「丑三つの村」惨殺と生卵と田中美佐子のヌード。

丑三つの村 [DVD]

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2010年9月24日、浅草で見る。
昭和13年の岡山での三十三人殺傷、
「津山事件(註1)」を題材にした原作の映画化。

主人公犬丸継男は父母のいない家庭で祖母に育てられていた。
頭の出来は良く、「村始まって以来の神童」とも言われ、将来を嘱望されていたよう。
だが祖母の溺愛のため継男は学校にも満足に行けないよう。

そして継男は、当時不治の病とされていた肺結核と診断され、徴兵検査に落ちる。
その後村人は継男を避けるようになり(結核が移ると思われて)、
夜這いをしていた女性にも疎んじられるようになる。
そのため継男の鬱憤は日に日に高まってゆく。

閉鎖的な村落には夜這いという風習があったが
継男の「血が濃くなってみんな親戚みたいだ(大意)」というセリフを聞くと
誰が父親かわからない子供も平気で生まれていた可能性が高く
大らかさの中に内在する危険性が暗示される。
それを象徴するかのように、騒ぎを起こしてばかりいるよそ者の若者が
村の大人たちに捕まって首つり自殺に見せかけて処刑される。
継男はそれを目撃し駐在に報告しようとするが、村人の無言のプレッシャーで言い出せない。

継男の理解者であるやすよ(田中美佐子)は、継男のいとこぐらいの血縁であるため
実は愛し合っているのだが結婚できない。
やがてやすよも嫁いでゆき、
理解者を失った継男の苦悩は深まる。

継男は自分を差別した村民、欺瞞に満ちた村に復讐をするために猟銃、日本刀などを買い集める。
そしてかつてじゃけんにされた和子(大場久美子)が嫁入り後里帰りした夜、計画は実行される。

クライマックスは凄惨な殺人描写の連続で
確かに成人指定になるとは思う。
殺して殺して殺しまくって、最後に継男は自決する。

ストーリーには「病気で兵隊になれない」ために
ごく潰し呼ばわりされるといった、
戦争による悲哀が内在しており
また病による差別は今日のエイズ問題などを連想させ考えさせられる。
が、多分にやるせない作品。
いちおう実際の大量殺人事件を題材にした小説の映画化であるが、
これ、娯楽映画なんだろうか。
ただただ運命に翻弄され破滅の道を歩んでゆく主人公を描いている。

劇判は青春ドラマみたいな出来で暗くはないが
山村の一青年が破綻してゆく切なさが漂う出来ではある。
がしかし、もっと思いっきり猟奇的な煽りがある、
おどろおどろしい出来の曲の方が
強烈な印象となったのではないか。

今となっては若き日の田中美佐子のヌードシーンが見せ場か、若い!
表情もさっぱりしているし、
惜しげもなく二度見せるおっぱいは小振りですがいい型しています。
入浴シーンはオールヌードでお尻も見せてくれます。
あと五月みどりや岩下志麻もエロく見せてくれますね。
当時の五月みどりの、熟女のお色気ムンムンで迫られたら、
勉強ばっかりの継男といえど
制御効かなくなる事は必然ではないかと思います。
大場久美子はぜんぜん露出なかったと記憶しています。

【なまたまご】
祖母が、咳してる継男に精をつけようと
生卵を幾つか持ってくるシーンがあるんだけど、
継男、勉強机にコンコンと卵を打ちつけてひびを入れたら、
そのまま上向いて口の上へ卵を持ってきて、両手で開くように割って
そのまま中身を口に落として飲み込む。何個かこの方法で飲み込む。

・・・こんな生卵の食べ方、あるんだろうか。
お醤油で味をつけるわけでもなく・・・。
そりゃ、器に卵割って出すわけではないから、
器を使わないで、洗わないで済みますがね・・・。
でも継男、白身が口に入りきらないでどろりと服にこぼしてるし。
量的にはともかく、映画史上「ロッキー」のスタローン以上に
インパクトある生卵の食べ方。
もっとも日本以外で生卵そのまま食べる国は殆どないそうですが。

まあちょっと話はずれますが、
外国の人にとって「ご飯に生卵かけてお醤油で味つけて食べる」
俗に言う卵かけご飯のおいしさを知らない、ってのは
不幸なのかしあわせなのか、どっちなんでしょうかね。
おいらは子供の頃から好きですよ。

ちばてつやのゴルフのコミック「あした天気になあれ」で
海外の大会で不調になった主人公・向太陽が
山盛りのご飯に生卵かけて食べて喜ぶシーンがあったけど、
強力なパートナーである外国人のキャディ(男性)がそれを見て
オエッ、とか表情してるシーンがあり、
食文化ってさまざまだなあ、と感じる次第。



最後に主演で継男を演じた古尾谷雅人さんのご冥福を祈ります。

1983年
製作:松竹映像=富士映画
原作:西村望
監督:田中登
製作:奥山和由
脚本:西岡琢也
音楽:笹路正徳

出演:配役
古尾谷雅人:犬丸継男
田中美佐子:やすよ
池波志乃:えり子
夏木勲:赤木勇造
新井康弘:中山哲夫
ビートきよし:出征兵士
大場久美子:竹中和子
五月みどり:赤木ミオコ

(2010.0930)

註1:横溝正史「八つ墓村」でもモチーフの一つとして使われている、
2時間弱で大量殺人が行われた日本犯罪史上屈指の事件。



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