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製作:黒澤明、本木荘二郎
監督:黒澤明
脚本:小国英雄、橋本忍、菊島隆三、黒澤明
原作:ウィリアム・シェイクスピア(『マクベス』より)
音楽:佐藤勝
出演:配役
三船敏郎:鷲津武時
山田五十鈴:鷲津浅茅(武時の妻)
志村喬:小田倉則保
久保明:三木義照(義明の実子)
太刀川洋一:都築国丸
千秋実:三木義明
佐々木孝丸:都築国春
浪花千栄子:物の怪の妖婆
木村功:幻の武者(特別出演)
宮口精二:幻の武者(特別出演)
中村伸郎:幻の武者(特別出演)
その他、高堂国典、上田吉二郎、藤木悠、堺左千夫、土屋嘉男、稲葉義男、沢村いき雄、小池朝雄、加藤武、大村千吉
<あらすじ>蜘蛛巣城城主は謀反にあい籠城するが、鷲津武時(三船)と三木義明(千秋)の活躍により形勢が逆転したことを知る。
鷲津と三木は城の周辺の森「蜘蛛の手の森」で道に迷い、物の怪の老婆に出会う。
老婆は鷲津が一番舘の主になり、三木が北の館の主になる、
そしていずれ鷲津は蜘蛛巣城の主になり、その後は三木の子供が城主になる、と予言して消える。
予言は的中するが、鷲津の妻・浅茅(山田)は予言が城主に知られれば城主が先に鷲津を殺すに違いない、と
鷲津に先に城主を殺すことをそそのかす。
10年9月、北千住シアターブルー「黒澤明没後10年」の企画で見る。
シェイクスピアの「マクベス」をモチーフとしたという、珍しい怪奇譚的ストーリー。
森の物の怪の予言、妻の出世欲に背中を押され
大殿を殺害して成り上がろうとする侍の物語。
千秋の固まったような死に装束の幽霊、
三船が再び森に行った時出てくる武者姿の物の怪、
この辺不気味な感じがよく出ていて
こういうオカルト路線を継承していっても面白かったのでは?とも思う。
でもこの作品以降ファンタジー的な作品は「夢」ぐらいしかないので
監督のリアリズムに突き進む嗜好にはこういった路線は合わなかったのでしょう。
『「蜘蛛の手の森」が動かぬ限り、鷲津の負けはない(大意)』
と物の怪の武者は鷲津に約束したが、ある夜森から音がするので不安になった鷲津が小窓から覗いてみると、
森が動いて城に向かってくる(実は木などで偽装して進軍する敵側のトリック)。
これで前言の信頼を失った鷲津に、部下たちは矢を射かける。
最後に臣下に裏切られ矢を打たれまくる三船のシーンは圧巻。
ハリネズミ、ヤマアラシのように矢が刺さっていく壮絶なシーン。
このクライマックスの少し前の、
鷲津が館の上から、地上の兵士たちを諭そうとしている場面、
まあセットなんでしょうが見下ろすアングルに奥行きが加わり
CGなんてものがない時代と考えたらとても味わい深い構図。
そして最初と最後に城が廃墟になっているシーンが映し出され、
盛者必衰を示して見ている者に虚無感を植え付けさせ、
且つ最初と終わりがつながっていることによりデジャブ的な味わいをも持たせる出来。
('11.1002)
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