第3の原爆投下を阻止するために戦う男たち、そして少女。
「ローレライ」

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福井晴敏の小説「終戦のローレライ」とこの映画はストーリー展開上かなり差異があるが、
その辺は上映時各所の掲示板で語りつくされ、
今でもウィキペディアで「ローレライ(映画)」を検索すれば確認できるので割愛。
ちなみにおいらは映画観てから小説を読破しました。
「小説読んでから映画観た」派は映画を批判する意見が多いらしいが
おいらは幸福?にも逆だったので映画の尺というものを考えたら折笠(妻夫木)とパウラ(香椎)の恋愛を中心に据える脚本は間違ってないと思うし
そうなると残念だがパウラの兄フリッツの存在は「映画の尺」ということを考えるとカットせざるを得なかったのではないか、と考える。

ナチス・ドイツが開発した驚異の海中探査装置「ローレライ」を搭載したイ五〇七潜水艦に乗り込み、
広島・長崎に続く第三の原爆の東京投下を阻止するため困難に立ち向かう潜水艦乗りの男たち
(いやパウラは紅一点)の崇高なる戦いを描くストーリー。
潜水艦などのシーンはCGが多いがそれほど気にならなく見れる。

映画では米軍の総攻撃に撃沈されたかどうか不明瞭なイ五〇七だが、
小説では「ローレライ」を米軍に渡すことを拒み(超兵器として研究・開発されることを拒み)
米軍の総攻撃を受け乗員は「椰子の実」を歌いながら船は海底に没してゆくというストーリーになっている。
まるで「オキシジェン・デストロイヤー」の悪用を危惧した芹沢博士が
自ら命綱を切断して東京湾の海底に没した昭和29年の「ゴジラ」のようだけど、このネタ入ってるのか?
その直前の、原爆が搭載されているB29を撃墜し目的を遂げた後の絹見(役所)の笑顔でのセリフ
「これより東京に帰還する!」が清々しくていいんだよなあ。


映画のラストは当時の米軍でこの戦闘に参加していた人物と、日本人の作家みたいな人物(上川)が海辺で話をするシーンで終わる。
元米兵はパウラも写っている集合写真を見て「我々はこの女の子を相手に戦っていたのか(大意)」と少し驚くが
半信半疑のまま上川に挨拶して浜辺を歩いて去ってゆく。
上川の役は折笠‐パウラの子孫だったのか、
パウラが写っている写真を持っているしその可能性は高いと思うが映画では一切の説明はない。
説明がないからかわざわざ上川に演じさせるというのもわからないしシーンの意味はあるが役の意味が不明。

元米兵が去ってゆく時に足が波打ち際の海水にかかり、何かを感じて振り返ると
そこには波に手をつけた上川が微笑んでいて元米兵の驚愕の表情で終わる、といったラストでもよかったのではないかと思う。
小説では折笠‐パウラの子孫がそれに近い能力の発動を偶然見せるシーンで終わる。

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2005年東宝
原作:福井晴敏「終戦のローレライ」
監督:樋口真嗣
音楽:佐藤直紀
出演:役所広司、妻夫木聡、香椎由宇、石黒賢、國村隼、鶴見辰吾、伊武雅刀、上川隆也

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