と藤原鎌足がとぼとぼ砂漠を歩いているシーンで
突如画面の外から飛び込んできて殺される血だらけの落武者が加藤武だそう。
んで倒れた後騎馬が通過するんだけど、倒れたままの加藤武の頭のすぐそばを馬が通過する。
すっごくヤバい。馬の脚が頭踏んづけそう。
で騎馬が通り過ぎた後、加藤武の体の向きが変わる。
演出か、馬の脚をとっさに避けたまま固まったのかは不明。
んで動いた後のポーズって言うのが、左手が空を掴むように上がってる。
そのまま固まってる。
んで太平と又七が同じシーンで長セリフしゃべるもんだから、
加藤武そのままずーっと手を上げたまんまのポーズが続いてる。
かなーりキツそう(笑)。

もちろん三船の真壁六郎太、いい出来です。
騎馬で手綱を持たずに敵を斬るシーン、スタントでしょうか?
機知を効かせて関所を通るシーンなどはまってます。

オープニングのマーチ風の曲も勇壮感があっていい。
なかなかアラを見つけるのが難しい、
つまり完成度が高く
雪姫のエロティシズム、
三船の機知に富んだ展開、
藤田進の先に書いた見せ場、
両雄の槍勝負、
そして千秋と藤原の笑わせる掛け合いと
もう娯楽映画の一つの〜(頭に戻る)。

1958年東宝・モノクロ
監督:黒澤明
製作:藤本真澄、黒澤明
脚本:菊島隆三、小国英雄、橋本忍、黒澤明
音楽:佐藤勝

出演:配役
三船敏郎:真壁六郎太
千秋実:太平
藤原釜足:又七
藤田進:田所兵衛
上原美佐:雪姫
志村喬:長倉和泉
樋口年子:秋月領の娘
上田吉二郎:人買い
加藤武:落武者
三井弘次:山名の番卒
堺左千夫:足軽
その他、中丸忠雄、沢村いき雄、大橋史典、高堂国典、小杉義男、大村千吉、中島春男、広瀬正一、佐藤允、藤木悠、土屋嘉男

まあ最後にちょっとだけ書くと・・・。
中丸忠雄、沢村いき雄、小杉義男、大村千吉、佐藤允、藤木悠、土屋嘉男・・・
この辺の有名な方たちがどこのシーンに出ているのか、まだ発見できていません。今後の課題です。

('11.0110)


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