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1967年大蔵映画(パートカラー72分)
監督:小川欽也
脚本:津川京一
音楽:長瀬貞夫
出演:鶴岡八郎、火鳥こずえ、高月絢子、泉田洋志、泉ゆり
<あらすじ>資産家の教授の娘と結婚した男は実は妻に愛情などなく、
初めから財産目当てだった。
男は愛人とともに妻を殺害して財産を愛人とともに奪う計画を立て、
医者を巻き込んで妻があたかも神経衰弱にかかったかのような仕掛けをする。
そして男と愛人は鉄道自殺に見せかけて妻を殺すが、死体の生首は発見されなかった。
その後男と愛人の前に、あたかも怨みを晴らすかの如く妻の亡霊が現れる。
08年9月の渋谷シネマヴェーラの特集で見る。
新東宝の流れを汲む大蔵映画の作品だからだろうか、全く知らない役者ばっかり。
でところどころに男が愛人、妻、看護婦とえっちをするシーンが出てくるが
時代も時代なのでか肝心の部分は殆どガード。
愛人がベッドで男を待っているシーンで、
エロ本広げて自分の▼を隠してるのには笑った。
パートカラーってことでしたが、そういう手法の映画を見るのは二度目。
ちなみに一度目は「巨人獣」で、ラストに怪物化した大男が高圧電線に触れて自殺するシーンのみカラーだった。
「生首―」はえっちな部分(全部ではない)と血が出るシーン(こちらも全部ではない)、
あと生首が出るシーン(ここも全部ではない)でカラーが使われているが
モノクロだった画面がカットが変わる途端に赤が強い(フィルムの退色かも知れないが)画面に変わるのはけっこうショッキング。
こういう手法もあるのかとちょっと感心。
生首の特撮は、まあチープです。
脚本もやや甘く、おいらでも次の展開が読めちゃった(笑)。
妻を神経衰弱にさせるべく、往診した医者(この医者もグル)と男がコーヒーを飲むシーンで、
砂糖が塩にすり変わっていてしょっぱくてコーヒーが飲めない
(もちろん男が、妻を混乱させるために仕組んだ罠で医者もグル)。
当然妻は男に怒られて、しかも片付けようとしてすっころぶ。
で妻が死んだ後、男と愛人がベッドで乾杯するんだけど、
酒が手もとになかったのか、「シャンパンは・・・また後で」コーヒーで乾杯(笑)!
で、「砂糖」を入れてからコーヒーを飲むんだけど、当然次の展開は・・・。
幽霊になった妻のしわざか、やっぱり砂糖が塩になってました(笑)。
何で事前に酒買ってないんだよう!コーヒーで乾杯なんて、するか普通。
男と愛人は不動産屋に、手に入れた屋敷を現金化する交渉をしに行くが、
売却の話が決まって書類に判子を押すシーンでなぜか判子に朱肉がつかず、
突如吹いた風でタバコの火が書類の上に落っこちて書類が焼けてしまう。
しかもその火が愛人の顔に飛んできて愛人顔面に大やけどで包帯。
紙一枚燃えた程度の火で顔面全体が大やけど、ってどうかな・・・。
で愛人は失明の心配を抱えながら顔面包帯だらけで病室で寝ているが
グル医者の言うことにはもう顔は再生不能なぐらいのやけどだそう。
すると男はこの哀れな愛人をも捨て逃亡しようとする。
男が逃亡のため財産をすべて現金化したことを知ったグル医者は、看護婦と結託して現金を強奪しようと考える。
大やけどの愛人を捨て現金を持って逃亡しようとする男、
男にすがろうとする愛人(包帯姿)、
現金を奪おうとするグル医者と看護婦。
4人の病室での乱闘が始まる。
この4人の敵味方もわからない病室でのくんずほぐれつの乱闘に場内から爆笑が。
この乱闘、殺陣っていうか演出があんまりうまくないのかで迫力というか真剣味に欠け、
何だかじたばた、じたばたってしてるような印象、でそこが笑いのツボになっている。
その後の男の死でも爆笑(幽霊を怖れナイフを振り回し、すっころんでナイフが自分に刺さる)で、
それまで何とか怪奇映画の印象を保っていた展開が
この乱闘シーンであっという間にコミカルな展開になって主要登場人物が4人とも死亡、ってことであっけに取られました。
引きの固定で、病室で死んでる4人全員を見せる映像、寝転んでるだけに見える連中にまた場内は大笑い。
最後はなぜか妻が轢死した線路の周辺に花が咲いてるシーンで幕。
封切り当時も、観客はこんな風に劇場で笑いまくったのか。
いちおう怪談のはずなんだがなあ。
まあ怪作ではあります。
あと後半、生首が登場したシーンから脈絡なくへびの登場が多々。
(08.0916)
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