「ゼロの焦点(1961年版)」能登金剛、断崖下の荒波。

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1961年松竹・モノクロ95分
原作：松本清張「ゼロの焦点」
監督：野村芳太郎
脚色：橋本忍、山田洋次
音楽：芥川也寸志

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出演：配役
久我美子：鵜原禎子
高千穂ひづる：室田佐知子(儀作社長夫人)
有馬稲子：田沼久子(金沢の耐火煉瓦会社の受付)
南原宏治：鵜原憲一(禎子の夫）
西村晃：鵜原宗太郎(憲一の実兄)
加藤嘉：室田儀作(金沢の耐火煉瓦会社の社長、佐知子の夫)
穂積隆信：本多

2011年2月19日、北千住ブルースタジオで見る。
松本清張の長編推理小説の映画化、昨年再映画化版を見ている。

どうしてもリメイク版と比較してしまうのだが、
当然1961年の映画オリジナル版はピュアな推理サスペンス映画という出来であり
2009年リメイク版での実写フィルムの挿入、ラストの現代風景などの部分が
何か付け足しのように感じられてしまう。
演出に重厚感があり、久我美子の前を見据えるような演技も食い入って見てしまう。

クライマックスのシーンがリメイク版ではない石川県の名所、｢能登金剛」という断崖絶壁だそうで
ここで久我美子の禎子が犯人相手に事件解明の対決を挑む。
最後のモノローグにも語られるように日本海の荒波というか奥深さというか、
そういう映像が間接的に人間社会の奥の闇を表現していて
近年の映画はこういう間接的な表現はしないものなのかなあ、と思ってしまう。
モノクロ画面がかえって効果的に荒々しい波の表現に成功している。
事件は明らかにされたのにハッピーエンドに終わらない重々しさ。
禎子による｢夫の仇討ち」のような雰囲気が醸し出される。

西村晃が憲一の兄の役で出演していて
押しの強さで相手追い詰めるもんだから毒殺されてしまう。
ここは苦しそうに服の襟を破るぐらいでそれほどキレた演技はありませんが、
その押しの強さが出る回想シーンはちょっと見ものです。

（2011.0220）

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